ビールの豆知識あれこれ! 雑学でビールをもっとたのしく
ビールはいつごろ誕生したの? 「生ビール」とはそもそもどういう意味? ビールは私たちにとってもっとも身近なお酒のひとつですが、その歴史や定義など、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。今回は、知っているとビールがいっそうたのしくなる、ビールをめぐるさまざまな豆知識を紹介します。
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ビールの豆知識1:ビールの起源・歴史編
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ビールが誕生してから約5000年!
ビールが誕生した時期や発祥国については諸説ありますが、今から5000年前、紀元前3000年ごろには誕生していたといわれています。あまりイメージしづらいかもしれませんが、日本では縄文時代の中期から後期にあたります。
ビールについての最古の記録としては、紀元前3000年ごろのメソポタミアの地で、シュメール人が残した粘土板に、楔形文字と絵でビール造りの様子が刻まれていることが確認されています。
なお、ビールはエジプトでも古くから飲まれていたと考えられ、紀元前2700〜2100年ごろに描かれたとされるピラミッドの壁画にも、ビール造りをする人の姿を見ることができます。
ちなみに、同時代である縄文時代の日本にもちろんビールはなく、ヤマブドウなどの果実酒が造られていたそうです。
日本にビールが入ってきたのは400年前だった!?
世界でビールが生まれたのが5000年前なので、日本にもかなり昔に伝わってきたものと思われがちですが、じつは意外にも遅く、日本にもたらされたのは江戸時代初期のことです。
鎖国する前の長崎の出島にイギリス船が入港した際、積み荷のリストにビールが入っていて、それが日本にビールが伝わった最古の記録といわれています。
しかし、当時は、ヨーロッパの国々が世界中へと進出していった大航海時代です。鎖国前の日本にもスペインやポルトガルなどの船が寄港していたため、もっと前からビールを知っていたという可能性はあります。
ちなみに、大航海時代の船乗りたちは、水よりも腐りにくいビールを飲料水の代わりに飲んでいたといわれています。アメリカ新大陸を発見したコロンブス一行の船には、400樽ものビールが積まれていたそうです。
時代は少し進み、鎖国時代の出島では、杉田玄白などの蘭学者がオランダ人からビールを教わり、飲むだけでなく醸造もしていたと伝わっています。一般に、これが日本のビールの歴史の始まりとされているようです。
日本にビール醸造所が初めてできたのは約150年前!
長い鎖国政策が終わり、幕末から明治にかけてさまざまな西洋文化が導入されるようになると、ビールなどの食文化も急速に広まっていきました。
明治2年(1869年)には、日本初のビール醸造所となる「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」が横浜の外国人居留地で開業。以降、国内に続々とビール醸造所が設立されていきました。
そうして、日本人が経営するビール会社が初めて登場したのは、明治5年(1872年)のこと。旧家出身の渋谷庄三郎氏が、大阪で「渋谷(しぶたに)ビール」を創業し、ビールの醸造・販売を開始しました。「渋谷ビール」は、渋谷氏が亡くなる明治14年(1881年)まで販売されていたそうです。
ビールの豆知識2:ビールの種類・味わい編
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自宅でも「生ビール」が飲めるってほんと?
「生ビール」は、お店でしか飲めないと思っていませんか?
そもそも「生ビール」とは、製造工程で熱処理をしていないビールのことを指します。熱処理は、酵母の働きを止め、雑菌の活動を抑えるために行われるもので、かつてはビール造りに欠かせない工程でした。
しかし、近年は醸造技術が発展し、熱処理を行わずにおいしいビールを造ることが可能になっています。つまり、熱さないという意味合いで「生」と呼ばれているのです。
現在、日本で流通しているビールのほとんどが「生ビール」なので、自宅でも「生ビール」をたのしめるということになります。
ビールは冷やせば冷やすほどおいしいわけではない!
ビールはキンキンに冷やしたほうがおいしいと思われがちですが、じつはビアスタイルごとに適温が異なります。
日本に多く流通しているピルスナービールの適温は、5度から7度程度。これより低温だと、人間の味覚の性質で味を感じにくくなったり、ビールの香りが広がりづらくなったりします。つまり、キンキンに冷えたビールは、冷たいのど越しが爽快に感じられるかもしれませんが、本来の味をたのしめていない可能性があるのです。
ちなみに、エールビールのように、あまり冷やさないほうがおいしく飲めるビールもあります。また日本よりも寒い気候のヨーロッパには、ビールをキンキンに冷やして飲む習慣は根付いていないようです。
水はあまり飲めないのに、ビールはなぜ何杯も飲めるの?
「ビールなら何杯でも飲める!」という人もいますが、水はがぶがぶと飲むことはできません。ビールの大ジョッキを3~4杯飲める人はいても、水を飲める量はせいぜい1~1.5リットル程度という研究結果もあります。一体、なぜなのでしょうか?
その理由は、ビールに「ガストリン」という胃から出るホルモンの分泌を促進させる働きがあるからといわれています。「ガストリン」の作用で、胃のなかにため込む能力が上がると同時に、胃から腸への排出が促される可能性があると考えられているのです。
ただし、まだ研究段階で、ビールをたくさん飲める理由について、はっきりと解明されているわけではありません。あくまで、可能性のひとつとして捉えておきましょう。
ビールの豆知識3:ビール瓶や缶にまつわる雑学編
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ビールの大瓶はなぜ633ミリリットル?
昭和15年(1940年)に酒税法が制定され、それまでバラバラだったビール瓶の内容量が統一されることになりました。それに伴って、国内で使用されているビールの大瓶の内容量を調べたところ、最大のもので約643.9ミリリットル(3.57合)、最小のもので約633.1ミリリットル(3.51合)だったそう。
これを受け、「ビールの内容量を最小のものに合わせれば、それより大きな瓶も引き続き使用することができる」という理由から、昭和19年(1944年)に大瓶は約633ミリリットル(3.51合)に統一されることになりました。
ビール瓶の王冠栓のギザギザの数にはどんな意味がある?
ビール瓶などに使用されている王冠栓は19世紀末にアメリカで誕生し、明治33年(1900年)に初めて日本で導入されました。しかし、当時は瓶の大きさがバラバラだったため、きちんと締まらず、炭酸が抜けやすかったりしたようです。
さて、この王冠栓には、スカートと呼ばれるギザギザがついています。じつは特大瓶を除いて、ギザギザの数は世界共通で21個と定められています。これは、3の倍数が力学的に安定することを踏まえて研究を重ねた結果、ギザギザが21個の場合に、もっとも締めつけがよく、しかも開けやすい状態になったからなのです。
アルミ缶はどれほど薄い?
軽くて冷蔵庫で冷えやすいなどのメリットがあるアルミ缶ですが、アルミニウムを作るには大量の電気エネルギーを消費します。そのため、地球温暖化防止の観点から、できるだけ少ないアルミニウムで製造できるよう、各メーカーではアルミ缶の軽量化・薄肉化(うすにくか)が目指されてきました。
現在、ビールや炭酸飲料などで使用されているアルミ缶の厚さは非常に薄く、もっとも薄い胴の部分で約0.1ミリメートルと、新聞紙と同じくらいの薄さになっています。
ビールを日常的にたのしんでいる人でも、ビールをめぐる歴史などの豆知識は意外と知らないのではないでしょうか。雑学はお酒をいっそうたのしくしてくれます。