「スプリングバンク」は、塩辛さが魅力のキャンベルタウンモルト

「スプリングバンク」は、塩辛さが魅力のキャンベルタウンモルト
出典 : El Nariz/ Shutterstock.com

「スプリングバンク」は、塩辛さと甘美な香りが特徴のシングルモルトウイスキーです。世界中に熱狂的なファンを抱える「スプリングバンク」とは、どんな魅力を持つウイスキーなのでしょうか。今回は、蒸溜所の歴史とともに、製法や商品ラインナップを紹介します。

  • 更新日:

スプリングバンク蒸溜所の歴史

スプリングバンク蒸溜所の歴史

Shaun Barr/ Shutterstock.com

スプリングバンク蒸溜所とは?

1828年創業のスプリングバンク蒸溜所は、J&Aミッチェル社が経営する独立系の蒸溜所です。もともと立ち上げたのはレイド家ですが、すぐにミッチェル家が買い取り、蒸溜所の長い歴史を歩んできました。

過去には幾度か、蒸溜所閉鎖に追い込まれたこともあったそうです。しかし、スプリングバンク蒸溜所は紆余曲折の歴史を乗り越え、昔ながらの製法を大切にしながら、今も高品質のウイスキーを生産し続けています。

スプリングバンク蒸溜所はキャンベルタウンを代表する蒸溜所

スプリングバンク蒸溜所は、スコットランドの南西に位置する、キンタイア半島のキャンベルタウンという街にあります。かつて陸の孤島であったこの地では、17~18世紀の密造酒時代にも、人目を避けてウイスキー造りが行われていました。

400年以上もの蒸溜の歴史を持つキャンベルタウンには、最盛期の19世紀後半ころには30を超える蒸溜所があったそう。かの有名なニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏が、「ウイスキーの都・キャンベルタウン」に魅せられ、20世紀初頭に修業のために訪れていたことでも知られています。

しかし、時代とともに衰退し、現在操業しているのは、スプリングバンク蒸溜所のほかグレンガイル蒸溜所、グレンスコシア蒸溜所の3か所のみとなっています。

なお、グレンガイル蒸溜所はスプリングバンク蒸溜所と同じミッチェル社が所有しています。

キャンベルタウンモルトに特徴的な味わいとは

キャンベルタウンは、海に囲まれた港湾都市として発展してきました。北米をはじめ、イングランドやグラスゴーとの海上交易の拠点として便利な立地であることから、19世紀にはウイスキー産業を中心に造船業や燃料となる石炭の産出を含め、さまざまな産業が栄華を極めたと伝わっています。

このように、海に近いという立地の影響を受け、キャンベルタウンで造られるモルトからは、「ブリニー」と表現される塩辛さが感じられます。また、とろりとオイリーで重厚な口当たりも、キャンベルタウンモルトに特徴的な味わいといえるでしょう。

スプリングバンクに特徴的な製法

スプリングバンクに特徴的な製法

nnattalli/ Shutterstock.com

スプリングバンク蒸溜所では、すべての工程を自社内で行う

スプリングバンク蒸溜所は、製麦からボトリングまでの全工程を一貫して行う、稀有な蒸溜所のひとつです。

近年、スコットランドでは、スコッチウイスキーの製造工程を分業制で行うのが一般的で、すべてを自社内で手がける蒸溜所はほとんどありません。しかし、スプリングバンク蒸溜所では、一つひとつの工程で伝統の技を活かし、手間をかけて上質なウイスキーを完成させています。

そうして生まれる「スプリングバンク」には、蒸溜所の個性が色濃く反映されていて、独特の味わいが魅力となっています。

「スプリングバンク」は、昔ながらの製法にこだわって造られる

スプリングバンク蒸溜所では、昔ながらの製法にこだわっています。麦芽自給率は100%。手間のかかるフロアモルティングを採用し、蒸溜に適した複数種類のモルトを製麦しています。

また、仕込み(糖化)に使用するマッシュタンは130年を超える年代もの、発酵を行うウォッシュバック(発酵槽)はヴァイキング時代に船材として使われていた北欧産カラマツ製、と製造に用いる道具も昔ながらのものを大切に使用しています。

古きよきウイスキーの伝統を守り、蓄積された知見を最大限に活用して、「スプリングバンク」は造られているのです。

ブランドによって蒸溜回数やピートの使用量が異なるのも特徴

スプリングバンク蒸溜所では、ブランドごとに蒸溜回数を変えて、独特の味わいを造り出しています。

スプリングバンク蒸溜所が抱える主力ブランドは、「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」の3種類。それぞれの蒸溜回数は2.5回、2回、3回です。なお、蒸溜回数2.5回は、蒸溜回数2回と3回のモルトをブレンドしていることを意味しています。

また、ピート(泥炭)の使用量もそれぞれ違うため、ピート香の強さが異なるのも特徴です。3つのブランドのなかでピート香がもっとも強いのは「ロングロウ」。対して「ヘーゼルバーン」はノンピートで造られるため、ピート香はありません。

それでは次に、3ブランドの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。

スプリングバンクの商品ラインナップ

スプリングバンクの商品ラインナップ

Shaiith/ Shutterstock.com

スプリングバンク

ほどよくピートを焚いたモルトを原料に造られる「スプリングバンク」。蒸溜回数は2.5回で、適度なピート香や塩気、とろりとオイリーな舌触りをたのしめるのが全体的な特徴です。飲み方は、トゥワイスアップやハーフロックなどがよく合います。

「スプリングバンク」を代表する3つの銘柄の特徴は、以下のとおりです。

【スプリングバンク10年】
シングルモルトウイスキーのなかでも、塩辛さがとくに際立つ1本。「モルトの香水」と称されるウイスキーだけあって、洋ナシやバニラ香を中心に、フローラルで華やかな香りをたのしめます。

【スプリングバンク15年】
おもにシェリー樽で熟成させたシングルモルト。ダークチョコレートを思わせる芳醇な風味が特徴で、ドライフルーツのような味わいや塩味もたのしめます。

【スプリングバンク18年】
長期熟成によってもたらされる、熟した果実のような香りやバニラ香、オイリーな口当たりが特徴です。リッチでフルーティーな味わいのなかに、ほのかな塩味も感じられます。

ロングロウ

ピートをよく焚いたモルトで造られる、ヘビーピートタイプの「ロングロウ」。アイラ島で造られるアイラモルトほどではありませんが、強いピート香に特徴があります。

蒸溜回数は、スコッチウイスキーではスタンダードな2回。さまざまなモルト原酒をブレンドしていて、複雑で飲みごたえのある、力強い味わいをたのしめます。芳醇な甘さやリッチでクリーミーな余韻も魅力。飲み方は、ストレートやロックなどがおすすめです。

ヘーゼルバーン

ロングロウとは逆に、ピートを焚き込まないノンピートモルトで造られる「ヘーゼルバーン」。蒸溜回数は3回で、ライトな味わいに特徴があります。このノンピートおよび3回蒸溜は、じつはアイリッシュウイスキーによく見られる製法です。

飲み方はストレートやロックがおすすめ。オレンジやマンゴーなどのフルーティーな香りやキャラメルのような香り、塩気を感じる複雑で豊かな味わいをたのしめます。

なお、スタンダード品はバーボン樽で熟成させた「ヘーゼルバーン10年」ですが、年に1回、シェリー樽で熟成させた原酒を100%使用した「ヘーゼルバーン12年」が限定生産されています。


キャンベルタウンモルトを代表するスプリングバンクは、世界中にファンが多く、入手しにくい銘柄としても知られています。機会があれば、「モルトの香水」と評される華やかな香りと特有の塩気を、じっくり堪能してみてはいかがでしょう。

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事