ビールの「ABV」とはアルコール度数のこと! 読み方や定義、IBUとの関係も紹介

「ABV(エー・ビー・ブイ)」とは「Alcohol by Volume」の略語で、アルコール度数を表す言葉。おもにビールなどアルコール飲料の缶やラベルに表示され、「%(パーセント)」や「度」で表されます。ここでは「ABV」の基本情報や「IBU(アイ・ビー・ユー)」との関係について紹介します。
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「IBU」や「EBC/SRM」などビールの特徴を表すアルファベット3文字の言葉はいくつかありますが、「ABV」もそのひとつ。ABVの概要から詳しくみていきましょう。
ABVはAlcohol by Volume=アルコール度数の略語

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「ABV」とは「Alcohol by Volume(アルコール バイ ボリューム)」の略語で、アルコール度数を表す指標のこと。ABV=アルコール度数と覚えておくと、ビール選びに役立ちます。
「ABV」はクラフトビールの缶やラベルに表示されるほか、バーのメニューやお酒を扱うお店のPOP、オンラインショップの商品詳細ページなどで見かけることがあります。また、ビールだけでなくワインやウイスキー、リキュールなどの酒類に使われることもあります。
ちなみに、「ABV」の読みは「エー・ビー・ブイ」。「7% ABV」「ABV 7%」のように表記されます。
ABV=アルコール度数の定義

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ここで、アルコール度数の定義についておさらいしておきましょう。
アルコール度数とは、アルコール飲料の総体積に対するエチルアルコールの体積濃度を%(パーセント)表示した数値のこと。日本の酒税法では「アルコール分」と表記し、第三条一において次のように定義しています。
出典 e-GOV法令検索|酒税法アルコール分
温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。
たとえば、15℃における原容量100ミリリットルにエチルアルコールが7ミリリットル含まれていれば、このお酒のアルコール分は7度です。酒税法ではアルコール分を「度」で表記していますが、「%(パーセント)」で表記することも可能です。
「アルコール分7度」は以下のように表記することもできます。
◇アルコール度数7度
◇アルコール分7%
◇アルコール度数7%
◇7% ABV/ABV 7%
◇ALC. 7%
なお、日本ではアルコール度数の小数点以下を切り捨てて表示することが一定の条件下で認められていますが、場合によっては小数点以下まで記載されることもあります。「7%」は「7.0%」と表記されることもあるので、覚えておくとよいでしょう。
(参考資料)
e-GOV法令検索|酒税法
酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達
ビールのABVとIBUの関係は?

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「ABV」と並んで、ビール選びの指標とされるアルファベット3文字の言葉に「IBU(アイ・ビー・ユー)」があります。
「IBU」は「International Bitterness Units(国際苦味単位)」の略で、ビールの苦味を表す数値のこと。一般的に数値が低いほど苦味が少なく、数値が高いほど苦味が強い傾向があります。
「ABV」との直接的な関係はありませんが、それぞれの数値をみることで、ビールの味わいや特徴をイメージしやすくなります。

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ABVはアルコール度数、IBUはビールの苦味を表す数値
「ABV(Alcohol by Volume)」はビールをはじめとする酒類のアルコール度数を表す言葉、一方の「IBU(International Bitterness Units/国際苦味単位)」はビールの苦味の度合いを表す言葉。両者は相互に関わりをもたない独立した数値で表されますが、いずれもビールの個性を左右する重要な要素。それぞれの数値を知ることでビールの特徴を想像しやすくなります。
「ABV」や「IBU」のほかにも、「EBC」「SRM」といったビールの特徴を表すアルファベット3文字の指標があります。
「EBC」は「European Brewery Convention(ヨーロッパ醸造協議会)」の略、「SRM」は「Standard Reference Method(標準参照法)」の略で、どちらもビールの色を表す単位。「EBC」はモルトの色合いを数値化したもので、おもにヨーロッパで使われます。「SRM」はビールの色度数を表します。いずれも数値が小さいほど薄い色、数値が大きいほど濃い色を表します。
こちらも「ABV」とは直接的に関係がありませんが、ビール選びの指標として役立ちそうですね。

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ABVとIBUの数値はビールの味わいを左右する重要な要素
先述したように、「ABV」と「IBU」の間に相互関係はなく、それぞれ異なる方法で計測されますが、完成したビールの味わいにはふたつの数値が大きく関わってきます。
ここで少し「IBU」について少しおさらいしておきましょう。
「IBU」は、イソアルファ酸(イソα酸)というホップ由来の成分に依存します。
ホップの毬花のなかにはルプリンと呼ばれる黄色い小さな粒が存在しますが、仕込みの工程で麦汁にホップを加えて煮沸すると、ルプリンに含まれるアルファ酸がイソアルファ酸という苦味成分に変化します。「IBU」の数値は、麦汁中にこの苦味成分がどれだけ含まれているかを計測することで得られます。
ホップの種類やホップの使用量、煮沸時間の長さなどによって麦汁中のイソアルファ酸含有量は変化し、イソアルファ酸の含有量が多いほど「IBU」の数値が高くなります。ビールの味わいを決定づける要素はほかにもたくさんあるので一概にはいえませんが、「IBU」の数値が高いほど苦味が強く、数値が低いほど苦味が少なくなる傾向があります。
ちなみに、日本で一般的に飲まれているビールは、ABV 5.0%程度、IBU15〜30程度といわれています。
ビールの味わいは、アルコール度数や苦味のほかにも、香りやコク、旨味、甘味などさまざまな要素がからみあって生まれるものですが、「ABV」と「IBU」の数値から、飲みやすさや飲みごたえ、苦味の強さなどの傾向をイメージすることはできそうですね。

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ビールのスタイル(ビアスタイル)を特徴づける
ビールにはさまざまなバリエーションがあり、原料や製法によって100種以上のスタイル(ビアスタイル)に分類されますが、ビアスタイルによっては、「ABV」や「IBU」によって特徴づけられる個性もあります。
たとえば、クラフトビールファンの間で人気が高い「IPA(アイ・ピー・エー/India Pale Ale)」のように、高めのアルコール度数と強い苦味が特長のビアスタイルでは、「ABV」と「IBU」が個性を大きく左右します。
IPAのなかにもいくつかの種類があり、通常のIPAよりもホップを多く使用した「インペリアルIPA」などは、ABVが10%以上、IBUに関しては100を超えるものもあり、ガツンとくる飲みごたえが魅力になっています。
逆に、ABVが3.8〜5.0%程度でIBUも30前後と抑えめの「セッションIPA」などは、軽快な飲み心地でお酒を飲み慣れていない人にも親しまれています。
「ABV」はビールだけでなく、ワインやウイスキー、スピリッツなどにも使われます。銘柄選びの指標として役立ててみてください。また、クラフトビールを選ぶときは、「IBU」と合わせて参考にしてくださいね。

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