青森の日本酒【菊駒(きくこま)】風土を活かした飲み飽きない酒

青森の日本酒【菊駒(きくこま)】風土を活かした飲み飽きない酒
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「菊駒」は、冬にはマイナス10度を下回るという厳寒の風土を活かした「寒造り」で醸される、青森県を代表する日本酒です。その豊かな旨味と引き締まった味わいのお酒は、どんな歴史のなかで、どのように生まれたのか? 「菊駒」の魅力を探ります。

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菊駒の蔵元がたどってきた百年にわたる歴史

菊駒の蔵元がたどってきた百年にわたる歴史

出典:菊駒酒造サイト

「菊駒」を醸造する菊駒酒造が誕生したのは明治43年(1910年)のこと。以来、青森県五戸(ごのへ)の地において地域に根づいた酒造りを続け、2010年には創業100周年を迎えた、歴史ある蔵元です。

五戸地方は江戸幕府の直轄地として栄えた歴史があり、江戸時代初期から酒造りも盛んでした。町史によれば、天和元年(1681年)には7軒が酒造業を営んでいたそうです。
菊駒酒造を経営する三浦家は、もともとは酒造りに欠かせない麹(こうじ)屋を家業としていましたが、明治になって造り酒屋に転身しました。

創業当時の社名は、三泉酒造合名会社といって、屋号の「三久(さんきゅう)」を由来とする「三泉正宗」という銘柄を造っていました。
その社名と銘柄に「菊駒」と冠するようになったのは、昭和初期のこと。当時の社長であった4代目が、五戸の名産である菊作りの名人であったことと、同じく五戸の名産である馬の別称「駒」からとって、「菊駒」と名づけたのだとか。

菊駒が青森を代表する地酒と呼ばれる理由

菊駒が青森を代表する地酒と呼ばれる理由

出典:菊駒酒造サイト

「菊駒」を語るうえで欠かせないのが、東北の寒さを活かした「寒造り」と呼ばれる技法。寒造りとは、いろいろな解釈がありますが、年明けすぐの「寒の入り」から、立春の前後までなど、ちょうど1年でもっとも寒い時季に仕込むお酒のこと。低温でゆっくりと発酵、熟成させることで、深みのある、引き締まった味わいを引き出せるのです。

加えて、菊駒酒造の酒造りを支えているのが、南部杜氏(とうじ)伝承の技法です。南部杜氏とは、越後杜氏、丹波杜氏と並ぶ日本三大杜氏の筆頭。南部とは、江戸時代に南部藩の所領だった地域のことで、現在の岩手県、青森県、秋田県にまたがります。
五戸の酒造りは、南部杜氏の伝統を強く受け継いでおり、北国の風土に適した酒造りの技術が独特の魅力となっています。

「寒造り」と日本きっての杜氏の技で、醸し出される「菊駒」は、五戸はもちろん、青森県を代表する地酒のひとつ。実際、1994年に実施された日本銀行青森支店の調査では、青森が日本一といえる行事や物産のひとつに「菊駒」があげられています。
五戸で親しまれてきた地酒は、いまや名実ともに、青森県の誇る逸品となっているのです。

菊駒の味と香りを支える酵母

菊駒の味と香りを支える酵母

出典:菊駒酒造サイト

「菊駒」の味と香りを支えるもうひとつの要素が「酵母」です。現在の菊駒酒造の礎を築いた5代目当主が惚れ込んだのが、後に日本醸造協会が「10号酵母」として全国の醸造元に広めた「M2酵母」。酸味が少なく、ほどよい吟醸香を醸すこの酵母が、菊駒のふくよかな味わいのベースとなっています。

この酵母の香りのよさは、「さやけき」という言葉でたとえられるのだとか。「さやけき」は、「さわやかに」「冴え冴えと」などの意味をもつ古語。そんな清々しい芳香が、「菊駒」の大きな特徴になっています。

酒文化に精通した作家の國府田宏行氏は、5代目が造る「菊駒」を「やさしい香りと、なめらかな肌ざわりのなかに、ふっくらとしたかたちがある」と称えています。
澄んだ吟醸香と、ふくよかさを兼ね備えた飲み飽きしない味。それが「菊駒」のいちばんの個性なのでしょう。

「菊駒」は、東北の風土と伝承の技、そして良質な酵母が一体となって生み出された逸品です。その奥の深い味わいをぜひ、たのしんでみてください。

製造元:株式会社菊駒酒造
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