日本酒の瓶のサイズは多種多様の時代!?
日本酒の瓶のサイズと言えば、かつては一升瓶が主体でしたが、その後、市場のニーズに応える形でバリエーションが増えています。とくに近年では、少量サイズの瓶が増えたことで、日本酒の選び方が大きく広がっています。日本酒の瓶のサイズの変化と、その背景や影響について探ってみましょう。
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日本酒の瓶の基本サイズを知ろう
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日本酒基本サイズの一升瓶と四合瓶
日本酒の瓶と言えば、一升瓶と四合 (よんごう)瓶が一般的なサイズです。一升はリットルに換算すると約1.8リットルになりますが、一升は何合でしょう? ベテランにとっては当たり前すぎる問題ですが、ご存じない人のために…。
お米の計量と一緒で、一合=約180ミリリットルなので、一升は10合です。四合瓶は一合×4で、約720ミリリットルとなります。
なぜ“四”合瓶?
日本酒の基本サイズの1つとなっている四合瓶は、なぜ一升の半分の五合でなく、少し多めの六合でもなく、四合なのでしょう?
これはその昔、日本には「盃(はい)」という液体の単位があり、この一盃が四合に相当していたことが関係しています。「盃」に日本酒を入れて回し飲みして飲み干すという文化があったため、日本酒の四合瓶が定着したようです。
「ちょっと一杯やろうよ」の「杯」は、もともとはこの「盃」を指していました。その昔の「ちょっと一杯」は、決して「ちょっと」ではなかったようです。
少量サイズの瓶の日本酒が増加中のわけ
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瓶の少量サイズ化の潮流
日本酒の瓶のサイズはかつて、一升瓶と四合瓶、そして一合のカップ酒くらいしかありませんでした。しかし、日本酒消費の減少や小家族化などから、一升瓶より四合瓶、そして四合瓶よりもっと少容量の300ミリリットルのサイズが多く出回るようになりました。
瓶の少量サイズ化が新たな購買層を発掘
さらに、ここ数年では、一合瓶(180ミリリットル)から200ミリリットル瓶くらいの飲み切りサイズが増加し、人気を呼んでいます。
こうした小容量の日本酒は、「ちょっと飲みたい」「いろいろな銘柄を少しずつ飲んでみたい」という需要に応える商品で、とくに女性からの支持が多いとのこと。軽くてかさばらないため、海外からの旅行客の手土産としても喜ばれているそうです。
スマートでオシャレな日本酒の瓶サイズ
四合瓶よりちょっと少なめの500ミリリットル瓶の日本酒は、瓶のデザインにも凝った稀少性やプレミアム感のある商品、ターゲットに女性を意識した日本酒が多くみられます。
各地の地酒の小容量瓶をコレクションするのも、たのしそうですね。
日本酒の瓶のサイズを限定する蔵元も
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瓶のサイズと日本酒の品質の関係
日本酒の瓶のサイズ展開が増える一方で、四合瓶にこだわる蔵元も出てきました。
「風の森」で知られる奈良県の油長(ゆちょう)酒造は、四合瓶での販売が基本。その理由は、飲み頃のうちに飲み切ってもらいたいから。火入れをしない生酒のピチピチとしたフレッシュさが魅力の「風の森」は、飲み頃が短いのです。
革新的な日本酒造りで熱狂的なファンが多い秋田県の新政酒造も、ほとんどの日本酒を四合瓶で提供し、開栓後、酸化させずに速やかに飲み切ることをすすめています。
自分の身の丈に合った量を買うという時代の流れで、日本酒の瓶も少容量サイズが増えていったようです。たくさん飲みたい人だけでなく、ちょっとだけ飲みたい人にもジャストのサイズがあることで、日本酒のすそ野が広がっているようです。