鳥取の日本酒【稲田姫(いなたひめ)】出雲神話に登場する美女の名を冠した酒
「稲田姫」を醸すのは、鳥取県米子(よなご)市の蔵元、稲田本店。地元を代表する老舗として知られる一方、都内で「稲田姫」など鳥取の地酒や郷土料理をたのしめる飲食店を展開し、知名度を高めています。ここでは、「稲田姫」の魅力や、その蔵元の挑戦の歴史を紹介します。
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「稲田姫」は300年以上の歴史を持つ老舗の代表銘柄
出典:稲田本店サイト
「稲田姫」の蔵元の革新的な挑戦の歴史
「稲田姫」の蔵元は、鳥取県米子市に蔵を構える稲田本店。その創業は江戸時代前期の延宝元年(1673年)までさかのぼります。
山陰を代表する老舗として知られる稲田本店は、この地の伝統にのっとり、大山(だいせん)山麓の恵みを活かした酒造りを続ける一方で、つねに革新的な挑戦を続けてきました。
明治5年(1892)には、海外から導入されたばかりのビール造りにも着手(現在は休止)。昭和6年(1931年)には、全国で初めて冷やして飲む「冷用酒」を発売し、いまも「トップ水雷(すいらい)」という名で「稲田姫」と並ぶ代表銘柄となっています。
さらに、昭和42年(1967年)には、全国に先駆けて「精米歩合50%の純米酒」を醸造するなど、数々の先駆的な取り組みを続けてきました。
稲田屋本店を設立、新たな歴史をスタート
稲田本店の歴史は340年以上にわたりますが、近年になって大きな転機が訪れました。1995年、後継者の不在に悩んでいた稲田家から、明治初期から酒造りを続けてきた梅原家に経営が引き継がれたのです。
新たなスタートを切った稲田本店は、1997年に飲食部門として別会社・稲田屋本店を設立。「稲田姫」をはじめ、鳥取の地酒を全国に広げる取り組みを通じて、さらなる発展をめざします。
「稲田姫」の酒名は出雲神話に由来
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「稲田姫」はスサノオノミコトに助けられた姫の名前
「稲田姫」という酒名は、出雲神話に登場する姫の名に由来しています。
昔、出雲の国で8つの頭と尾をもつ大蛇「ヤマタノオロチ」が暴れ、若い娘が生贄とされていたところ、「スサノオノミコト」が強い酒で「ヤマタノオロチ」を酔わせて退治。命を救った稲田姫を伴侶とし、子孫は大いに繁栄したといいます。
この姫の名にちなんで名づけられた「稲田姫」は、神話のとおり、大蛇をも惹きつける魅力を持った酒。本醸造から純米大吟醸まで、豊富なラインナップが展開されています。
「稲田姫」のイチオシ、幻の米を用いた「いなたひめ強力」
出典:稲田本店サイト
「いなたひめ強力」は「稲田姫」シリーズの人気商品
「稲田姫」が原料とするのは「山田錦」や「五百万石」など、よりすぐりの酒造好適米のみ。加えて、2002年には地元・鳥取県産の“幻の酒造好適米”「強力(ごうりき)」を採用し、「いなたひめ強力」をラインアップに加えました。
かつては鳥取県を代表する酒造好適米として普及していた「強力」は、栽培の難しさから40年もの間、生産が途絶えていましたが、地元の蔵元や農家の力で復活を果たしました。
この「強力」を用いた「いなたひめ強力」は、フルーティーな香りと米の旨味が魅力。「稲田姫」のラインナップでも指折りの人気商品となっています。
「稲田姫」を飲むなら「稲田屋」へ
出典:稲田本店サイト
「稲田姫」を郷土の食材を使った料理とともにたのしむ
「稲田姫」は鳥取の地酒だけに、鳥取の郷土料理とともにたのしみたいもの。そこでオススメなのが、稲田本店の関連会社、稲田屋本店が運営する「稲田屋」です。
「稲田屋」は、2020年1月現在、地元・鳥取に1店舗、日本橋や新橋など東京に8店舗を展開。「稲田姫」をはじめとする多彩な日本酒とともに、「のどぐろ」や「鳥取和牛」などの郷土料理がたのしめます。
接客スタッフには「利酒師(ききざけし)」の資格取得を奨励するなど、蔵元が経営する居酒屋ならではのもてなしも魅力です。
「稲田姫」を洋風料理と一緒に!
2014年には、「稲田屋」の姉妹店であり、唯一の洋食店舗である「ビストロカフェ ももてなし家」が新橋駅前にオープンしました。
鳥取県と岡山県のアンテナショップに併設された同店は、地元食材を使った料理とともに蔵元の日本酒を含む幅広い酒類を提供しており、洋風かつカジュアルに「稲田姫」をたのしめます。
鳥取県の老舗、稲田本店は、飲食店舗も展開するなど、新たなファンづくりをめざした挑戦を続けています。老舗が守る日本酒の味を、地元食材を使用したこだわりの料理とともにたのしみたいですね。
製造元:株式会社稲田本店
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