「スモーキーフレーバー」の正体を探る!【ウイスキー用語集】
「スモーキーフレーバー」とは、ウイスキーの製造過程で麦芽の乾燥にピート(泥炭)を用いることで生まれる香りのこと。スモーキーフレーバーとはどんな香りで、どのように生まれるのか、その特徴から種類、さらに料理などとのマリアージュも含めて説明します。
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「スモーキーフレーバー」はどうして生まれる?
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スモーキーフレーバーはピート(泥炭)から生まれる
スモーキーなフレーバーのもととなるのが「ピート(泥炭)」です。
ピートとは、ヒースやヘザーといった植物が堆積し、長い年月をかけて炭化したもの。ウイスキーの一大産地・スコットランドの湿原は「大地全体がピートでできている」と言われるほどで、古くから掘り出したピートを乾燥させ、日常生活で燃料として使用してきました。
このピートをウイスキー造りの際、麦芽(モルト)の乾燥に用いることで、ウイスキーにスモーキーフレーバーが生まれるのです。
採取地で変わるピートの香り
ピートの品質は多種多様で、もととなる植物もヒース、ヘザー、苔から海藻、葦、シダなどと、バラエティーに富んでいます。ちなみにスコットランドでは、ヒースやヘザーが中心ですが、日本では葦やシダが多いのだとか。
こうした原料の違いが、造られるウイスキーの味わいにも大きく影響します。木材が少なく草木が多い地方のピートを使用すると、華やかな香りが強くなります。一方、アイラ島のように海藻が多いピートを使用すると、薬品のようなヨード香が強くなります。
「スモーキーフレーバー」の種類と数値化
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スモーキーフレーバーにも種類がある
スモーキーフレーバーは一様ではなく、ピートの原料や、モルトを燻(いぶ)す度合いによって変化します。
世界各国のウイスキーブレンダーは、スモーキーフレーバーを3つに分類して区別しているそうです。燻製のような香ばしい香りを「ピーティー」、薬品のようなヨード臭を「メディシナル」、バランスの悪い印象を与える香りを「ハーシュ」と呼んでいます。
それだけ、スモーキーフレーバーは繊細で、奥の深い香りだと言えるのではないでしょうか。
ピーティーはウイスキーの個性が冴える特有の香り!
スモーキーフレーバーを数値化する
「スモーキーフレーバー」と一口に言っても、どのような香りかは実際に嗅いでみないとわかりません。そこで役立つのが「フェノール値」。スモーキーフレーバーの原因物質となるフェノール化合物(フェノール類)の量を数値化したものです。
「フェノール値」は百万分率(ppm)で表します。スモーキーフレーバーで知られるウイスキー銘柄で示すと、「ボウモア」なら20〜25ppm、「ライフロイグ」なら40〜50ppmという具合です。
ただし、フェノール値と実際に飲んだときのスモーキーさは、必ずしも一致しないので、数値はあくまで参考にしておくのが無難なようですね。
「スモーキーフレーバー」が引き立つマリアージュとは?
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スモーキーフレーバーが引き立つおつまみ
スモーキーフレーバーを特徴とするウイスキーには、同様にスモーキーな香りをもった食材が合うと言われています。
代表的なものとしては、ムール貝の薫製や、ニシンの薫製マリネなどが挙げられます。とくに潮の香りたつアイラモルトをたのしむなら、海を感じる香りと味わいが特徴の生牡蠣、オイルサーディン、塩辛など塩辛いものもオススメです。
スモーキーフレーバーをたのしむ飲み方
ウイスキー本来の味や香りを素直にたのしむには、ストレートがおすすめですが、スモーキーフレーバーの強いウイスキーは初心者にはややハードルが高いかもしれません。
そこでオススメの飲み方がトワイスアップ(トゥワイスアップ)。氷を使わず、常温の水とウイスキーを1対1で割る飲み方です。水を加えることで香りが開くと言われ、アルコール度数も下がることで、より繊細な味をたのしめます。
また、炭酸で割ったハイボールも初心者には飲みやすいでしょう。
トワイスアップ(トゥワイスアップ)はウイスキーの香りが沸き立つ飲み方
スモーキーフレーバーについて、味わいや香りを中心に説明しました。スコットランドでウイスキーが生まれて以来、スモーキーフレーバーは伝統的な香りの王道かもしれません。ウイスキーの原点とも言えるスモーキーフレーバーを、心ゆくまでたのしんでみましょう。
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