日本酒のラベルに注目! 味わいのヒントやこだわりなど蔵元のメッセージを読み取ろう
日本酒のラベルには、銘柄名やお酒の特徴、セールスポイントなどさまざまなことが表示されています。ラベルを見れば、その日本酒の味わいの傾向を知ることもできます。今回は、蔵元のさまざまな想いが込められている、ラベルの見方について紹介しましょう。
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日本酒のラベルにはお酒に関する情報がいっぱい!
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日本酒のラベルの基礎知識
多くの日本酒のボトルには、3種類のラベルが貼られています。胴回りの表面にある「表ラベル」、裏面にある「裏ラベル」、ボトルの首から肩のあたりにある「肩ラベル」の3つです。それぞれの特徴を、かんたんに見ていきましょう。
◇表ラベル
銘柄の顔となる表ラベル。銘柄名や日本酒のタイプなどが表示されているほか、どんな日本酒なのかをわかりやすく伝えるために、さまざまな趣向が凝らされています。蔵元の個性が出やすいのが表ラベルです。
◇裏ラベル
裏ラベルには、アルコール分や原材料名、産地などの法令で表示が義務化されているデータのほか、成分や飲み方などが表示されていることもあります。
◇肩ラベル
肩ラベルには「無ろ過生原酒」や「生酒」など、おもに銘柄のアピールポイントが表示されています。肩ラベルの形は、正方形や円形、扇形、斜めに傾いているものなど、バリエーションが豊富です。
日本酒のラベルに表示が義務づけられている項目とは?
日本酒のラベルには、法令によって表示が義務づけられている項目があります。これらは、多くの場合、裏レベルに表示されています。
【表示が義務づけられている項目】
◇アルコール分
◇原材料名
◇原料米の産地表示
◇品目
◇内容量
◇製造時期
◇製造者の名称および製造場の所在地
◇二十歳未満の者の飲酒防止の注意書き
なお、生酒の場合は保存・引用上の注意書きを表示する義務があるほか、外国産清酒を使用した場合も、その旨を表示しなければなりません。
また、任意ですが、純米酒や吟醸酒などの特定名称の区分や、精米歩合、原料米名、日本酒度や酸度などの成分データなど、消費者が選ぶときのヒントになる情報が記載されることもあります。
初心者必見! 日本酒のラベルの読み方
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日本酒のラベルには味わいを知るヒントがある
日本酒のラベル(おもに裏ラベル)に、任意で表示されている「成分」の数値に注目すると、日本酒の味わいの傾向がわかります。表示される成分は、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つ。それぞれの特徴は以下のとおりです。
◇日本酒度
糖分の含有量を表す数値で、大きく甘口と辛口に二分する際の目安とされています。数値は、プラス(+1、+3など)とマイナス(-1、-3など)で表示され、一般的には、プラスになるほど辛口で、マイナスになるほど甘口の酒といわれます。
◇酸度
クエン酸や乳酸など、日本酒の酸味や旨味のもととなる有機酸の量が、数値(1.6、1.8など)で表示されています。酸度が高い(数値が大きい)と濃口で辛口に、酸度が低い(数値が低い)と淡麗な酒質に感じられることが多いようです。
◇アミノ酸度
アミノ酸の量を示す数値です。アミノ酸の含有量が多いほど濃醇な味わいになり、少ないほど軽やかな味わいになる傾向にあります。数値は酸度と同じように、1.6や1.8などと表示されます。
なお、これらの成分表示は義務ではないため、表示されていない日本酒もあります。
日本酒のラベルに記載された年月を見るポイント
日本酒のラベルには製造年月を必ず表記しなければいけません。この製造年月が表しているのは、「瓶詰めしたタイミング」です。瓶詰めするタイミングは日本酒によってさまざまで、搾りたての場合もあれば、搾ったあと半年以上経ってから詰められる場合もあります。熟成酒のように、数年以上寝かせてから瓶詰めされるものもあります。
また、近年増えているのが、「酒造年度(醸造年度)」の表示です。「BY( Brewery Year)」とも呼ばれる酒造年度は、7月1日から翌年6月30日までを1年の区切りとしています。そのため、たとえば「令和2BY」と表示されていれば、令和2年の7月1日から令和3年の6月30日までの間に造られた日本酒ということになります。
日本酒に表示されている「BY=酒造年度」のことを詳しく知りたい!
ラベル買いしたくなる日本酒はコレ!
日本酒のラベルが個性的になった理由
日本酒のラベルが個性的になった理由は、新規顧客の開拓のためです。従来の日本酒らしくない、スタイリッシュなラベルの登場で、それまで日本酒に興味のなかった人たちにも注目され、ファンが拡大。これを受け、ラベルもどんどん進化していったのです。
また、海外からの需要が高まったことも挙げられます。外国の人の好みを意識した商品を展開していく際に、ワインのようなラベルや、より日本らしさを強調したラベルが生まれました。
ラベルデザインの進化とともに、銘柄を選ぶときに、ラベルのデザイン性を重視する人も増えてきています。季節限定商品を含めたくさんの商品が並ぶなかで、「ラベルで目を引く」ということが重要性を増しているといえそうです。
ラベル買いしたくなる日本酒
ここでは、ラベル買いしたくなる旬な日本酒を紹介しましょう。
【荷札酒(にふだざけ)】
「荷札酒」は、新潟県の中央部に位置する加茂市に蔵を構える、加茂錦酒造の銘柄。若手杜氏・田中悠一氏が手がける「荷札酒」は、ボトルの表に荷札を貼ったようなオシャレなラベルが特徴です。搾ったあとに1度だけ火入れを行う、生詰め酒らしいやわらかなフレッシュ感と、エレガントな甘さをたのしめます。
加茂錦酒造株式会社
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【59醸(ゴクジョウ)】
「59醸」は、2015年に発足された「信州59年度醸造会」の略。長野県内にある5つの蔵の、「昭和59年度生まれの跡取り5人組」によるユニットで、毎年ひとつのテーマに沿って日本酒が醸されています。テーマとともにラベルデザインも年ごとに変わるため、毎年注目を集めています。6年目となる2020年のテーマは「すご6(双六)」で、黒を基調としたスタイリッシュさが際立つデザインとなっています。
59醸
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日本酒のラベルには蔵元の想いが込められているので、日本酒を選ぶときは、ぜひラベルにも注目したいもの。また、近年は「先入観なく日本酒を味わってほしい」と、表示義務のない情報をあえて記載しないケースもあるようですが、どんな原料や成分のお酒なのかと想像しながら飲むのもたのしそうですね。
日本酒のラベルデザインが今熱い! 見て飲んでたのしいラベルの世界