ウイスキーに塩を組み合わせて、さらにおいしく!《シニアソムリエ監修》
「ウイスキーに塩」と聞いて、意外に感じる人もいるかもしれません。お酒に塩といえば、カクテルのグラスのふちに塩をつける「スノースタイル」が有名ですが、ウイスキーでも同様の飲み方がたのしめます。塩との組み合わせで、ウイスキーのたのしみ方を広げてみましょう。
- 更新日:
ウイスキーに塩の風味が合う理由は?
Kevin Wells Photography/ Shutterstock.com
ウイスキーと塩の組み合わせは、意外なように思えて相性がよいもの。塩辛やナッツ類といった塩気のある食品は、ウイスキーに限らず、幅広いお酒の肴(さかな)としておなじみです。
食事や飲み物の相性を考える「フードペアリング」の論理によれば、人は「苦、酸、塩、甘、旨」の五味が合わさることで「おいしい」と感じるものだとか。ウイスキーが本来もっていない塩味を加えることで、おいしさが引き立つというわけです。
ウイスキーの肴の定番、スモークチーズやビーフジャーキーといった燻製食品も塩味ですが、これは、食材の保存性を高めるために塩漬けすることで生まれた風味。塩味と凝縮された食材の旨味、スモーキーな香りは、ウイスキーのおともにピッタリです。
ウイスキーのなかでも、とくに塩との相性がよいのが、“ウイスキーの聖地”アイラ島で造られる「アイラモルト」をはじめとした、潮の香りがするウイスキー。アイラモルトは周りを海で囲まれた環境で造られることから、潮風や海藻に由来するヨードの香りや、潮っぽい味わいが大きな魅力となっています。
潮の香り漂うウイスキーには、同じ塩気のある海の幸が好相性です。オイルサーディンや塩辛などを合わせてみてはいかがでしょう。
ウイスキーのグラスに塩をつけるスノースタイルにトライ
Dasha_Romanova/ Shutterstock.com
ウイスキーと塩の取り合わせ方に、「スノースタイル」があります。
スノースタイルとは、グラスのふちに塩や砂糖を雪のように飾るカクテルの技法で、ウォッカベースのカクテル「ソルティドッグ」などでもおなじみです。
スノースタイルは、見た目がオシャレなうえに、塩によるお酒の味の変化をたのしめます。これをウイスキーのオン・ザ・ロックやハイボールなど、好みのスタイルで試してみましょう。
スノースタイルの作り方は、塩を小皿に薄く広げ、カットしたレモンやライムの果汁でしめらせたグラスのふちを押しつけて、軽く回転させます。
使う塩は、カクテル用に造られている「マルガリータ・ソルト」や、岩塩や食卓塩をミキサーで細かく砕いた「パウダー・ソルト」がおすすめです。
ウイスキーと塩との多彩なたのしみ方
hobitnjak/ Shutterstock.com
ウイスキーと塩のたのしみ方でもっとも手軽なのは、塩そのものを肴にするもの。日本酒の場合、すでに戦国時代には塩を肴にする飲み方が登場していて、今でも升酒のフチに塩を乗せるのが“粋な飲み方”として定着しています。
これをウイスキーで試してみましょう。おすすめの塩の種類は、カリウムや鉄分といったミネラルが豊富な岩塩の一種「ローズソルト」。風味がまろやかなので、ウイスキーの深みのある味わいに調和します。
市販のローズソルトのなかには、「おつまみ塩」としてウイスキー用に販売されている商品もあるので、探してみてはいかがでしょう。
ウイスキーに直接、ひとつまみ程度の塩を加えるのも、ユニークな飲み方。グラスのなかで溶かして味わえば、アイラモルトのような潮の香りをたのしめそうです。塩の種類は、粉末状のローズソルトや天日塩を選べば、溶けやすく、風味もまろやかになります。
ウイスキーと塩の組み合わせは、意外性があるだけに、眉をひそめるウイスキー愛好者もいるかもしれません。確かに、高級な銘柄のウイスキーであれば、やはり本来の味わいをたのしみたいもの。塩との組み合わせは、まずはふだん使いのウイスキーで試してみてはいかがでしょう。
監修者
工藤貴祥
(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。