利き酒の基本とたのしみ方!唎酒師の資格も解説
利き酒(きき酒)とは、日本酒の品質鑑定から気軽な飲み比べまで幅広くたのしめる日本の伝統文化です。この記事では、利き酒の基本的なやり方やたのしみ方、そして唎酒師の資格について詳しく解説します。日本酒の奥深さを体験しましょう!
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「利き酒」の本来の目的とは
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「利き酒」とは?
「利き酒」は、「唎酒」や「きき酒」と表記される場合もありますが、ごく簡単にいえば、実際に味わってお酒の品質を確かめること。
「味わって」と書きましたが、「利き酒」は「舌」、すなわち「味覚」だけで行うものではなく「視覚」や「嗅覚」も駆使します。
「利き酒」は本来、何をするためのもの?
「利き酒」とは、もともと蔵元が出荷前に日本酒の品質をチェックするために行っていた「官能検査」。つまり、人間の五感を使った品質検査です。
その後、昭和になって日本酒を「特級」「一級」「二級」などと区分する級別制度が整備されると、区分のための審査で専門家による「利き酒」が行われていました。
級別制度は平成になって廃止されましたが、現在でも、日本酒鑑評会などの審査で「利き酒」が行われています。
「利き酒」がお酒のたのしみ方として広く浸透
「利き酒」は本来、品質チェックや公的な審査のために、専門的な知識や技量を持ったプロが行うものでしたが、近年では日本酒のたのしみ方として、「利き酒」という言葉が広く使われています。
数種類の日本酒を少量ずつ飲んで、味わいや香りの違いなどを体験し、自分の好みを知る「飲み比べ」や「試飲」を指していることも増え、「飲み比べセット」としても販売されています。
また、自分の「利き酒」の力を試したい人たちが集まって技量を競い合う「利き酒大会」も行われています。
「利き酒」の基本的なやり方を知る
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利き酒の順番は「目、鼻、口」の順番が基本
「利き酒」の順番は、ワインのテイスティングと同様「目、鼻、口」の順番で行うのが基本。まずは、日本酒の色合いなどを「見る」、そして香りを「嗅ぐ」、そしてようやく少量を口に含み「味を吟味」します。これらの結果を総合的に見て、日本酒の良し悪し、香味を判定するのです。
【利き酒の順番(1) 日本酒の色を見る】
まずは見た目をチェック。日本酒は無色透明というイメージが強いかもしれませんが、本来の色味はグリーンやイエローを含んでいて、「プラチナ」「シルバー」など宝石にたとえることもあります。
色の他にも、透明度や粘度(液体のとろみ度合い)などもじっくり見てみましょう。
【利き酒の順番(2) 日本酒の香りを嗅ぐ】
日本酒には、香りがあまり感じられないものから、華やかな吟醸香、バナナや花のような香りまで、驚くほど香りの幅が広いもの。香りは日本酒の温度や酒器によって変わってくるので、そうした変化もたのしみましょう。
【利き酒の順番(3) 日本酒を味わう】
最後に味わいを確認します。日本酒は五大味覚のうち「塩味」を除いた、「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」の4つを備えています。口に含んだときの第一印象や、4つの味覚の複雑性、変化する味の広がりや、後に残る印象などをチェックしましょう。
ポイントは、日本酒を少しだけ口に含み、一緒に息を軽く吸い込むこと。そうすると、舌の上で転がしつつ、口のなか全体で味を感じることができます。
「利き酒」にも資格がある!?
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利き酒の資格「唎酒師」とは?
「利き酒」の資格として、よく知られているものに「唎酒師(ききさけし)」があり、ここ数年、「日本酒のソムリエ」として飲食店やメディアで目にする機会が増えています。
「唎酒師」とは、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)に加盟する、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する日本酒の販売・提供資格で、1991年に制定されました。
「利き酒」を行うためのテイスティング力はもちろん、サービス力やセールスプロモーションの提案力も求められる資格です。受験は成人していれば制限がなく、愛飲家など一般の人も受験でき、これまで3万人以上 が認定されています。
NPO法人FBO(両院専門家団体連合会)
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日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
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公的機関が認める利き酒のプロとは?
「利き酒」の資格は「唎酒師」だけではありません。国で唯一の公的な酒の研究機関「酒類総合研究所」が認定する「清酒専門評価者(正式名称:清酒の官能評価分析における専門評価者)」という資格もあります。
認定基準は、感覚の感受性が高く、清酒の香りや味の多様な特徴を評価する努力を怠らず、官能評価の経験、清酒の製造方法や貯蔵・熟成に関する知識があること。専門家でかつ研鑽を続けられる人物だけが認められるこの資格は、わずか129名(2019年9月末時点) しか認定されていません。
独立行政法人酒類総合研究所
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清酒専門評価者についてはこちら
「利き酒」とは何か、理解できたでしょうか。「利き酒」を気軽にたのしむのもよし、「利き酒」の技量を磨いて資格取得をめざすもよし。日本酒をより深くたのしむ際のヒントにしてみてください。