アイリッシュコーヒーでホッとひといき
アイリッシュコーヒーは、ウイスキーに熱いコーヒーを加えたカクテルです。ウイスキー好きはもちろん、コーヒー好きにもよろこばれる、アイリッシュコーヒーの魅力を紹介します。
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目次
アイリッシュコーヒーってどんなお酒?
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「アイリッシュコーヒー」と聞いて、コーヒーの一種と思う人もいるかもしれませんが、じつは、これはカクテルの名前です。
アイリッシュコーヒーは、アイリッシュウイスキーと熱いコーヒーをブレンドして、生クリームを浮かべたカクテル。ウイスキーの芳醇な香りに、コーヒーの苦味、さらに砂糖の甘味が豊かなハーモニーを奏でる、飲みやすさが特徴のカクテルです。
バーなどで注文できるのはもちろん、老舗のコーヒー店でもメニューに載っていることがあり、ウイスキー好きからも、コーヒー好きからも愛されてきた飲み方です。
ウイスキーのたのしみ方には、ストレートやロック、水割りにハイボール、さらにはカクテルと多種多様ですが、なかでも、ウイスキーのたのしみ方の幅広さ、奥深さを教えてくれるのがカクテルだといえるでしょう。炭酸の刺激やジュースの甘さ、果実の酸味など、ウイスキーと合わせる飲み物次第で、さまざまな味わいをたのしめます。
アイリッシュコーヒーの場合、ホットコーヒーを飲んで得られるぬくもりと、ウイスキーのアルコールから得られるぬくもりによって、カラダをじんわりと温めてくれるのが、他のカクテルにはない魅力。寒い冬にぴったりのカクテルといえますが、夏にはアイスでもたのしめます。また、「コーヒーはブラックで」という人は、もちろん砂糖やクリーム抜きでもたのしめます。お好みのスタイルでアイリッシュコーヒーをたのしみましょう。
アイリッシュコーヒーの歴史を知ろう
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「アイリッシュコーヒー」という言葉の意味は、「アイルランド人のコーヒー」。その名のとおり、アイルランド生まれのカクテルです。
アイリッシュコーヒーという名前がつけられた時期はともかくとして、甘味のあるホットコーヒーにアイリッシュウイスキーを注ぐカクテルが誕生したのは、今から半世紀以上も昔、1940年代のことといわわれています。
当時、アイルランドはアメリカとイギリスを結ぶ、大西洋横断航路の中継地点でした。航路といっても、その主役は飛行機や船ではなく飛行艇。水上に胴体着陸する大型の水上飛行機でした。
現在の飛行機とくらべると航続距離が非常に短く、途中で給油する必要があり、アイルランドはその格好の補給地だったのです。
当時の飛行艇は気密性が悪いうえに、暖房も十分ではなかったため、乗客の寒さは相当なものだったようです。しかも、飛行艇が給油する間は、安全のため飛行艇を降ろされ、極寒のなかを待合室まで移動する必要があったということですから、寒さに震える人々の姿が想像できるというものです。
そんな人々を、少しでも温めてあげたいと考えたのが、アイリッシュコーヒーの生みの親とされるジョセフ・シェリダン氏です。待合室のラウンジでチーフバーテンダーを務めていた彼は、寒さに震えながらラウンジへと入ってくる人々のために、アイルランド産のウイスキーを使ったホットカクテルを考案しました。
この温かなカクテルが、アメリカ、イギリスをはじめ、給油地に立ち寄るさまざまな国の乗客を通じて各国に伝わり、いつしか世界で飲まれる人気カクテルとなっていきました。
「こんなカクテル、どこで知ったの?」との質問が世界中で繰り返され、そのたびに「アイリッシュ」との答えがあり、いつしか「アイリッシュコーヒー」の名が定着していったのではないでしょうか。
アイリッシュコーヒーのおいしい作り方
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アイリッシュコーヒーの魅力は、アイリッシュウイスキーの芳醇な香りと、コーヒーの香ばしさ、そしてホイップクリームの甘くてなめらかな口当たりが一体となった独特の味わいです。
飲む人に幸せな気持ちを運んでくれるアイリッシュコーヒーは、バーやコーヒー店で注文するだけでなく、自宅でも簡単に作れるので、ぜひ試してみてください。
◆アイリッシュコーヒーの作り方
1.耐熱グラスかコーヒーカップをあらかじめ温めておき、適量の砂糖(ざらめ、またはコーヒーシュガー)を入れます。
2.温かいコーヒーを7分目ほど注いで、砂糖をしっかり溶かします。
3.ウイスキーを30ミリリットルほど注いで、軽く混ぜます。
4.最後に生クリームをそっと浮かせて、できあがり。
非常にシンプルなレシピですが、コーヒー豆の選び方や焙煎度合い、ウイスキーの銘柄選びなど、凝り出すとなかなかに奥が深いのがアイリッシュコーヒーのもうひとつの魅力。自分なりに、さまざまな組み合わせを試してみてはいかがでしょうか。
ウイスキー愛好家から推奨されるのは、ウイスキーにはアイリッシュウイスキーの定番「ジェムソン」、コーヒーには苦味が強すぎない「やさしい風味のコーヒー豆を深煎りで」なのだとか。アイリッシュウイスキーの醍醐味である芳醇な香りを存分にたのしめるのが、この組み合わせだといわれています。
また、アイリッシュコーヒーを飲む際には、浮かべた生クリームを混ぜずに飲むのがポイントなのだとか。コーヒーの黒とクリームの白という、スタイリッシュなコントラストをたのしむのはもちろんですが、まずは、まろやかなクリームに口をつけ、その後でコーヒーの苦さとウイスキーの香りを味わう。これがアイリッシュコーヒーの正しい作法だといわれています。
アイリッシュコーヒーの新しいたのしみ方!
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アイリッシュコーヒーは、カラダを温めてくれるホットカクテルとして人気ですが、アイスでもたのしむことができます。
作り方はホットと同様で、アイスコーヒーにアイリッシュウイスキーを注いで、クリームを浮かべればできあがり。おすすめの飲み方もホットと同じで、まずはクリームを混ぜずに口にして、クリームとコーヒー、そしてウイスキー、それぞれの味わいが口中で混ざり合っていくさまをたのしんでください。
クリームの上にシナモンやナツメグなどの香辛料をトッピングしたり、シトラスで香りづけしたりすれば、アイリッシュウイスキーの豊かな香りをさらに引き立ててくれます。
また、キャラメルシロップやチョコレート、アイスクリームなどを足すと、よりデザート感が増して、女性にもよろこんでもらえるはず。このほかにも、自由にトッピングをたのしんで、新しいアイリッシュコーヒーのレシピを創造してみましょう。
少し大人のアイリッシュコーヒーのたのしみ方としては、「ウイスキー・フランベ」があります。料理にブランデーなどを注いで火をつけ、アルコール分を飛ばして香りづけすることを「フランベ」といいますが、そのカクテル版です。
バーでアイリッシュコーヒーを注文する際に、バーテンダーに「ウイスキー・フランベ」ができないか聞いてみましょう(ただし、決して無理強いはしないこと! )。ウイスキーから炎とともに、なめらかな香りが立ち上がります。
これは、単なるパフォーマンスではなく、火をつけることでウイスキーのアルコールが飛んで、口当たりがまろやかになるという理由があるのだとか。アルコール度数も減るので、より飲みやすいカクテルになるため、お酒が弱い方にはうれしいですね。
アイリッシュコーヒー以外にも、さまざまなコーヒーカクテルが
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アイリッシュコーヒーは、コーヒーを活用したカクテルの代表格として、世界的にポピュラーなものです。コーヒーはアルコールと相性がいいのか、アイリッシュコーヒー以外にも、さまざまなコーヒー入りカクテルがありますので、いくつか紹介しましょう。
◆カフェ・コレット
イタリア発祥のコーヒーカクテルで、アイリッシュコーヒーと同様に、アイスでもホットでもたのしめます。
作り方は、エスプレッソコーヒーにウイスキーを注ぎ、ホイップクリームを浮かべます。エスプレッソで作るので、アイリッシュコーヒーよりも濃い目の味になります。
◆カフェ・サンフランシスコ
温めたグラスに適量の砂糖を入れて、熱いコーヒーとアイリッシュウイスキー、そして「アイリッシュミスト」というリキュールを注ぎ、ホイップクリームを浮かせます。ウイスキーだけでなく、リキュールも加えている分だけ、アルコール分が若干高めです。
どのカクテルも、コーヒーの香りと苦味、そしてウイスキーの適度なアルコールで、ほろ酔い気分でくつろげます。
アイリッシュコーヒーはウイスキーをベースとしたカクテルのなかでも、飲みやすいカクテルのひとつ。お酒が苦手という人も、一度試してみてはいかがでしょうか。