徳利(とっくり)の洗い方のポイントは? 陶器やガラスなど素材別の洗い方やカビの対処法も紹介!

徳利は独特な形状をしていることもあり、洗い方にはポイントがあります。今回は、素材を問わない徳利の洗い方の基本ポイント、陶器製徳利の目止めの仕方と洗い方、磁器製やガラス製の徳利の洗い方、徳利にカビが生えた場合の対処法などについて紹介します。
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まずは、徳利の洗い方の基本的なポイントをチェックしていきましょう。
押さえておきたい! 徳利の洗い方の基本ポイント

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徳利(とっくり/とくり)は、お酒を入れるための酒器の一種で、燗酒などでよく使われます。
首がすぼまっていて、下部に比べ口が狭くなっている独特の形状であるため、徳利は洗いにくい酒器といえます。しかし、内部が汚れている徳利を使えば、日本酒のせっかくの香味が損なわれるおそれがあります。
じつは、徳利の洗い方にはいくつかポイントがあります。陶器製・磁器製・ガラス製を問わない、徳利の洗い方の基本的なポイントを、洗浄前・洗浄時・洗浄後でみていきましょう。
<洗浄前>
◆使ったらすぐに洗う
時間を置くと汚れが落ちにくくなるので、使用後は速やかに洗いましょう。
◆油分がついている食器と一緒に洗うのは避ける
徳利の内部に油分が入らないように気をつけましょう。
◆食器洗浄機(食洗機)は使わず、手で洗う
食洗機で洗うと徳利内部の汚れが落ち切らない場合があります。手洗いがおすすめですが、食洗機を使う場合は、油分がついている食器とは分けて洗う必要があります。
◆専用のブラシやスポンジを使う
徳利の内部に入る、やわらかめのブラシやスポンジを用意して、「酒器専用」として使いましょう。ほかの食器と共用すると油分が付着してしまうおそれがあります。
<洗浄時>
◆汚れがひどい場合は重曹を使う
徳利は、熱湯でよくすすいでから、専用のブラシやスポンジで洗うか、中性洗剤を使います。汚れがひどい場合に重宝するのが重曹です。内部が汚れている場合は、お湯100ミリリットルに対して小さじ1杯の重曹を入れてつけ置きしてみましょう。
◆洗剤分が残らないようにしっかりすすぐ
中性洗剤を使用する際には、十分な時間をかけてしっかりすすぎます。洗剤分が残っていると、お酒の香味に悪影響を与えてしまいます。
<洗浄後>
◆吸水性のあるやわらかい布で拭く
すすぎ終わったら、吸水性のあるやわらかい布でしっかり拭きましょう。ちりがついてしまわないよう、毛羽が出にくい布を選ぶのもポイントです。
◆完全に乾燥させてから収納する
徳利を逆さにして水気を切り、内部を完全に乾燥させます。しっかり乾燥できていないとカビが生える原因になります。
◆収納時にはラップでふたをする
完全に乾燥させたあとは、口にラップをしてからしまうとよいでしょう。徳利の内部にほこりや虫が入るのを防ぎます。
なお、徳利の名の由来やお銚子との違いなど、徳利についてもっと知りたいときには、こちらの記事がおすすめです。
陶器製徳利の洗い方のポイント

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陶器の表面には、釉薬(ゆうやく/うわぐすり)と呼ばれるガラス質の薄い膜がかかっているものでも、目には見えない無数の小さな穴が空いています。そのため陶器には、吸水性が高く、ニオイや汚れがしみ込みやすいという、磁器やガラスにはない特徴があります。
そこで、陶器製徳利の購入後、使用開始前に行いたいのが、陶器の表面をコーティングする「目止め」です。詳しいやり方をみていきましょう。
使用開始前に行いたい「目止め」とは?
「目止め」とは、陶器の表面に無数にある小さな穴を、デンプン質でコーティングすること。吸水性が高い陶器に目止めを行うことで、ニオイや汚れがしみ込むのを抑えます。
陶器の徳利を購入したら、以下を参考に、目止めを行ってから使い始めましょう。
(1)大きめの鍋を使用
大きめの鍋に徳利を入れます。このとき、鍋の底に清潔な白布巾を敷いておくと、徳利の破損リスクが軽減されます。
(2)米のとぎ汁を入れる
徳利が全部浸かるまで、米のとぎ汁を注ぎます。しっかり目止めするために、米のとぎ汁は濃い目のものがよいでしょう。また、米のとぎ汁が用意できない場合は、片栗粉や小麦粉を濃い目に溶かした水でもOKです。ただし、米・片栗粉・小麦粉それぞれについて、アレルギーがある人が徳利を使う場合には、アレルゲンの使用は避けてください。
(3)30分ほど煮沸し自然に冷めるのを待つ
鍋を火にかけます。沸騰したら弱火にして30分ほど煮沸します。その後は火を止めて、そのまま自然に冷めるのを待ちます。必ず水の状態から火にかけましょう。沸騰したところに徳利を入れると破損するおそれがあります。また、煮沸後の急冷も破損の原因となります。
(4)きれいに洗って水分を拭き取り、乾燥させる
冷めたら徳利を取り出して、きれいに洗い、米のとぎ汁のぬめりを取ります。洗い終わった徳利は、乾いた布でしっかり水分を拭き取って、半日ほど自然乾燥させます。
これで目止めは完了です。
使用しているうち、目止めの効果は少しずつ薄れてきます。徳利を使う頻度に合わせて、半年に一度、1年に一度など定期的に目止めを行って、効果を持続させましょう。

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陶器製徳利の洗い方で気をつけたいこと
吸水性が高い陶器製の徳利は、使用後なるべく早く洗いましょう。
また、日本酒の成分がしみ込むと、カビの原因にもなります。すでにしみ込んでいる場合には、お湯につけて日本酒成分を抜くようにします。
つけ置き時間の目安は、15分程度。あまり長い時間お湯に浸けていると、水分を吸収しすぎてしまいます。陶器はもろい素材で、吸水しすぎると破損しやすくなるので注意が必要です。
磁器製徳利の洗い方のポイント

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「陶磁器」として、陶器とくくられることも多い磁器ですが、陶器と違って吸水性がないのが特徴です。
磁器の徳利を洗う際には、中性洗剤を使いましょう。
磁器製の徳利のうち、気をつけたいのが絵つけしてあるものや金箔が施してあるもの。表面を洗う際には、傷がついたりはがれたりしないように、やわらかな専用のスポンジで優しく洗ってください。
また、磁器は基本的に漂白剤の使用もOKですが、絵つけがあるものや金箔が施してあるものについては、漂白剤の使用は避けましょう。
ガラス製徳利の洗い方のポイント

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一般的なガラス素材は、ニオイを吸収しないので、基本的には中性洗剤を使用し、専用のやわらかいスポンジなどを使って洗います。
油で汚れてしまった場合は重曹を使うとよいでしょう。また、水垢がひどい場合にはクエン酸を使うのもおすすめです。
しかし、クリスタルガラスについては変質する可能性があるため、クエン酸の使用は避けましょう。
なお、ガラスには高温に弱いという特徴があります。ガラス製の徳利を洗うときも、ぬるま湯がよいでしょう。熱いお湯をかけるのはNGです。破損につながります。
カビが生えてしまった徳利の洗い方は?

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万が一、徳利にカビが生えてしまったら、磁器製やガラス製の場合は薄めた漂白剤につけ置きして除菌しましょう。
陶器製の徳利の場合も漂白剤を使います。塩素系の漂白剤ではニオイが抜けなくなるおそれがあるため、酸素系の漂白剤を使ってつけ置きしましょう。その後はお湯に浸けて漂白剤の成分を抜いてください。
なお、見た目はさておき、カビをとにかく死滅させたいという場合には、煮沸がおすすめです。80度で30分程度加熱することで、ほとんどのカビは死滅します。
再びカビが生えてしまわないよう、カビ取り後は完全に乾燥させてから収納するようにしましょう。
いったんカビが生えてしまうと、漂白剤を使ってももとの見た目には戻らない場合があります。とりわけ、磁器製やガラス製に比べ、取り扱いが難しい陶器製の徳利を使うときには、「カビは生やさない」と心に決めて、しっかりお手入れするのがおすすめです。
