愛知の日本酒【蓬莱泉(ほうらいせん)】和を大切にする蔵元の酒
「蓬莱泉」を醸すのは、愛知県の奥三河と呼ばれる地域に蔵を構える関谷醸造。「和醸良酒(和は良酒を醸す)」を合言葉に、伝統と先端技術の融合によって蓬莱泉は造られます。印象的なラインナップとその魅力について紹介しましょう。
- 更新日:
目次
- 「蓬莱泉」は「和醸良酒」を合言葉に醸される酒
- 「蓬莱泉」は伝統と先進技術が融合して造られる酒
- 「蓬莱泉」の印象的なネーミング
「蓬莱泉」は「和醸良酒」を合言葉に醸される酒
natu / Shutterstock.com
「蓬莱泉」の蔵元である関谷醸造は、元治元年(1864年)創業。「和醸良酒」を合言葉に、酒造りに邁進してきました。「和醸良酒」とは「和は良酒を醸す」と読み、蔵人たちのチームワークの大切さを表しています。
酒造りの世界は分業制であることも多く、原料米の処理から麹、もろみの担当など、工程によって蔵人が変わることも珍しくありません。このとき蔵人それぞれが異なる方向を向いていれば、できあがる酒の味わいにも狂いが出てしまうでしょう。
関谷醸造では、真によい酒を造るには、蔵人たちが互いの酒造りの想いを共有することが大切だと考えます。完成までの道のりはもちろん、理想とするでき栄えまで、同じ方角をめざすことで良酒が生まれるのです。
同時に、蔵人個々の技術力が確かであることも必須と考え、150年にわたり受け継がれてきた“匠の技”を教え伝える場として、愛知県豊田市に「ほうらいせん 吟醸工房」を設けています。
こうした蔵元の、そして蔵人一人ひとりの努力と研鑽の結晶こそ、「蓬莱泉」にほかなりません。
「蓬莱泉」は伝統と先進技術が融合して造られる酒
tmukt1978 / Shutterstock.com
「蓬莱泉」の蔵元である関谷醸造が蔵を構えるのは、古くから酒造りが盛んな愛知県のなかでも奥三河と呼ばれる地域。自然豊かな奥三河は日本酒造りには最適な環境ですが、高齢化による人口減少や農業の衰退など、山間の地ならではの悩みにも直面していました。
そこで関谷醸造は、近隣の農家から休耕田や耕作放棄地を借りて、酒造好適米「夢山水」の栽培を開始。蔵人自らが、地元の農業従事者から栽培技術を学びながら、良質な米作りに励んでいます。
こうした農業への回帰と同時に、「設計図(コンセプト)」に沿った酒造りのため、コンピュータ制御などの先端技術も積極的に導入。蓄積したデータを活用しながら、単純作業は機械化。蔵人たちの労働条件を改善するとともに、より精緻な品質管理を可能にしています。
このように、関谷醸造は老舗でありつつも、柔軟に日本酒の可能性を追求する蔵元。自ら育てた夢山水を用いて、先進的な技術を駆使して醸される「蓬莱泉」は、こうした蔵元の強みがストレートに感じられる銘柄です。
「蓬莱泉」の印象的なネーミング
Light7X8 / Shutterstock.com
「蓬莱泉」の「蓬莱」とは、中国における神仙思想に登場する言葉で、書物などにもよく登場する架空の楽園です。中国東部にある山東半島の東方海上に位置し、不老不死の薬をもつ仙人が住んでいると伝えられています。
そんな幻想的な由来を名にもつ「蓬莱泉」は、関谷醸造の代表銘柄のひとつ。商品ごとに、おもに漢字一文字による印象的な名前がつけられています。
たとえば「蓬莱泉 純米大吟醸 吟(ぎん)」は、低温で3年間熟成された限定予約品。箱には祇園精舎の一節があしらわれた、粋な1本です。同様に限定予約品の「蓬莱船 純米大吟醸 空(くう)」は、フルーティな香りと米本来の旨味が凝縮されて1本。空にたゆたう雲を描いたラベルも印象的です。
このほかにも、女性的なラベルの「美(び)」、論語の一節に由来する「朋(とも)」など、耳に残る名前と、それに呼応した個性的な意匠が地酒ファンの心をくすぐり、味の評価とともに話題となっています。
「蓬莱泉」は愛知県下での人気はもちろんのこと、国内や海外での評価も高い日本酒です。三河地区に足を運んだ際は、ぜひ気になる1本を試してみてください。また豊田市にある「ほうらいせん 吟醸工房」での酒造り体験も、素敵な思い出になるはずです。
製造元:関谷醸造株式会社
公式サイトはこちら