卵酒(たまご酒/玉子酒)は風邪に効く? 子供が飲んでも大丈夫? おいしい卵酒の作り方も紹介
「卵酒(たまご酒/玉子酒)」とは、日本酒に鶏卵を加えた飲み物のこと。今回は、卵酒の概要や含まれている栄養、卵酒の基本のレシピ、電子レンジを使う作り方やアレンジ、子供が飲んでも大丈夫かどうか、日本酒の蔵元が作るおすすめの卵酒などを紹介します。
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卵酒とはどんなものか、概要からチェックしていきましょう。
卵酒とはどんな飲み物?
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卵酒は日本酒を使う飲み物です。まずは概要や含まれている栄養などについて確認します。
卵酒は日本酒ベースのホットカクテル
卵酒は、ベースの日本酒に鶏卵と砂糖を加えて作るホットカクテルです。
冬の季語でもある卵酒は、古くから飲まれていて、江戸時代の文献にも、水・麹(こうじ)の黄かび・砂糖・鶏卵を使ったものなどが登場します。
また、海外には卵・砂糖・牛乳で作る「エッグノッグ」と呼ばれる飲み物があります。エッグノッグも卵酒のように、ブランデーやラム酒を加えてカクテルとして飲む場合があります。
さらに、オランダの「アドヴォカート」や、オーストリアの「アイヤーリキュール」など、世界各国にはさまざまな卵酒のリキュールがあります。
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卵酒の効果は? 風邪に効くって本当?
卵酒は栄養豊富な飲み物です。
材料の卵には、良質なたんぱく質が多く、必須アミノ酸もバランスよく含まれています。そのほかにも、ビタミンAやビタミンE、動脈硬化やアルツハイマー型認知症の予防などに効果が期待されているレシチン、殺菌効果のあるとされるリゾチームといった成分が含有されています。
また、ベースの日本酒にも、アミノ酸類やペプチド、α-D-グルコシルグリセロール(α-GG)など、体によい効果が期待されるさまざまな成分が含まれています。
よく、卵酒は風邪に効くといわれますが、こうした成分が滋養となって、体調の回復をあと押しするからかもしれません。
なお、日本酒をベースとする卵酒には、アルコールが含まれています。アルコールが飲めない体質の人や卵アレルギーのある人は飲まないようにしましょう。処方薬、市販薬にかかわらず、風邪薬などの薬との併用も絶対に避けてください。
卵酒のレシピを紹介
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卵酒の基本レシピからみていきましょう。
とろとろの卵酒の作り方
各工程でポイントを確認しながら、とろとろの卵酒を作っていきましょう。泡立て器や調理用の温度計をそろえておくと便利です。さっそく材料からみていきます。
<材料>
卵:1個
砂糖:大さじ1~2
日本酒:180ミリリットル
※砂糖と日本酒はお好みで増減してください
<作り方>
1.卵と砂糖をボウルに入れ、泡立て器などを使ってよく混ぜましょう。卵黄と卵白が混ざりきらないまま作ってしまうと舌ざわりが悪くなってしまうので、卵白が残らないよう、泡立つくらい混ぜるのがポイントです。より滑らかにしたい場合には、混ぜたあとにザルなどで漉(こ)すとよいでしょう。
2.小鍋に日本酒を入れて温めます。ここでのポイントは温度です。卵は、卵白が60度前後、卵黄が65度前後から固まり始めるといわれているので、50~60度くらいを目安に火から下ろします。アルコールをある程度飛ばしたい場合には1~2分程度沸騰させましょう。沸騰後の日本酒は、50~60度くらいなるまで冷ましてから次に進みます。
3.1に2を注いで混ぜ合わせます。このときのポイントは、2を注ぐ際、ゆっくり少しずつ入れること。注いだら、そのたびによくかき混ぜて、すっかり混ぜ合わさったらとろとろの卵酒の完成です。
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レンジでも作れる卵酒
卵酒は電子レンジで作ることもできます。手軽なレンジレシピをチェックしていきましょう。混ぜる際には、小さな泡立て器を使うと便利です。
<材料>
卵:1個
砂糖:大さじ1~2
日本酒:100ミリリットル
※砂糖と日本酒はお好みで増減してください
<作り方>
1.陶器製など電子レンジOKのカップに卵を割り入れてほぐします。
2.1に砂糖を入れて、基本レシピと同じようによく混ぜます。
3.2に日本酒を入れて、さらによく混ぜます。
4.3を、ラップをせずに電子レンジに入れて、500ワット30秒を目安に温めます。
5.4.を取り出してよくかき混ぜます。
6.4と5を繰り返し、お好みの温かさになったら完成です。
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アレンジもたのしい卵酒
卵酒は温かいものを飲むのが一般的ですが、冷やしてもおいしく飲めます。
すりおろしたショウガを加えたり、エッグノッグ風に牛乳を入れたり、シナモンなどのスパイスやバニラエッセンスを振りかけたりすると、風味がいっそう増して味わいの幅が広がります。
また、アイスクリームにかけたり、カクテルベースにしたりしてみてもよいでしょう。
いろいろな卵酒アレンジをたのしんでみてくださいね。
卵酒は子供が飲んでも大丈夫?
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卵酒には日本酒が使われているため、アルコールが含まれています。子供が飲んでも大丈夫なのでしょうか。
日本酒を加熱すると、アルコール分を飛ばすことができます。加熱した際の日本酒のアルコール度について女子栄養大学が行った実験では、沸騰後2分加熱するとおよそ半分になり、沸騰後10分加熱すると1度以下になるという結果が出ています。
酒税法で「酒類」は「アルコール分1度以上」と定義されているので、10分以上加熱した日本酒のうち、アルコール度が1度に満たないものは、法律上は子供が飲んでも違法ではない、ということになります。
しかし、子供一人ひとりのアルコール耐性は未知数。たとえアルコール度数1度未満であっても、お酒を使った卵酒は飲ませないほうが安心といえます。
「栄養たっぷりのおいしい卵酒を子供にも飲ませてあげたい」と思ったときには、お酒を入れずに作るエッグノッグや、アルコールが含まれていない米麹甘酒を使った卵酒などがおすすめです。ここではこちらも栄養豊富な米麹甘酒を使う卵酒レシピをチェックしていきます。
<材料>
卵:1個
米麹甘酒:100ミリリットル ※お好みで増減してください
〈作り方〉
1.卵をボウルに入れ、泡立て器などを使ってよく混ぜ、ザルなどで漉しておきます。
2.米麹甘酒を小鍋に入れて50~60度くらいまで温めます。米麹甘酒は自然の甘味がある飲み物ですが、このときにお好みで砂糖やショウガなど加えてもよいでしょう。
3.卵が固まらないよう、1に2を静かに少しずつ、かき混ぜながら入れて完成。
なお、同じ甘酒でも酒粕を使ったものにはアルコールが含まれているので注意が必要です。
蔵元が作る卵酒も飲んでみよう
日本酒の蔵元が作るおすすめの卵酒を2種紹介します。
「勝山 元祖たまご酒」宮城県/仙台伊達家 勝山酒造
出典:仙台伊達家 勝山酒造株式会社ONLINE SHOP
江戸時代創業の宮城県の勝山酒造は、吟味した米と水で、純米酒以上の高級酒のみを、1週間に1タンクだけ仕込むなど、こだわり抜いた酒造りを実践している老舗蔵元。「勝山 元祖たまご酒」は、代々受け継がれてきた製法で造られるリキュール酒で、19世紀の女性たちに愛されていた味を再現した逸品です。
アルコール度数10度以上11度未満。
製造元:仙台伊達家 勝山酒造株式会社
公式サイトはこちら
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日本酒銘柄「勝山」については、こちらの記事でも紹介しています。
「たまござけ」福島県/仁井田本家
出典:有限会社仁井田本家オンラインストア
福島県郡山市田村町の仁井田本家は、全量自然米・天然水・生酛造りの蔵元で、代表銘柄「にいだしぜんしゅ」などを手掛けています。「たまござけ」は、純米料理酒「旬味(しゅんみ)」をベースに、会津やますけ農園の自然卵など良質の材料を使用。温めても冷やしてもおいしい手作りの1本です。
アルコール分9%。
製造元:有限会社仁井田本家
公式サイトはこちら
公式オンラインストアはこちら
栄養たっぷりの卵酒のほっとする味わいは、ひと息つきたいときの1杯にもおすすめです。リラックスタイムに卵酒を飲んで、日々の疲れを癒やしましょう。