「宮水(みやみず)」って何? その正体を解説【日本酒用語集】

「宮水(みやみず)」って何? その正体を解説【日本酒用語集】
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「宮水(みやみず)」は、日本酒好きのあいだで“酒造りに理想の水”として知られる、兵庫県西宮の名水です。「宮水」は国内屈指の酒処・灘の酒造りを支えてきた要因のひとつとされ、灘酒とともにその評価を高めてきました。ここでは、「宮水」の概要や歴史について解説します。

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「宮水」が酒造りに最適と言われる理由は?

「宮水」が酒造りに最適と言われる理由は?

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「宮水」のミネラルバランスが酒造りに最適!

「宮水」とは、もともとは「西宮の水」が略されたもので、その名のとおり、兵庫県西宮市の沿岸部で湧き出る井戸水を指します。
「宮水」は、古くから西宮を含む灘五郷で造られる灘酒の品質を支える要素のひとつとして知られてきましたが、その理由は水質にあります。
宮水はミネラル分が豊富な「硬水」で、とくに酵母のはたらきを活発にするリンやカリウムや多く含まれています。一方で、酒の色や香りを悪くする鉄分は少なく、酒造りに最適なミネラルバランスとなっています。

「宮水」の水質は絶妙な地形がもたらしたもの

「宮水」のミネラルバランスは、独特の地形が生み出したものです。
「宮水」が湧き出る西宮市沿岸部は、古代には海の入り江で、その地下には3つの伏流水が流れ込んでいます。
そのうち2つは、海からもたらされるリンやカリウム、塩分などをたっぷりと含んでいます。残るひとつは六甲山からの急流で、豊富に含まれる酸素が鉄分と結びつき、酸化鉄として除去することで、酒造りに絶好な水質となるのです。

「宮水」と灘の酒の歴史を追う

「宮水」と灘の酒の歴史を追う

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「宮水」の歴史は江戸時代に始まる

「宮水」が発見されたのは、江戸時代末期のこと。灘の老舗「櫻正宗(さくらまさむね)」の6代目当主、山邑太左衛門氏によるものと言われています。
当時、山邑家は西宮郷と魚崎郷に蔵を構えていましたが、同じように造っているはずなのに西宮蔵の酒のほうがおいしく、その秘密を調べるうちに、仕込み水の水質が原因ではないかと考えました。
試しに西宮蔵の井戸水を魚崎蔵でも用いたところ、同様においしい酒ができました。これが「宮水」の起源です。

「宮水」が支えた「下(くだ)り酒」の品質

「宮水」を用いた酒造りを本格化させることで、「櫻正宗」の品質は高まり、人気銘柄となりました。これを見て、西宮郷をはじめ、灘の蔵元たちは競うように「宮水」を使うようになり、灘酒の品質向上に大きく貢献しました。
灘の酒は、大消費地である江戸に運ばれ、上方(かみがた)から運ばれる「下(くだ)り酒」と呼ばれましたが、灘酒の品質の高さから、いつしか「下(くだ)りもの」が高級品の代名詞に。ここから、粗悪品や取るに足らないものを「下(くだ)らないもの」と呼ぶようになったのだとか。

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「宮水」の現在、そして未来

「宮水」の現在、そして未来

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「宮水」のような硬水でなくともよい酒が造れる時代に

「宮水」のようなミネラル分豊富な硬水は、酵母の増殖を助け、日本酒の品質を安定させます。このため、かつては硬水での酒造りが基本でしたが、醸造技術の向上した現在では、ミネラルの少ない軟水での日本酒造りも広がっています。
「宮水」を含む硬水で造る日本酒は、灘酒のような辛口のキレが特徴。一方、軟水でじっくりと醸す日本酒は、まろやかな甘口となる傾向があります。
硬水で造る日本酒と、軟水で造る日本酒、どちらが優れているというのではなく、蔵元がめざす味わいに応じて使い分ける時代を迎えているのです。

「宮水」の水質を未来につなぐために

「宮水」でなくともおいしい日本酒が造れる現在もなお、「宮水」の価値が変わることはありません。「櫻正宗」をはじめ、歴史ある灘の蔵元の多くが、今も「宮水」にこだわった酒造りを続けています。また、「大関(おおぜき)」「白鹿(はくしか)」「白鷹(はくたか)」3社の宮水井戸敷地は「宮水庭園」として整備され、地域の文化財としても愛されています。
ただし、3つの伏流水の絶妙なバランスによって生み出される「宮水」の水質を維持するためには、環境の変化を最小限にとどめる必要があります。そこで近年では、灘の蔵元が一丸となって保全活動に取り組んでいます。

「宮水」が支える灘酒の品質は、古くから舌の肥えた日本酒愛好家を満足させてきました。時代が変わっても、「宮水」の絶妙なミネラルバランスが、多くの人々をたのしませ続けるでしょう。

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