和歌山の日本酒【龍神丸(りゅうじんまる):髙垣酒造】蔵元夫婦の絆が復活させた酒

和歌山の日本酒【龍神丸(りゅうじんまる):髙垣酒造】蔵元夫婦の絆が復活させた酒
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「龍神丸」を醸すのは、天保11年(1840年)創業の紀州・有田の老舗蔵、髙垣酒造です。「龍神丸」は、生みの親である8代当主の急逝によって一時は製造休止となったものの、その妻の尽力で復活を果たしました。有田の地酒「龍神丸」の魅力を、その背景にある夫婦の絆とともに紹介します。

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「龍神丸」は紀州・有田の老舗蔵、髙垣酒造が空海ゆかりの名水で仕込む酒

「龍神丸」は紀州・有田の老舗蔵が空海ゆかりの名水で仕込む酒

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「龍神丸」の蔵元、髙垣酒造は江戸時代後期創業の老舗

「龍神丸」の蔵元として知られる髙垣酒造は、江戸時代後期の天保11年(1840年)創業の老舗であり、約170年にわたり「紀勢鶴(きせいづる)」「紀ノ酒(きのさけ)」といった紀州・有田の地酒を造り続けてきました。
歴史ある髙垣酒造の蔵や塀は、文化庁の登録有形文化財に登録されていて、今もなお当時の酒造りを伝えています。

「龍神丸」の蔵元、髙垣酒造を支える霊水「空海水」

「龍神丸」をはじめ、髙垣酒造の酒造りに欠かせない要素が、有田川の源流から湧き出る「空海水」です。その呼び名は、弘法大師・空海が発見した不老長寿の霊水であるとの言い伝えに由来するのだとか。
そもそも、髙垣酒造が誕生したきっかけも、創業者がまろやかでコクのある「空海水」に魅せられ、この霊水で酒を造ることを思いついたことだと言われています。昔も今も、なめらかな口当たりの「空海水」が髙垣酒造の酒造りを支えているのです。

「龍神丸」を復活させた、蔵元夫婦の絆

「龍神丸」を復活させた蔵元夫婦の絆

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「龍神丸」は髙垣酒造の8代目当主が生んだ傑作

「龍神丸」は、髙垣酒造の長い歴史のなかでは新しい銘柄。8代目当主・髙垣淳一氏の手で2004年に生み出されました。
「龍神丸」という名は、紀州の屋根と呼ばれる護摩壇山(ごまだんざん)を駆け昇り、大空を飛翔する龍の姿をイメージして名づけられたと言います。
香りのよい「和歌山酵母」を用いて、丹精こめて醸した「龍神丸」は、米の旨味が活きた地酒として人気を獲得。石川雅之氏の人気コミック「もやしもん」で紹介されたこともあり、全国的な人気銘柄となりました。

「龍神丸」を生んだ8代目の酒造りを、妻が引き継ぐ

「龍神丸」の蔵元を、突然の悲劇が襲ったのは2010年のこと。淳一氏が46歳という若さで急逝し、「龍神丸」をはじめとする髙垣酒造の酒造りは中断を余儀なくされました。
しかし、「龍神丸」の歴史は幕を閉じることはありませんでした。淳一氏の意志を引き継いだ妻・任世氏が「先祖や夫が積み重ねてきた酒造りの歴史を絶やしてはならない」と、酒造りを再開。淳一氏の存命中は専業主婦として子育てに専念していた任世氏ですが、義父の指導のもと、近隣の蔵元や顧客の激励にも後押しされながら、9代目当主を継ぎ、中断から4年後に「龍神丸」を復活させたのです。

「龍神丸」だけではない、髙垣酒造が醸す珠玉のラインナップ

「龍神丸」だけではない、小規模蔵が醸す珠玉のラインナップ

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「龍神丸」の蔵元、髙垣酒造には定番から新銘柄まで幅広いな味わいが揃う

「龍神丸」の名が全国区となってからも、先代の淳一氏、そして原当主の任世氏は、よりよい酒造りを追求。伝統的な銘柄から新たな挑戦まで、幅広い銘柄をラインナップしています。

【紀ノ酒(きのさけ)】

「紀ノ酒」は“酒造好適米の王様”「山田錦」だけを50%精米して醸造した純米吟醸。まさに日本酒らしい旨味に溢れる、オーソドックスな1本です。

【喜楽里(きらり)】

「喜楽里」は、先代の淳一氏が開発した銘柄で、力強い味わいと米由来の甘味が魅力。しっかりとした味わいながら、上品でやわらかな口当たりで、「龍神丸」よりもこちらを好むファンも少なくないのだとか。

【里の花(さとのはな)】

「里の花」は、現当主の任世氏が立ち上げた新しい銘柄です。髙垣酒造のラインナップのなかでは甘口のお酒で、フレッシュな香りと上品な甘味が魅力です。

私たちが「龍神丸」を味わえるのは、先代・淳一氏と現当主・任世氏の強い絆により、独特で繊細な酒造りが受け継がれたからこそ。人気・知名度に対して生産量が少なく、入手困難な銘柄ではありますが、機会があれば、ぜひ、味わってみたい1本です。

製造元:髙垣酒造株式会社
公式サイトなし

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