【日本酒と塩】なぜ合うの?塩をつまみにしたお酒の飲み方を解説!
日本酒を飲むとき、塩を「肴(さかな)」にする飲み方があります。「調味料を肴に? 」と意外に感じるかもしれませんが、その相性はバツグン。塩と日本酒は、味覚的に理にかなった組み合わせなのです。塩を肴にしたお酒の飲み方や、おすすめの塩を紹介します。
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日本酒と塩は相性バツグン
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日本酒と塩という組み合わせは、意外なようでいて、じつは昔からある飲み方のひとつです。歴史をさかのぼると、すでに戦国時代には登場しており、今も“粋な飲み方”として日本酒通に愛されています。
とはいえ「なぜ塩なのか? 」と不思議に思う人もいるかもしれません。その理由のひとつが、味を構成する「五味」です。味には「甘味、酸味、苦味、旨味、塩味」の5種類があり、食べ物や飲み物の「おいしさ」は、この五味のバランスが決め手となります。
日本酒は、五味のうち、塩味以外の四つの味で構成されているため、塩を肴にすることで、五味がすべてそろうというわけです。さらに、塩には甘味や旨味を引き立てるという役割もあります。つまり、日本酒と塩は味覚の相性がよく、塩を肴にするのは理にかなった組み合わせなのです。
日本酒をそそいだ升の縁に塩を盛って
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日本酒と塩の組み合わせの代表格といえば「升酒」です。四角い升の角に塩を盛り、少しずつ舐めながら飲むという“粋”なスタイルは、江戸時代には始まっていたようです。
升酒を飲むときは、塩をのせる角の部分ではなく、升の側面に口をつけ、少しずつ口に含みます。こぼれないように飲むのが難しいですが、それもまた、たのしみのひとつです。
ちなみに、升酒には升のなかにグラスを入れ、そこに日本酒をなみなみと注ぐ「盛っきり(もっきり)」と呼ばれるスタイルもあります。現在では、隅に塩をのせる飲み方よりも、こちらのほうがよく見かけるかもしれませんね。
お酒に塩を組み合わせる飲み方は、日本酒以外でも見られます。たとえばメキシコでは、ビールを注いだグラスのふちに塩をつけ、ライムと一緒に飲む飲み方が愛されています。
カクテルにも、グラスのふちに塩をつける「スノースタイル」と呼ばれるものがあり、「ソルティドッグ」や「マルガリータ」などは飲んだことがある人も多いでしょう。
また、塩をまぶしたレモンを入れて飲む「塩レモンサワー」も、居酒屋などで人気のメニューです。
日本酒のお供にはこんぶ塩や梅塩もおすすめ
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日本酒と塩の組み合わせにチャレンジするなら、塩にもこだわってみたいもの。ひとくちに塩といっても、さまざまな種類や品質の塩がありますので、日本酒の銘柄にこだわるように、塩の種類にもこだわり、お好みの銘柄に合った塩を探すのもたのしいかも。
また、酒の肴におすすめなのが、変わり種の塩です。たとえば「こんぶ塩」は、粉末になったこんぶが含まれていて、こんぶの旨味と香りが日本酒とよく合います。梅酢から作られた「梅塩」は、塩味とともに梅由来の酸味と風味がよいアクセントに。ほかにも、わさびが入った「わさび塩」や、岩塩の一種で料理にも人気の「ローズソルト」なども相性がいいです。
塩だけを肴に日本酒をたのしむ飲み方は、凝ったおつまみを用意する必要もないため、とくに家飲み派の人におすすめです。ただし、塩分の摂りすぎには注意しましょう。豆皿などにほんの少し盛るくらいにしておけば、塩分の摂りすぎ防止になりますね。
日本酒の肴として、もっともシンプルな塩は、日本酒本来の持ち味を存分に感じさせてくれるはずです。ゆっくりとお酒をたのしみたいときに、ぜひ試してみてください。
監修者
工藤貴祥
(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。