唎酒師(利酒師・ききさけし)は日本酒ソムリエの資格! 唎酒師になる方法や必要なスキル、費用などを紹介

唎酒師(利酒師・ききさけし)は日本酒ソムリエの資格! 唎酒師になる方法や必要なスキル、費用などを紹介
出典 : buritora / PIXTA(ピクスタ)

「唎酒師(ききさけし)」とは「日本酒のソムリエ」といわれる資格。取得した人の多くは、日本酒の提供・販売のプロフェッショナルとして活躍しています。ここでは、「唎酒師」の特徴や取得するメリット、取得方法、「唎酒師」以外の日本酒に関する資格について紹介します。

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「唎酒師(ききさけし)」とは、日本酒に関する豊富な知識とテイスティングスキルを持つ人だけが取得できる、日本酒の提供・販売のプロフェッショナル向けの民間資格です。その詳細をみていきましょう。

「唎酒師」とは、日本酒のプロフェッショナルに与えられる資格

利き酒に使われるおちょこ

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「唎酒師」とは、飲む人の好みや、季節、料理などのシチューエーションに応じて、最適な日本酒の銘柄を選んだり、適した飲み方をアドバイスしたりできる資格です。

「利酒師」「利き酒師」などと表記されたり、「ききざけし」と発音されたりすることがあるようですが、「唎酒師」という表記と「ききさけし」という読み方が正解です。

ワインの世界にも、同様の役割を持つ「ソムリエ」という資格がありますが、「唎酒師」は「日本酒のソムリエ」というべき資格。

飲む人に日本酒をおいしく味わってもらうためのもてなしの技術はもちろんのこと、飲食サービスや小売サービスに必要な知識や技術、セールスプロモーション能力なども求められる、日本酒の提供・販売のプロフェッショナルとして活躍が期待されます。

「唎酒師」を認定する「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」とは?

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)とは

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「唎酒師」は、「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」が認定する民間資格です。

SSIは、日本酒の提供方法の研究や教育啓蒙活動を通じて、日本酒関連業界の発展や日本の食文化の継承発展に寄与することを目的に、日本酒や焼酎の提供・販売に携わる人たちが立ち上げた消費者任意団体。1991年の発足以来、4万人以上の「唎酒師」を認定してきました。

SSIでは、「唎酒師」をはじめ日本酒や焼酎の提供・販売に関するプロフェッショナルの育成および資格認定を行っています。また、日本酒や焼酎をたのしむための消費者向け資格・検定も手掛け、愛好家の注目を集めています。

各資格・検定の詳細はSSIのホームページで確認してください。

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

「唎酒師」の資格を取得するメリット

唎酒師の資格を取得するメリット

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「唎酒師」は、飲食業や酒販業に携わる人に人気の資格ですが、飲食業界や酒類業界以外の一般企業で働く人が仕事に活用しているケースも少なくありません。
「唎酒師」の資格を取得するとどのようなことができるのか、ケース別にみていきましょう。

<飲食業の場合>
◇日本酒に関する豊富な知識をもとに、ゲストの要望に合った一杯を提供できる
◇資格取得に向けて培ったテイスティングスキルをもとに、お店で提供する料理と相性抜群の日本酒をおすすめできる
◇お店の料理に合わせて、日本酒の品揃えを充実させることができる
◇日本酒の個性に合わせたメニューの開発ができる
◇正しい品質管理ができる

<酒販業の場合>
◇日本酒に関する豊富な知識から、一般の消費者や顧客の要望を満たす品揃えを実現
◇一般の消費者や顧客の好みを把握し、とっておきのお酒をおすすめできる
◇おいしい飲み方を紹介したり、料理との相性をレクチャーできる
◇ラベルの記載内容やテイスティングの結果からPOPを作成して、販促に活用できる

<飲食・酒類業界以外の場合>
◇日本酒に関する豊富な知識が、接待時のお店選びや料理選びに役立つ
◇日本酒に対する深い知識やテイスティングスキルが、お得意様へのお土産選びに重宝
◇お酒やフードペアリングの知識、飲食店情報などが、ビジネス相手と良好な関係を築くうえで役立つことも

ほかにも、お酒の商品開発や、お酒のある日常をより快適にする商品やサービスを提案できるなど、「唎酒師」の資格を取得するメリットはたくさん考えられます。

「唎酒師」になるには? 所定プログラムの受講が必要

唎酒師の資格はオンラインでも取得可能

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「唎酒師」の資格を取得するには、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が主催するプログラムを受講する必要があります。
プログラムは以下の5つ選ぶことができ、コースごとに試験の方法が異なります。働き方や生活リズムに合ったコースを選びましょう。

eラーニング(e-Learning)コース

自宅に届く教材とスマホやタブレットを使ってオンラインで資格取得が完結するコース。デジタルテキストや動画配信サービスが活用できるうえ、課題の提出もオンラインで行えます。
資格取得までの期間の目安は、約1.5〜5カ月。1問約5分から手軽に取り組めるので、スキマ時間に学びたい人に最適です。

通信コース

自宅に届く教材をもとに学習し、課題に挑戦。専任講師によるマンツーマンの添削を受けながら、自分のペースで学ぶことができる、手書き派の人におすすめのコースです。
最短1カ月で資格を取得できる短期集中プログラムもあり。

2日間集中コース

自宅の事前学習と会場での講習(2日間)+試験を組み合わせた最短コース。事前学習に少し時間が必要ですが、東京や大阪の会場に通える人で、短い期間に集中して学びたい人にはおすすめのコースといえるでしょう。

1日通学コース

専任講師の直接指導が受けたい人には、1日通学コースがおすすめです。「2日間集中コース」との違いは、講習を受けたあと、試験日を任意で決められ、自宅か会場かで受験場所を選べる点。予習や復習にじっくり時間をかけられるのもメリットです。

オンデマンド受講コース

講習会の会場が遠い、時間が合わないという人におすすめしたいのが、教材と講義動画で学べるオンデマンド受講コース。動画は繰り返し視聴できるうえ、試験も会場試験と、試験管とマンツーマンで行う在宅試験の2種類から選べます。
資格取得までの期間は、2週間〜2カ月が目安です。

「唎酒師」になるためのプログラムで学べる内容は?

唎酒師になるためのプログラムで学べる内容

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「唎酒師」になるためのプログラムを受講することで、おもに以下のような知識やスキルを身につけることができます。

◇世界の酒類の基礎知識
◇食品や飲料全般の基礎知識
◇日本酒に関する幅広い知識
◇日本酒のサービスやセールスプロモーションに必要な知識
◇おもてなしの心、接客のあり方など、飲食のプロフェッショナルに不可欠な心構えと能力
◇劣化の見分け方など、日本酒の品質管理に欠かせない知識
◇テイスティングによる日本酒の評価スキル
◇料理との相性を探る知識やスキル

など

「唎酒師」の資格に興味があって、現時点での日本酒の知識やスキルを試してみたい人は、SSIが発信する唎酒師認定試験の例題で腕試しをしてみてはいかがでしょう。

「唎酒師」の受験資格と費用

唎酒師の受験資格と費用

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「唎酒師」の受験資格は、20歳以上のすべての人にあります。申込みや会費の支払いに所定のシステムを利用するため、ユーザー登録時に規約に同意する必要がありますが、それさえクリアできれば、「唎酒師」を目指す人なら誰でもチャレンジすることができます。

「唎酒師」になるためにかかる費用は、受講するコースによって異なり、118,700〜158,300円(税込)と幅があります。最安は会場受験を選んだ場合で、オンライン完結タイプやオンデマンド受験はやや割高になります。

コースによっては、奨学金制度や新型コロナウイルスの影響に伴う減額措置の対象となる可能性があるので、詳細は公式ホームページで確認してください。

なお、SSIが加入しているNPO法人FBO(飲料専門家団体連合会)の認定会員となり、年会費を支払っている人は、所定の金額の半額以下で所定のプログラムを受講できます。また、ソムリエなどの提供販売者向け資格を持っている場合は、申込みの際に確認が必要です。

唎酒師|日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

「唎酒師」だけじゃない、日本酒に関する資格

日本酒に関する資格

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「唎酒師」のほかにも、日本酒に関する資格はいくつかあります。ここではプロフェッショナル向けと愛好家向けに分けて、おもな資格を紹介します。

プロフェッショナル向けの資格

飲食業や酒販業に従事する人に人気のプロフェッショナル向け資格を紹介します。

国際唎酒師(Sommelier of Sake)

海外での活躍を目指す人や、訪日外国人に日本酒を提供・販売する人におすすめしたいのが、「国際唎酒師」。「唎酒師」が持つ能力に加えて、外国語による提案力が必要になりますが、資格を取得することで、外国人に向けた日本酒の提供やセールスプロモーションのほか、各種ツアーやメディアなどで日本酒やそれにまつわる情報を発信することができます。

酒匠(さかしょう)

「酒匠」とは、卓越したテイスティング能力を持つ人だけが取得できる、「唎酒師」「焼酎唎酒師」の上位資格。酒類卸売業のバイヤーや飲食店の経営者、酒販店の商品担当者などが多く受験しています。
日本酒だけでなく、焼酎のテイスティングスキルも必要になりますが、より高度な技術が身につくことで、活躍の幅が広がります。

酒匠 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

日本酒学講師

「日本酒学講師」は「唎酒師」の上位資格である「酒匠」のさらに上位となる資格。取得することで、日本酒や焼酎を扱うビジネスシーンに役立つほか、SSIが公認する「日本酒ナビゲーター」「焼酎ナビゲーター」認定セミナーを開催し、認定証を発行する権利を得ることができます。

日本酒学講師 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

J.S.A SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)

「J.S.A SAKE DIPLOMA」とは、日本を代表するソムリエ・田崎真也氏が会長を務める団体「一般社団法人 日本ソムリエ協会(J.S.A.)」が認定する呼称資格。日本酒だけでなく、焼酎についても幅広い知識と技量が求められるプロフェッショナル向けの資格で、認定試験は日本だけでなく海外でも実施されています。

一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)

日本酒愛好家向けの資格も人気

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気軽に日本酒をたのしみたい人向けの資格

日本酒の愛好家に人気の資格を紹介します。

日本酒検定

「唎酒師」の認定団体「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」による消費者向けの日本酒知識指標。日本酒の基礎知識やおいしい飲み方を学ぶうちに飲むたのしみが広がることから、愛好家の間で注目されています。
1級、準1級、2級、3級、4級、5級と6段階の級があり、1級に合格すると名人認定を受けられます。

日本酒検定 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

日本酒ナビゲーター

こちらも「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」が認定する消費者向けの資格。所定のセミナーを受講することで、日本酒の専門用語や原料、製法、歴史、文化、香味の特徴を踏まえたたのしみ方まで、幅広い知識が身につきます。

日本酒ナビゲーター | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

「唎酒師」はプロフェッショナル向けの資格ですが、愛好家にも門戸は開かれています。日本酒の知識を深め、日本酒を飲むことや、料理とのペアリングをよりたのしみたい人は、ぜひチャレンジしてみてください。

※金額は、2022年10月時点のものです。最新の情報は各ホームページなどでご確認ください。

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