今はもうない特級ウイスキーの話
ウイスキーの「特級」とは、1989年の酒税法改正で廃止になった級別区分によって定められていたウイスキーの階級のことです。少なくとも30年物の「特級」ウイスキーは経年による味わいの変化や希少性などから人気が高くコレクターもいるほど。そんな「特級」ウイスキーについてご紹介していきます。
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日本の酒税法が生んだ等級表示
その昔、「特級」と呼ばれるウイスキーがあったことを知っていますか? 団塊の世代といわれる年代の人に聞くと「ジョニ黒(ジョニーウォーカー・ブラック・ラベル)」「オールド・パー」といった銘柄の名前が飛び出すかもしれません。
1953年に制定された古い酒税法では、アルコール度数43度以上のウイスキーを「特級」、40度以上43度未満を「一級」、39度以下を「二級」とし3つに分類、アルコール度数により酒税が分けられていました。
1989年までは上記の酒税法が適用され、ほかの酒類に比べウイスキーは酒税が最も高い水準にありました。しかし、1989年の酒税法改訂で級別区分は廃止、税負担が軽減されます。その後、数回酒税法は改訂され、現在は清酒に次いで低い税負担率となっています。
オールドウイスキーの価値
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上記のように、「特級」などと書かれたウイスキーは現在では作られていませんが、ウイスキーは賞味期限のない酒です。保存状態がよければ、比較的長期の保存が可能です。そのため、古いウイスキー、たとえば「特級」と表示されたウイスキーが長く保管されていることがあります。日本の場合「オールドウイスキー」はこの「特級」表示のあるボトルを指すことが多いのです。
ウイスキーの世界では、この「オールドウイスキー」のコレクターがいます。では、なぜ、人気が高いのでしょうか?
その希少性はもちろん、当時の製法や経年変化による味わいの違いが魅力になっているようです。
家の押入れや棚にずっと眠っているウイスキーがあったら、ラベルをチェックしてみてください。もしかするとラベルに小さく「特級」と表示があるかもしれません。封を開けるのは少しもったいないかもしれませんが、思い切って飲んでみて。オールドウイスキーと現在の銘柄と飲み比べてみたら、ウイスキーの奥深さが少し見えてくるかもしれません。