「開運(かいうん)」吟醸王国静岡を代表する良質な地酒【静岡の日本酒】
「開運」は、数々の一級河川に恵まれ、豊かな名水が湧く地として知られる静岡の日本酒。今では「吟醸王国」と呼ばれるほどの酒処となった静岡の代表的な銘柄です。そんな開運の開発に尽力した杜氏と、今なお進化し続ける蔵元の思いに迫ります。
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目次
- 「開運」は能登杜氏四天王の一人が造り上げた酒
- 「開運」は伝統の技と新しい技術を融合させて醸される
- 「開運」が全国新酒鑑評会で金賞を連続受賞
「開運」は能登杜氏四天王の一人が造り上げた酒
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「開運」は、明治5年(1872年)創業の土井酒造場が醸す日本酒銘柄です。掛川に拠点を置く土井家は、古くよりこの一帯で名の知れる名家でした。現存する蔵屋敷は、歴史的建築物としても見応えのある立派な造りで、150年近い土井酒造場の長い歴史を感じさせるたたずまいになっています。
土井酒造場の名を全国に知らしめたのは、能登杜氏四天王の一人に数えられる波瀬正吉氏です。波瀬杜氏は、卓越した日本酒造りの技術と知識をもつ職人気質の人物で、静岡県内のみならず全国から尊敬の念を集めた伝説的杜氏でした。そんな波瀬杜氏が40年という月日をつぎ込んだのが土井酒造場です。
同氏は、開運を静岡の代表的銘酒へと育て上げるとともに、静岡地酒の全国進出に大きく貢献しました。こうした背景から波瀬杜氏は、今日の「静岡=吟醸王国」のイメージを不動のものにした立役者といっても過言ではありません。
「開運」は伝統の技と新しい技術を融合させて醸される
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「開運」を生み出した土井酒造場の酒造りを端的にあらわすキーワードは、「伝統と最新技術の融合」。つまり彼らは、手作業による伝統的技法を守りながらも、必要に応じて最新テクノロジーを取り入れるという、柔軟なスピリットをもっているのです。漆喰や板壁の伝統的工法で建てられた蔵に一歩足を踏み入れると、そこには最新の酒造りマシンが立ち並んでいます。
たとえば、もろみ用の蒸し米を冷ますための放冷機は、除菌、乾燥などの特殊処理を経た冷気を噴出できる、土井酒造場だけの特別仕様。伝統技術が重んじられる日本酒の世界で、現代技術を巧みに取り入れながら革新的な酒造りを行っています。
「開運」が全国新酒鑑評会で金賞を連続受賞
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「開運」のポリシーは、「万人に受ける日本酒ではなく、自分たちが旨いと感じる日本酒」。澄み渡った清楚な味わいとキレの良さが絶妙のバランスで同居する開運は、彼らのひたむきな思いの結晶です。
名杜氏をはじめとする職人たちが、己の舌を信じて作り続けてきた開運は、今も進化の歩みをとめません。その年の日本酒のでき栄えを評価する全国新酒鑑評会では、2年連続金賞受賞(2017年、2018年)を果たしています。ほかにも「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」など、数々の大会で栄えある賞に輝いた経験をもつ開運は、今や日本酒コンテストの上位常連酒となりました。
土井酒造場の主力銘柄である開運は、静岡の日本酒を全国に知らしめた歴史的銘酒です。その香りと味わいに、伝説的杜氏といわれた波瀬杜氏の技の真髄を感じ取ってみてください。
製造元:株式会社土井酒造場
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