日本酒グラスでお酒を飲もう! 吟醸酒や純米酒におすすめのグラスの特徴は?
日本酒グラスとは、日本酒を飲むときに使うグラスのこと。今回は、日本酒グラスの概要、香りや味わいにも影響する形状ごと&素材別の特徴、容量、日本酒グラスでお酒を飲むときの決まりの有無、吟醸酒や純米酒を飲むときにおすすめのグラスなどを紹介します。
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目次
日本酒グラスの概要からチェックしていきましょう。
日本酒グラスとは?
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日本酒グラスとは、日本酒を飲むためのグラスのことです。
各種のワイングラスやブランデーグラスのように定番化された形状のものはありませんが、日本酒造組合中央会推奨とされるものや、グラスメーカーが開発したものなど、多くの日本酒用のグラスが流通しています。
日本酒にはたくさんの種類があります。それぞれの特長を存分にたのしむため、日本酒用のグラスには形状などにさまざまな工夫が凝らされています。
なお「日本酒グラス」という言葉は、日本酒を飲むときに使う酒器全般を指す、広い意味合いでも使われています。その場合は上述の日本酒用のグラスに加え、ガラス製以外の陶磁器製や金属製のものなども含まれることがあります。
以降は、後者の広義的な意味合いの「日本酒グラス」について紹介していきます。
香りや味わいが変わる! 形状ごとの日本酒グラスの特徴は?
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日本酒の香りや味わいは、飲む際に使うグラスの形によって感じ方が変わってくるといわれています。日本酒グラスの形状ごとの特徴をみていきましょう。
湾曲性の高いグラス|香りを堪能したいときに
日本酒の香りを堪能したいときには、ブルゴーニュ型のワイングラスやブランデーグラスのような、湾曲性が高く飲み口がすぼまっている形状の日本酒グラスがおすすめです。
グラスのなかで広がり、上部のすぼまりによって凝縮された香気が引き出され、存分に香りをたのしむことができます。
日本酒専用のグラスを用意してもよいですが、ブルゴーニュ型ワイングラスやブランデーグラスで日本酒を飲んでも問題ありません。
一方、香りを抑えたいときには、小型で直線系の形状のグラスを選ぶとよいでしょう。
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口径が広いグラス|旨味やコクをたのしみたいときに
日本酒の旨味やコクを味わいたいときには、口径が広い形状の日本酒グラスがおすすめです。
口径が広いと、飲んだときにお酒が口のなかいっぱいに広がるため、旨味をはじめ甘味や酸味、苦味など、さまざまな味わいが一度に感じやすくなり、コクのある味わいを堪能することができます。口が広く底が浅い平杯(平盃/ひらはい)なども、お酒の味わいがよくわかる酒器といわれています。
一方、軽快な味わいをたのしみたいときには、口径が狭いグラスを選ぶとよいでしょう。スパークリングワインを飲むときに使われるフルート型のグラスなどがおすすめです。
陶器製のものが主流ですが、口径が広いぐい呑みもお酒の味わいがたのしめる酒器です。
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口をつける部分が薄いグラス|繊細な味わいのお酒を飲むときに
繊細な味わいの日本酒を飲むときには、口をつける部分が薄い日本酒グラスを選ぶとよいでしょう。飲み口が器に邪魔されずスムーズになり、繊細な香りや味わいがクリアに感じられる傾向にあります。
一方、香りよりも旨味やコクを重視したタイプのお酒を飲むときには、陶器製のおちょこ(お猪口)など、フチに厚みのある酒器がおすすめです。ふくよかな味わいがより強調される傾向にあります。
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小ぶりのグラス|冷酒や熱燗など飲みたい温度帯が決まっているときに
飲みたい温度帯が決まっている場合には、小ぶりの日本酒グラスがおすすめです。
大ぶりのグラスにお酒をたっぷり注いで飲むと、飲み干すまで時間がかかるため、せっかく冷やした冷酒がぬるくなったり、温めた燗酒が冷めてしまう可能性があります。
一方、常温で飲む場合には、グラスの大きさを気にする必要はありません。香りや味わいなど、そのときたのしみたいものに合わせてグラスを選んでもよいですし、デザインなど好みのものをチョイスしてもよいでしょう。
燗酒にぴったりな酒器といえば、小ぶりで保温性も高い陶器製のおちょこ。その魅力に迫った記事はこちらです。
日本酒グラスの素材別の特徴は?
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日本酒グラスの素材別の特徴もみていきましょう。
ガラス製の日本酒グラス
ガラスには味やにおいがありません。お酒の香りや味わいの邪魔をしないため、繊細な日本酒を飲むときにぴったりな素材といえます。
また、熱伝導率が低いため、注いだお酒の温度が変わりにくいという利点もあります。ガラス製のグラスは基本的に透明で印象が涼しげなため、冷酒に向いた酒器といえるでしょう。
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そのほかの素材の日本酒グラス
日本酒グラスにはガラス以外にも多種多様な素材が使われています。
陶器には保温性があるため、陶器製の酒器は燗酒に向いています。対して磁器は温まりやすく冷めやすいという特徴があります。ともに日本酒との相性がよく、飲み口がやわらかくなるといわれています。
錫(すず)や銅といった金属製の酒器には、熱伝導率が高いという特徴があります。お酒を注ぐ前に氷を入れるとたちまち冷えることから、冷酒向きといえるでしょう。とはいえ、温度を保つ性質はないので、冷酒や燗酒を飲む際には小ぶりのものがおすすめです。
錫やチタンの酒器は金属臭がしないという長所もあります。
木製の酒器は、木のぬくもりや香りが感じられるものが多く、口当たりがソフトになる傾向があるようです。
日本酒グラスに入る量ってどのくらい?
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日本酒グラスの容量は千差万別です。
たとえば、上述のブルゴーニュ型のワイングラスやブランデーグラスの容量をみてみると、ブルゴーニュ型ワイングラスでは500ミリリットル程度から900ミリリットル以上まで、ブランデーグラスは200ミリリットル程度から600ミリリットルくらいのものまで幅広い選択肢があります。
これらのグラスに、ワインやブランデーをなみなみ注いで飲むということは通常ありえませんが、日本酒を飲む際にも注ぐ量には十分気をつけましょう。
対して、一般的な平杯は30~100ミリリットル、フルート型のワイングラスは150~200ミリリットル、日本酒造組合中央会推奨の日本酒用グラスの容量は70~120ミリリットルと、容量が少なめで飲み切りやすいサイズとなっています。
おちょこやぐい呑みも種類が多く、容量もまちまち。利き酒で使う蛇の目のおちょこの容量を目安とすると45~180ミリリットルとなっています。
日本酒グラスでの飲み方に決まりはあるの?
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日本酒グラスでの飲み方には、何かルールがあるのでしょうか。
ワインのような決まりがあるわけではありませんが、たのしい時間を過ごすためにも、ごく一般的なマナーを守って飲むのがおすすめです。
たとえば、ワイングラスを使うなら、ワインのマナーに準じて、乾杯時に勢いよくグラスを合わせることは控えましょう。とくに、薄いガラス製のものは破損する可能性もあります。
また、飲みたくないときにグラスを伏せておくのは、見栄えもよくなく、失礼にあたります。断りきれない場合は、1杯受けつつ、ひと口だけ飲んで置いておくのがベターです。
吟醸酒や純米酒など日本酒の種類別おすすめグラスを紹介
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フルーティーで華やかな香りのものが多い吟醸酒系の日本酒は、ブルゴーニュ型ワイングラスのような湾曲性の高いグラスで香りを堪能しましょう。
日本酒グラスでまず挙げられるのが、オーストリアのグラスメーカー・リーデルが手掛ける、「リーデル・オー」シリーズの「大吟醸オー」や、「リーデル・スーパーレジェーロ」シリーズ「大吟醸」などの大吟醸酒・吟醸酒向け商品。いずれも縦長のボウル形状で、フレッシュでフルーティーな香りとさわやかなのどごしがたのしめます。
また、デザイン性に富む数多くの日本酒グラスのプロデュースを行っている木本硝子では、人間工学にもとづいた美しい曲線を持つグラスシリーズ「es」を展開。なかでも大吟醸酒など香りが華やかな日本酒向けの「華」には、いくつかのフォルム違いがあり、お酒のタイプに合わせてチョイス可能です。
さらに、電球を手吹きで作る技術を活かした松徳硝子の極薄グラスシリーズ「うすはり」の「大吟醸」も、香りがゆっくり堪能できる形状となっています。
米の旨味が存分に味わえる純米酒系の日本酒には、口径が広いグラスがおすすめです。
日本酒グラスでは、リーデルの「エクストリーム」シリーズの「純米」、ドイツ人デザイナーが日本の「盃」をデザインした木本硝子の「Marlene XANA <雅>」などが口径の広い純米酒向けのグラスといえます。
また、冷酒で飲みたいさわやかなタイプの日本酒は、軽やかさが強調されるフルート型のグラスがぴったりです。濃厚な熟成酒を飲みたいときは、ショットグラスを試してみるのもよいでしょう。小さなグラスでも十分香りがたのしめます。
好みのお酒を見つけたら、そのお酒に合う日本酒グラスを探してみるのがおすすめです。お気に入りの日本酒グラスでおいしい日本酒をよりたのしく味わいましょう。