ウイスキーのもっともスタンダードな原料「大麦」を使った「モルト」とは?
ウイスキーのもっともスタンダードな原料「大麦」。ウイスキーに興味を持ったなら、大麦だけで造られた「モルトウイスキー」は外すことができない王道中の王道です。シングルモルトのブームでウイスキーの個性が重要視されるようになり、モルトそのものの存在もクローズアップされています。
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モルトウイスキーとはどんなものか?
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焼酎の原料に麦や芋などいくつもの種類があるように、ウイスキーの原料もさまざまな穀物が使われています。なかでも、もっともスタンダードな原料が「大麦」。この大麦を発芽させたモルト=大麦麦芽のみで作られたウイスキーが「モルトウイスキー」で、単一の蒸留所でつくられたモルトウイスキーの複数樽を混ぜてボトリングしたのが今、人気の高い「シングルモルト」です。
原料となる大麦にはいくつかの種類があり、ウイスキーに使われるのは「二条大麦」がメイン。ウイスキーが世界的な広がりを見せるなか、近年では品種や産地にこだわる蒸留所も増加。たとえば、日本のクラフトウイスキー界で注目を集めているベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」では、近年、地元・秩父産の麦を使ったウイスキー造りにチャレンジ。ウイスキーは、より個性を競う時代になってきたといえるでしょう。
スコッチのシングルモルトを飲む
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長いことブレンデッドウイスキーが主流だったウイスキー市場に、蒸留所ごとの個性を味わうというたのしみ方を与えてくれた「シングルモルト」。そのブームの火付け役はやはり、ウイスキーの元祖ともいえるスコッチのシングルモルトです。
初めてシングルモルトにトライするなら、地元スコットランド人に愛されているシングルモルト「グレンモーレンジィ」がおすすめ。一度熟成させた原酒をシェリー、ポート、マディラなどのワイン樽に詰め替えてさらに発酵させる“ウッドフィニッシュ”という技術を初めて導入した蒸留所のシングルモルトで、軽やかでピュアな洗練された味わいが特徴です。
もう一段階、強い個性を味わいたいなら、アイラ島最古の蒸留所「ボウモア」のシングルモルト。強烈な個性を放つアイラモルトのなかではピート香、ヨード臭ともに抑え気味で、味わいも華やかでスイート。洗練された香しいピート香はアイラ入門としてもおすすめです。
シングルモルトならジャパニーズもはずせない
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シングルモルトは、スコッチの独壇場かというと、そんなことはなく、じつは日本のシングルモルトも世界的に高く評価されています。
ジャパニーズウイスキーのシングルモルトの代表格といえば、1984年にサントリーから発売された「山崎」。クセが少なく飲みやすく、それでいて深みと華やかさのある味わいはジャパニーズウイスキーを知るにはうってつけの一本で、世界的にも高い人気を誇ります。
もう少し個性の強いシングルモルトを飲みたい人には、ニッカウヰスキーのシングルモルト「余市」。ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏が“本場のスコッチに負けないウイスキーを”という信念を結実させた余市蒸留所で作られたもので、北海道・余市の冷涼な気候や潮風が吹く自然の風土を色濃く反映させたリッチで力強い味わいが特徴。竹鶴氏がウイスキーづくりを学んだスコットランドのウイスキー同様、スモーキーフレーバーもたっぷり堪能できるシングルモルトです。
世界のシングルモルトを飲み比べてみたいですね。