「田酒(でんしゅ)」は青森の西田酒造店が手掛ける、米の旨味が味わえる日本酒

「田酒(でんしゅ)」は青森の西田酒造店が手掛ける、米の旨味が味わえる日本酒
出典 : 株式会社西田酒造店サイト

「田酒」とは、青森県の蔵元・西田酒造店の純米酒銘柄です。今回は、文字どおり田んぼで収穫された米のみを使って造られる「田酒」の概要、味わいの特徴、こだわりの酒造り、蔵元について、「特別純米酒 田酒」をはじめとするおすすめの商品などを紹介します。

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「田酒」とはどんな日本酒か、はじめに概要からみていきます。

「田酒」とはどんな日本酒?

「田酒」の概要

HikoPhotography / Shutterstock.com

「田酒」はどこで造られているお酒なのでしょう。

「田酒」は青森を代表する地酒(日本酒)

「田酒(でんしゅ)」とは、青森県の西田酒造店が手掛ける日本酒銘柄です。

青森の日本酒といえば間違いなく名前が挙がるほど、全国的な知名度を誇る人気の地酒である一方、蔵元はやみくもに生産量を増やすことなく、酒質の向上をめざしてきました。

数量や発売時期限定の商品も多く、「田酒」は入手しづらいブランド酒としても知られています。

「田酒」は田で収穫された米のみを原料として造られる日本酒

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「田酒」は質のよい酒米から造られる純米酒

「田酒」は読んで字のごとく、田んぼで収穫された米のみを使って造られる全量純米酒の銘柄で、醸造アルコールや糖類は一切使用していません。

原料となる酒米は、看板商品の「特別純米酒 田酒」などで使用されている「華吹雪(はなふぶき)」や「純米大吟醸 百四拾 田酒」などで使われている「華想い(はなおもい)」といった青森県生まれの酒造好適米、「田酒」の蔵元、西田酒造店が復活させた青森県初の酒造好適米「古城錦(こじょうにしき)」といった地元産の良質な米が中心です。

そのほかにも「渡船(わたりふね/わたりぶね)2号」「辨慶(べんけい)」といった希少な酒米、「山田錦(やまだにしき)」「秋田酒(あきたさけ)こまち」といった県外産の酒造好適米など、限定生産の商品ごとに多彩な品種が使われていて、それぞれの味わいを醸し出しています。

「田酒」の味わいの特徴は?

「田酒」の味わいの特徴

Table-K / PIXTA(ピクスタ)

全量純米酒の銘柄である「田酒」の味わいの特徴は、米の旨味が生きる旨口。華やかな香りのもの、ふくよかさが際立つもの、すっきりとした後味のものなど、商品ごとに個性はあるものの、「田酒」銘柄の味わいのベースには原料米由来の旨味があります。

「田酒」は、「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」という蔵元の一念から生まれた日本酒です。昭和45年(1970年)、昔ながらの完全手造りによる純米酒の醸造に着手したのち、試行錯誤の末、昭和49年(1974年)10月1日にようやく「純米酒 田酒」が発売されました。

はじめのころはなかなか売れませんでしたが、発売から7年後、雑誌『特選街』のうまい酒コンテストで日本一に選ばれたことをきっかけに、「田酒」が良酒であることが広く知られるようになりました。

蔵元の志が形となった日本酒「田酒」。米の旨味があふれるその味わいを、ぜひ堪能してみてくださいね。

「田酒」はこだわりの酒造りから生まれる日本酒

「田酒」を造る西田酒造店の酒造り

Cybister / PIXTA(ピクスタ)

「田酒」は、蔵元である西田酒造店のこだわりの酒造りから生まれる日本酒です。

西田酒造店では、手造りの酒造りを行う工程と、機械の性能を活かせる工程を上手にすみ分けています。

たとえば、蒸し上がった米を運ぶときには、「エアシューター(気送管)」と呼ばれる装置を使えば人手は必要なくなります。しかし、エアシューターを使用すると米の細かな温度調節ができなくなり、衛生を完全に保つことも難しくなることから、西田酒造店では5人もの人手をかけて人力で行っています。

その一方、洗米には、よりきれいに米を洗えるという全自動ジェット水流洗米機を、洗米後の米を運ぶ際には、人力ではなくクレーンを使うなどし、蔵人の負担を減らしています。

平成15年(2003年)には活性炭ろ過を廃止。活性炭ろ過は雑味や異臭などを除去し、お酒の透明度を上げるために行うものですが、雑味などとともに大事な旨味成分まで取り除かれてしまう傾向があります。「田酒」をはじめとする西田酒造店のお酒が、淡い山吹色をしているのは、活性炭ろ過を行わないためです。

また西田酒造店では、生酒以外のすべての商品で瓶貯蔵1回火入れを実施しています。

瓶貯蔵1回火入れは、搾りたてのフレッシュなお酒を貯蔵前に瓶詰めし、瓶ごと65度のお湯で低温殺菌するもので、酒質を安定させるために行われています。

たとえ火入れをしても保管状態によってお酒は劣化してしまうため、火入れ後のお酒は、整えられた冷蔵設備で瓶貯蔵され、出荷を待ちます。

大吟醸酒・吟醸酒・特別純米酒とも「要冷蔵」とし、冷蔵保管しない酒販店には卸さないなど、西田酒造店では出荷後の酒質管理も徹底しています。

おいしい「田酒」が飲めるのも、蔵元のこうした努力があってのものでしょう。

「田酒」の蔵元・西田酒造店とは

「田酒」の蔵元、西田酒造店の紹介

出典:株式会社西田酒造店サイト

「田酒」を手掛ける西田酒造店は、今から140年以上前の明治11年(1878年)に創業した、青森県青森市唯一の蔵元です。

純米酒銘柄である「田酒」のほか、創業以来の銘柄で必要最低限の醸造アルコールを添加した大吟醸酒と吟醸酒がラインナップされている「喜久泉(きくいずみ)」と、昔ながらの槽搾り(ふねしぼり)を行い、圧力をかけずになかほどに流れてくる「中取り」の部分のみを瓶詰めした大吟醸酒シリーズ「善知鳥(うとう)」というブランドも持っています。

「田酒」ブランドのおすすめ商品を紹介

「田酒」ブランドの数あるラインナップのなかから、3つのおすすめ商品を紹介します。

「特別純米酒 田酒」

青森県の西田酒造店が造る「特別純米酒 田酒」

出典:株式会社西田酒造店サイト

発売から50年近く経ってなお生産量の5割を占めるロングセラー商品で「田酒」を代表する1本。青森県生まれの酒造好適米「華吹雪」を精米歩合55パーセントで使用。旨口でコクを感じさせながら、飲み飽きしないすっきりとした味わいがたのしめます。

「純米大吟醸 山廃 田酒」

青森県の西田酒造店が造る「純米大吟醸 山廃 田酒」

出典:株式会社西田酒造店サイト

11月のみ数量限定で出荷される山廃仕込みの純米大吟醸酒。「酒米の王様」とも称される「山田錦」を精米歩合40パーセントまで磨いて使用。気品のある吟醸香(ぎんじょうか)と、山廃仕込みらしい厚みのある味わいがバランスよく調和する逸品です。

「純米大吟醸 百四拾 田酒」

青森県の西田酒造店が造る「純米大吟醸 百四拾 田酒」

出典:株式会社西田酒造店サイト

「⼭⽥錦」と「華吹雪」を交配して生まれた青森県の酒造好適米「華想い」を精米歩合40パーセントで使用し醸した純米大吟醸酒です。華やかな吟醸香と、まろやかでふくらみのある味わいの両方を堪能できる1本。数量限定商品で5月にのみ出荷されます。
 
「田酒」は入手しづらい銘柄です。転売品が高額で取り引きされることもあります。購入の際には、正規の特約店を活用しましょう。定価で買えるだけでなく、温度などの管理もしっかりしています。原料米に由来する「田酒」の旨味をおいしい状態で味わってみてくださいね。

製造元:株式会社西田酒造店サイト
公式サイトはこちら

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