焼酎の香りを徹底分析! 香りを左右する5大要素とたのしみ方を知っておこう

焼酎の香りを徹底分析! 香りを左右する5大要素とたのしみ方を知っておこう
出典 : Nishihama/ Shutterstock.com

焼酎は原料や製法によって香味が変わってきますが、近年とくに注目されているのが本格焼酎の香りです。焼酎の個性ともいうべき香りは、どのようにして引き出されるのでしょうか。ここでは、焼酎の香りを左右する要素に着目して、たのしみ方を紹介します。

  • 更新日:

焼酎の香りを左右する基本要素

焼酎の香りを左右する基本要素

Zsolt Biczo/ Shutterstock.com

焼酎の香りを左右する要素:原料・麹・酵母

焼酎の香りは、芋や麦、米などの原料や麹など、さまざまな要素によって変化します。製法上の工夫によって、焼酎に幾重にも重なる複雑な香りや厚みのある香りを与えることも可能です。まずは焼酎の香りを左右する要素のうち、原料由来のものを見ていきましょう。

【原料】

芋や麦、米、黒糖、栗、そばなど、焼酎の主原料によって、香りは変わります。同じ原料でも、産地や品種が違えば香りに影響します。原料由来の香りをどこまで引き出せるかは、製法次第です。

【麹】

白麹や黒麹、黄麹といった種麹の種類によっても香りは大きく異なってきます。一般に、白麹は軽快でマイルドな香味に、黒麹は原料の個性が生きた味わいに、黄麹は日本酒の吟醸香を思わせるフルーティーで華やかな香りに仕上がるといわれています。

【酵母】

麹に水と酵母を加えて発酵させ、もろみを造る工程を「一次仕込み」と呼びます。ここで使用する酵母によって、焼酎にさまざまな香りを添えることができます。近年は、フルーティーな香りを生む吟醸酵母や花酵母、ワインのような香りを生むワイン酵母などが用いられるケースもあるようです。

焼酎の香りを左右する要素:蒸溜・熟成

焼酎の香りは蒸溜によって決定づけられ、貯蔵・熟成によって深みを増します。

【蒸溜】

焼酎の香りを決定づけるのが蒸溜の工程。主原料や麹、酵母などで引き出した香りをどこまで抽出するかで個性が変わってきます。
焼酎の蒸溜方法は「単式蒸溜」と「連続式蒸溜」の2種類で、本格焼酎を含む「単式蒸溜焼酎」は、前者の方法で蒸溜します。

また、単式蒸溜は、「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」の2つの方法に分けられます。昔ながらの常圧蒸溜は、若干雑味が残りやすい分、原料由来の香味をふんだんに引き出せるのが特徴。一方、昭和後期に普及した減圧蒸溜は、クリアで飲みやすい焼酎を造りますが、香りはやや控えめに仕上がります。

【熟成】

焼酎は貯蔵・熟成させることで、ガス臭や油臭・油分などが取り除かれ、酒質が安定するといわれています。半年、1年、2年、3年と寝かせるうちに香味が落ち着いて深みが増すのです。また、タンクや樫樽(かしだる)、甕(かめ)といった貯蔵に用いる容器によっても香りは大きく変わってきます。なかでもウイスキーやシェリー酒の貯蔵に使われる樫樽は、焼酎にバニラやナッツを思わせるふくよかな香りを付与するといわれています。

焼酎の種類別にみる香りの傾向

焼酎の種類別にみる香りの傾向

maradon 333/ Shutterstock.com

芋焼酎と麦焼酎、米焼酎の香りの違い

本格焼酎のなかでも根強い人気を誇るのが、芋焼酎や麦焼酎、米焼酎です。大まかに、香りの傾向を見ていきましょう。

芋焼酎の香りの魅力は、なんといっても芳醇で甘い香り。製法や芋の品種の違いによって、焼き芋のような香りやフルーティーな香りなどさまざまな香りをたのしめますが、熱心なファンにはクセの強い独特の芋の香りが好まれます。

麦焼酎の香りの特徴としては麦の香ばしさが挙げられますが、香りにクセのないすっきりしたタイプも人気です。

米焼酎は、日本人になじみ深い米を原料に造られます。銘柄によって個性はさまざまで、炊きたてのご飯のような甘い香りや、吟醸酒のようなフルーティーな香りが魅力です。

ほかにも試したい! 香り豊かな焼酎

芋焼酎、麦焼酎、米焼酎のほかにも、香り豊かな焼酎が多数あります。奄美諸島の自然が育む黒糖焼酎は黒糖由来の甘い香りが特徴。スイーツ好きな人ややさしい甘味を好む人には、栗焼酎も人気です。また、料理に合わせてさっぱりとした香りをたのしみたいときは、「鍛高譚」に代表されるしそ焼酎もおすすめ。そば好きな人には、そば焼酎という選択肢もあります。

焼酎の香りを堪能する飲み方

焼酎の香りを堪能する飲み方

funny face/ Shutterstock.com

焼酎の香りは割り方によって表情を変える

焼酎の香りは割り方によっても変化します。銘柄の個性をそのままたのしむなら、ストレートやロック、水割りがおすすめです。

香りを存分に堪能するなら、お湯割りが適しています。お湯割りは、温度によって香りが微妙に変化するのが魅力。グラスや酒器からほんのりと立ち上がる香りをたのしむなら30度程度の日向燗(ひなたかん)が、香りの個性に浸るなら40度程度のぬる燗がおすすめです。お湯の温度が高すぎると香りが飛んでしまう可能性があるため、適度に冷ましたお湯に、あとから焼酎を注ぐのがポイントです。

お燗で香りを堪能

焼酎の香りをたのしむ際におすすめしたいのが、前割り焼酎のお燗です。好みの濃度に割り水した焼酎をひと晩からふた晩寝かせ、水の粒子となじませることでまろやかさがアップ。徳利などに入れて飲む直前に湯煎するか、黒千代香(くろぢょか)のような直燗用の酒器でじわじわと温めれば、香り豊かな燗酒が仕上がります。好みの香りの焼酎に出会った際はぜひためしてみてください。

焼酎の香りは千差万別。さまざまな要素によってその個性は変化します。原料や麹の違い、製法や熟成期間の異なる焼酎を飲み比べて好みを見極め、お気に入りの香りを探してみてください。

おすすめ情報

関連情報

焼酎の基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事