埼玉の日本酒【鏡山(かがみやま)】小江戸川越に復活した幻の銘酒

埼玉の日本酒【鏡山(かがみやま)】小江戸川越に復活した幻の銘酒
出典 : 小江戸鏡山酒造サイト

「鏡山」は「小江戸」と呼ばれた川越の地で、長きにわたり愛飲されてきた地酒。造り手であった老舗蔵の廃業により、一度は姿を消した「鏡山」でしたが、地元の有志たちが地域の協力のもとに復活させました。そんな「鏡山」の魅力を紹介します。

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「鏡山」は、明治以来の歴史を誇る川越の地酒

「鏡山」は、明治以来の歴史を誇る川越の地酒

出典:小江戸鏡山酒造サイト

「鏡山」は、かつて城下町として反映し、「小江戸」と呼ばれた川越の地で、長きにわたり愛飲されてきた地酒です。
その造り手は、明治8年(1875年)創業の老舗蔵、鏡山酒造。創業者の一人が滋賀県の出身で、藤原定家の歌にも詠まれた故郷の名峰・鏡山をしのんで、その名を蔵と銘柄に冠したのだとか。

鏡山酒造は、品質第一をモットーに、明治から大正、昭和と、時代が移りゆくなかで、地元の人に愛される地酒を提供し続けてきましたが、1999年に惜しまれつつ廃業。蔵元の終焉とともに、一度は120年に及ぶ歴史に幕を下ろした「鏡山」でしたが、地域の人々のあいだでは、長年にわたって親しんできた「鏡山」を惜しむ声が絶えなかったと言います。

そうした声を背景に、酒造りに情熱を燃やす若者たちが集い、「鏡山」という銘柄を復活させるべく、新たな蔵元として小江戸鏡山酒造を設立。2007年2月に酒造りをスタートさせました。

明治以来の歴史をもつ「鏡山」はこうして復活を遂げ、平成の蔵人たちの手によって、時代に合う味わいへと進化を果たしています。
なお、廃業した鏡山酒造の建物は、改修を経て、現在は観光施設「小江戸蔵里(こえどくらり)」として多くの観光客で賑わっています。

「鏡山」を復活させた、若者たちの情熱と地域の支援

「鏡山」を復活させた、若者たちの情熱と地域の支援

出典:小江戸鏡山酒造サイト

「鏡山」を復活させた小江戸鏡山酒造は、平成になってから創業した、酒造業界では貴重な“若い”会社です。杜氏をはじめとした蔵人たちもまた、設立当時は全員が30代という若さ。そんな蔵元が造る「鏡山」は、まさに、若さと伝統が融合した酒と言えるでしょう。

とはいえ、「鏡山」の復活への道程は、必ずしも平坦なものではありませんでした。廃業した鏡山酒造は、建物こそ残っていたものの酒造設備はすでになく、新たな蔵を建設する必要がありました。加えて、酒造りに欠かせない良質な水を、どう確保するかという問題もありました。

壁にぶつかった若者たちに手を差し伸べたのが、この地で江戸時代から続く老舗の醤油蔵でした。醤油と日本酒は、どちらも同じ醸造品であり、それ以前に、川越の地で歴史を重ねてきた同士の連帯感から「鏡山」の復活を助けようと、蔵を建てる土地と水源の提供を申し出たのです。

若者たちの酒造りへの情熱と、地域の人々の支援。これらが重なり合って、地酒「鏡山」は見事に復活を遂げ、酒造業界に新たな歴史を刻み始めたのです。

「鏡山」は少量仕込みにこだわった華やかな味わい

「鏡山」は少量仕込みにこだわった華やかな味わい

出典:小江戸鏡山酒造サイト

「鏡山」は、ただ明治以来の銘柄を復活させたというだけではありません。現代人の嗜好に合うよう、新たな技術を注ぎ込んで生まれ変わったお酒です。

小江戸鏡山酒造の蔵人たちが、「鏡山」の復活に際して定めたのが「品質第一の少量仕込みに限る」「純米酒以上の特定名称酒に限る」そして「昔ながらのていねいな手作業に限る」といった品質重視の約束でした。
こうした方針のもと、「山田錦」や「吟ぎんが」、さらには地元・川越産の「さけ武蔵」など、数々の酒造好適米を使い分けて醸される「鏡山」は、米の旨味と甘味が際立つ華やかな日本酒に仕上がります。芳醇でありながらスッキリとしたあと味は、食中酒にもぴったりです。

なかでも「鏡山 斗瓶取り雫酒大吟醸」は、袋に入れた醪(もろみ)から自然に落ちてきた雫を集める、手間も時間も掛かる酒。華やかな香りと繊細な味わいが際立つ、小江戸鏡山酒造の珠玉の1本で、「全国新酒鑑評会」で金賞に輝くなど、その品質が高く評価されています。

「鏡山」は地元・川越に深く根ざし、長く愛され続けてきた地酒。過去の紆余曲折を経て、その品質に磨きをかけながら現在も進化を続けています。地酒のよさを再認識するきっかけともなった「鏡山」、その歴史に思いを馳せながら味わってみてください。

製造元:小江戸鏡山酒造株式会社
公式サイトはこちら

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