生ビールは家庭でもたのしめる! おいしく飲むコツも紹介

「生ビール」は、居酒屋などのお店だけでたのしめる特別なものと思っていませんか? じつは生ビールは家庭でもたのしめます。ここでは、生ビールとはどんなビールなのかを解説するとともに、自宅で、生ビールをおいしく飲むコツを紹介しましょう。
- 更新日:
生ビールの「生」ってどういう意味?

Nordroden/ Shutterstock.com
「生ビール」とは「熱処理をしていないビール」のこと
「生ビール」とは、「熱処理をしていないビール」のこと。日本の「ビールの表示に関する公正競争規約」では、「熱による処理をしないビールでなければ、“生ビール”または“ドラフトビール”と表示してはならない」と定められています。
つまり、熱処理をしていないビールであれば、お店の樽詰めビールも、家で飲む缶・瓶ビールも同じ「生ビール」なのです。逆に、お店で提供される樽詰めのビールでも、熱処理がされているビールは「生ビール」ではありません。
熱処理の働きとは?
ビールの醸造工程では、酵母の働きによって糖を炭酸ガスとアルコールに分解することでビールを造ります。ただし、完成したビールに酵母が残ったままだと、ビールの風味を変化させてしまううえ、保存性も低くなります。
そこで、一定の温度と時間で加熱して、酵母の働きを停止させることで、品質の保持と長期保存を可能にする「熱処理」という方法が採られるのです。この方法は、牛乳などの製造工程でも導入されています。
なお、あえて酵母を残したまま瓶詰めされるクラフトビールもありますが、そういったビールは必ず冷蔵庫に保管して、早めに飲み切る必要があります。
熱処理をしなくても風味を保てるの?
近年は、ろ過技術の向上により、加熱によって酵母の働きを止めるのではなく、酵母そのものを取り除くことで劣化を防ぐ方法が、多くのメーカーで採用されています。
この方法で造られるビールは、熱を加えないビールという意味で、「非加熱処理ビール」と呼ばれます。また、「非加熱処理ビール」は加熱処理をしていないビールなので、「生ビール」となります。なお、日本の大手メーカーが販売するビールのほとんどは、この「生ビール」です。
ちなみに、酵母をろ過して除去する方法は、熱処理に比べて高度な技術を必要としたり、国や地域によって「生食」に対する価値観が異なったりするため、日本のように「生ビール」にこだわる国・地域は少数派のようです。
「生ビール」ってなに? 熱処理ビールとの違いは?
生ビールをおいしく飲むコツ

FlorianKunde/ Shutterstock.com
お店の「生ビール」がおいしく感じられる理由
お店の樽詰めビールも、家で飲む缶・瓶ビールも同じ「生ビール」ですが、「お店の生ビールのほうがおいしく感じられる」という人も多くいます。
「容器が違うと中身も違うのでは? 」と思う人もいるかもしれませんが、当然、銘柄が同じであれば中身も同じです。では、なぜお店の生ビールのほうがおいしく感じられるのでしょうか。
「ジョッキなどの大ぶりなグラスで飲むから」「お店のよい雰囲気のなかでたのしむから」「プロが上手に注ぐから」などさまざまな理由が思い浮かびますが、おいしく感じられる理由のひとつとして「ビールの管理方法や鮮度」が大きく関係していると考えられます。
お店のビールは、適切な環境下で保管されています。また、お店のビールは消費のサイクルが早く、より新鮮なビールが提供されるため、「おいしい」と感じられるのでしょう。
保管方法を工夫すればおいしい「生ビール」をたのしめる
家でも、保存の仕方に注意して適切に管理すれば、よりおいしい状態の「生ビール」をたのしむことができます。保管する際のおもなポイントを押さえておきましょう。
【温度】
ビールを冷やしすぎると、ビール本来の風味を味わえなくなります。とくに、ビールを凍らせると、容器の破裂の危険と著しい味わいの低下につながるので避けましょう。また、逆に、保管温度が高くても、劣化の原因となります。室温が高くなる夏場の保管には注意しましょう。
【日光】
ビールに直射日光や強い蛍光灯の光が当たると、「日光臭」という不快な臭いを発することが知られています。日光の当たる場所に保管するのはNGです。
【振動・衝撃】
ガラス製の瓶ビールはもちろん、「缶ビール」も衝撃で破損する恐れがあります。また振動を与えることもビールの劣化につながります。容器を慎重に扱うのはもちろん、冷蔵庫で冷やすときは、振動の多いドアポケットではなく、本体側に入れるとよいでしょう。
【保管期間】
ビールにも賞味期限があります。「生ビール」をおいしくたのしむことができる賞味期限内に飲み切るようにしましょう。
ビールを保存するには冷やしすぎはNG
ビールを冷蔵庫に入れる前に! 正しい保存方法を知っておきましょう
生ビールをもっとおいしくするには?

Brent Hofacker/ Shutterstock.com
「生ビール」を飲むときはグラスにもこだわろう
生ビールをたのしむなら、グラスに注いで飲むのがおすすめ。以下の点に注意しながら、グラス選びにもこだわってみましょう。
【形】
ビアスタイルによって、適切なグラスの形が異なります。日本のビールに多い「ピルスナー」の場合は、背が高く細長い形のものがベター。口の中にビールが勢いよく流れ込み、爽快感を味わえます。缶のまま飲むよりも、シャープに感じられるでしょう。
【素材】
一般的にビールの器といえばガラス製ですが、別の素材が使われた器に変えると、印象が変化します。たとえば、陶器製のグラスは、表面に細かい凹凸があるため、キメの細かい泡を作れ、まろやかな味わいをたのしめます。また、錫(すず)などの金属製は熱が伝わりやすいため、ビールの冷たさを手や唇で直に感じられるのが魅力です。冷たさもより長くキープできます。
家飲みのビールはタンブラーがおすすめ!
注ぎ方を工夫すればおいしい「生ビール」に
お店で飲む「生ビール」が、家で飲むよりもおいしく感じられる理由は、もうひとつあります。それは「泡」の違いです。
ビールの泡は、見た目の美しさを演出するだけでなく、ビールが空気に触れて劣化したり、風味や炭酸ガスが余計に逃げたりするのを防ぐ「フタ」の役割を果たしています。また、クリーミーでキメの細かい泡には、口当たりを滑らかにする効果もあります。
お店で提供される「生ビール」は、ガス圧などが適切に管理されたサーバーから注がれ、理想的な泡が作られているのでおいしいのです。つまり、理想的な泡を作れれば、家でもお店のような「生ビール」をたのしむことができるといえます。
よく知られている「三度注ぎ」という注ぎ方のほか、ビアサーバーやビアフォーマーなどのグッズを使うとクリーミーな泡が作れるので、試してみてはいかがでしょう。
ビールの泡は注ぎ方で変わる!?覚えておきたい正しい注ぎ方!
グラスの洗い方が極めて重要
生ビールをおいしく飲むには、グラスがきれいに洗浄されていることが前提条件です。グラスの洗浄が不十分だと、泡のキメが粗くなります。キメの粗い泡は消えやすく、ビールの酸化や劣化を防ぐ「フタ」の役割を期待できなくなってしまいます。
グラスを洗うときは、ぜひ以下のような点に注意して、なるべくきれいなグラスを用意するようにしましょう。
◇専用スポンジを用意
ビールの泡に油分は大敵。揚げ物や炒め物で油ぎった食器と一緒に洗うと、グラスに油が付着する恐れがあります。ビールをおいしく飲むには、必ずグラス専用のスポンジを用意して、グラス単独で洗いましょう。きれいで清潔なスポンジを使うのもポイントです。
◇洗い方の手順
まずグラスに残ったビールを水で洗い流します。専用スポンジに中性洗剤をつけ、グラスの内側と外側をていねいに洗います。洗い終わったら流水できれいにすすぎ、水切りラックなどに伏せて置きましょう。なお、洗剤に香りのついたものはおすすめしません。
◇自然乾燥で乾かす
すすいだあとは、ふきんなどで拭かず、自然乾燥させるのがポイント。ふきんなどの繊維が付着すると、微細なものであっても、泡のでき方に影響を与えることがあります。
お店で「生ビール」を飲む機会が減って物足りない思いをしていた人は、ぜひここで紹介した方法を参考にしてみてください。自宅でもおいしい「生ビール」をたのしめるはずですよ。

おすすめ情報
関連情報
日本ビール検定(びあけん)情報
