日本酒にグレードはあるの?
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日本酒の種類を理解しよう
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日本酒をオーダーするときに気になることは何でしょう? 銘柄に詳しくない場合は、どんな味なのか、冷たいか温かいか、どのくらいの量を飲むかを考えますよね。自分の好みを話してお店の人に選んでもらうのが間違いはありませんが、もう少し日本酒のことを知っていればオーダーがスムーズになり、より自分好みの味に出会えるでしょう。
日本酒にはいくつか種類があります。大きく分けるとふたつ。「純米系」と「本醸造系」です。純米系とは米、米麹のみを原料とするお酒。本醸造系は米、米麹、規定量内の醸造アルコールを原料とするお酒のことです。
醸造アルコールとは、サトウキビ等を原料として発酵・蒸留したアルコールのこと。この醸造アルコールを加えることでいくつかの作用がありますが、飲んですぐわかるのは香りが高く立ち、味わいがスッキリすることです。
このふたつをさらに製造方法、精米歩合、香味などの要件によってわけることができます。たとえば、精米歩合40%というと米のまわりを60%削り40%のみ残している、ということ。精米歩合が低いほど、雑味がなくスッキリした味わいに仕上がります。以下を参考に好みの味を想像してみるのはいかがでしょうか。
◆純米酒
原料は米、米こうじ。純米という名のイメージ通り、コクや甘味があり、米本来の旨みを感じるしっかりした味わいです。
◆特別純米酒
原料は米、米こうじ。精米歩合は吟醸酒レベルの60%以下の純米酒で、蔵元のこだわりが現れる日本酒好きに人気のタイプです。
◆純米吟醸酒
原料は米、米こうじ。精米歩合は60%以下。低温長期発酵の吟醸造りを経た純米酒。華やかな香りとコクのある味わいです。
◆純米大吟醸酒
原料は米、米こうじ。精米歩合は50%以下。純米吟醸酒の中で
も特に香りがよい最高級タイプです。
スッキリが好きな人は本醸造系、しっかりした味わいが好きな人は純米系から選ぶのがよさそうですね。
◆本醸造酒
原料は米、米こうじ、醸造アルコール。精米歩合は70%以下。スッキリとキレのある味わいが特徴です。
◆特別本醸造酒
原料は米、米こうじ、醸造アルコール。精米歩合は60%以下または、特別な製造方法をとっている日本酒のこと。さらにスッキリした飲み口です。
◆吟醸酒
原料は米、米こうじ、醸造アルコール。精米歩合は60%以下。吟味して醸造され、華やかな「吟醸香」がたのしめるのが魅力です。
◆大吟醸酒
原料は米、米こうじ、醸造アルコール。精米歩合は50%以下。吟醸酒よりもさらに香りがよく、中にはまるで白ワインのようなフルーティーな香りのものがあります。
一般的にいう日本酒のグレード
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日本酒の好みの味を知るのに「等級」などグレードは必要でしょうか? 味わいなどがわかれば、あまり必要ないように感じますね。しかし、かつては日本酒にグレードというものが存在していました。アルコール度数や酒質により品質の高いものから特級、一級、二級といって分類していたそうです。1992年に法律が改訂されたことで、この呼び名は廃止されました。
近年は、「純米酒」「大吟醸酒」といった種類で呼ぶことが多いのですが、「特撰」「上撰」「佳撰」などという等級を設けているところもあります。しかし、このグレードにはオフィシャルな規定はなく、あくまで蔵元が独自に設けているものです。
日本酒の種類についてお話しましたが、酒税法において規定の原料や製造方法などを守っている酒を「特定名称酒」といいます。これに対して、「清酒」と定められるお酒のうちこの規定に属さない酒を「普通酒」といいます。特定名称酒は、原料や製造工程などから価格が高くなる傾向にありますが、だからといって普通酒が悪いか、といったら必ずしもそうではありません。
「八海山」の“グレード”について
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たとえば、新潟の名酒として有名な「八海山」を醸造する八海醸造の場合、普通酒、本醸造系、純米系の順で商品を紹介しています。これは、グレード順というより普通酒や、特定名称酒の中でも比較的お手頃な本醸造酒においても、品質向上を目指したしっかりとした酒造りを行い、日本酒をより普段から気軽に飲んでもらえるようにという思いがあります。
丁寧に仕込んだ麹を使い醸造された八海山の普通酒や本醸造酒は、さっぱりと口当たりがよく料理にあうということで一流割烹にも置いてあることも。
グレードや製造方法だけに惑わされず、自分の好みの日本酒を見つけてたのしみたいですね。