テネシーウイスキーとバーボンの違いって?その魅力を知ろう!
テネシーウイスキーとは、その名のとおりテネシー州で造られるウイスキーのこと。トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキーのなかでも、独自の魅力をもつテネシーウイスキーについて、その歴史や魅力、代表銘柄を紹介します。
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テネシーウイスキーを生んだ風土と歴史
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テネシーウイスキーを生んだテネシー州は、アメリカ合衆国の南東部に位置しており、すぐ北には“バーボンの聖地”とされるケンタッキー州があります。
テネシーとケンタッキーでは、18世紀後半のアメリカ建国直後から、トウモロコシを主原料としたバーボンウイスキー造りが広まっていました。
建国間もないアメリカ政府が税収を確保するためにウイスキー税を導入したことで、それを嫌った人々が、当時はまだアメリカ領ではなかったこれらの地に移住し、その地の名産品であるトウモロコシでウイスキー造りを始めたことが、バーボンの起源とされています。
ともにバーボン文化を育んできたテネシーとケンタッキーですが、1860年代の南北戦争では敵味方に分かれます。敗れた南軍に属していたテネシーは壊滅的な被害を受け、北軍に属するケンタッキーに強烈な対抗意識が芽生えます。そして戦後、ケンタッキーの象徴となったバーボンに対抗するように、この地の蒸溜技術者たちの手で“テネシーならではのウイスキー”が育まれていきました。
このため、今でもテネシーの造り手たちは「バーボンではない、あくまでテネシーウイスキーだ」と強いこだわりをもつのだとか。
テネシーウイスキーとバーボンの違い
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テネシーウイスキーとバーボンには、どのような違いがあるのでしょうか? 両者の定義をもていきましょう。
「バーボンウイスキー」と名乗るためには、次の4つの条件を満たす必要があります。
(1)アメリカ合衆国内で造られている
(2)原料となるトウモロコシの比率が51%以上
(3)アルコール度数は蒸溜時で80%以下、瓶詰め時で40%以上
(4)中身を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成
条件(1)からわかるように、定義としてはバーボン=ケンタッキー州産というわけではありませんが、実際は約9割までがケンタッキー州で生産されています。
テネシーウイスキーの定義は、上記に2つの条件が加わります。
(5)テネシー州内で造られている
(6)「チャコール・メローイング製法」で造られている
チャコール・メローイング製法とは、蒸溜したウイスキー原酒をテネシー産のサトウカエデの炭でろ過する製法のこと。これにより、雑味が取り除かれるとともに、サトウカエデ由来のまろやかな風味が加わり、テネシーウイスキー独自の個性を生み出しているのです。
テネシーウイスキーの代表銘柄
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テネシーウイスキーを代表する銘柄は、世界で最も売れているアメリカンウイスキー「ジャックダニエル」です。そもそも、ジャックダニエルを生んだジャスパー・N・ダニエル氏こそ、テネシーウイスキーの歴史を開いた人物にほかなりません。
その特徴は、テネシーウイスキーならではのチャコール・メローイング製法による、甘くてフルーティな味わいと芳醇な香り。クセがなく、まろやかな飲み口から、ウイスキー初心者からも人気を集めています。
もう一本、テネシーウイスキーの代表銘柄を挙げるなら「ジョージ・ディッケル」でしょう。テネシーウイスキーの特徴であるチャコール・メローイング製法に一工夫を加えて、サトウカエデの炭の上に羊毛の毛布を敷いてろ過する独自製法を用いるとともに、トウモロコシの比率を84%まで高めたことによる強い甘味が特徴です。
テネシー州のウイスキー職人たちが、郷土への誇りを込めて生み出したテネシーウイスキー。その独特の味わいを、ぜひ、たのしんでみてください。