幻の日本酒【飛露喜(ひろき)】無ろ過生原酒という新しい潮流
「飛露喜」は、日本酒愛好家なら知らない人はいないほどの人気銘柄。江戸中期に創業した老舗、廣木酒造本店が醸す「幻の日本酒」と呼ばれるお酒です。無ろ過生原酒の先駆けとも言われ、そのフレッシュな味わいが日本酒好きの心をつかんでいます。
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「飛露喜」は酒どころ、会津若松を代表する日本酒
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「飛露喜」は、福島県西部の会津坂下(ばんげ)町にある廣木酒造本店が醸す日本酒です。会津坂下町は、古くから酒造りが盛んな町で、現在も3つの蔵が酒造りを行っています。
「飛露喜」という銘柄は、9代目である現社長・廣木健司氏によって、1999年に生み出されましたもの。その印象的な名前は、蔵の名字である「廣木」と、「喜びの露がほとばしる」イメージから名付けられたものだとか。
「飛露喜」は、当時まだ珍しかった「無ろ過生原酒」の先駆けとして知られています。無ろ過生原酒とは、搾ったままの原酒を、ろ過や熱処理などの加工を一切せずに出荷した日本酒のこと。
無ろ過生原酒ならではの鮮烈な飲み口と、透明感のあるボディを備えた味わいによって、「飛露喜」は瞬く間に日本酒ファンの支持を獲得。無ろ過生原酒という新ジャンルを確立するとともに、会津の日本酒を一躍、全国区に押し上げる役割を果たしました。
「飛露喜」の登場で、廃業寸前から一転して人気酒蔵に!
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「飛露喜」の存在によって、今では全国区の酒蔵となった廣木酒造本店ですが、現当主の廣木健司氏が後を継いだ当時は、廃業すら考えるほどの経営難だったとか。
そんな苦境のなかで、廣木氏は「どうせなら自分が最高に旨いと思える酒を造りたい」と考え、全国区で勝負できる酒を造るため、試行錯誤の日々をスタートさせました。
当初は方向性が見えなかったものの、あるとき、お世話になっていた酒屋さんに搾りたての生酒を贈ったところ、「今までの廣木酒造になかった味」と評価されました。そこから方向性が固まり、さらに3年の歳月をかけて、ようやく完成したのが「飛露喜」でした。
まだ「無ろ過生原酒」という言葉が一般的ではなかった時代に、突如としてあらわれた「飛露喜」は、瞬く間に地酒ファンの間で話題となり、廣木酒造も人気酒蔵への道を駆け上がっていったのです。
「飛露喜」の香り高い旨口が、日本酒の新潮流となる
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「飛露喜」は、その鮮烈な飲み口で「無ろ過生原酒」という日本酒の新しい潮流を確立し、全国にその名を知られる銘柄に成長しました。
「飛露喜」を口にしてまず驚くのは、日本酒としての味のバランスのよさ。旨味や酸味、甘味、さらに香りなど、日本酒の味を構成するさまざまな要素が、口のなかで一体となって広がっていくのです。
そんな魅力をもつ「飛露喜」を生んだ酒造りのポイントは、洗米から吸水、蒸しまでの原料処理だそうです。これらは酒造りの長い工程のなかでも川上に当たりますが、この工程をしっかり行うことがブレのない酒につながるのです。
一つひとつの工程をないがしろにしない廣木酒造の姿勢もまた、酒造りの潮流として、日本酒業界全体に影響を与えていくことでしょう。
日本酒の新しい時代を築いた「飛露喜」。まだ飲んだことがないという人は、ぜひ、飲んでみてください。
製造元:合資会社本廣木酒造本店
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