通は「酒」と「土」の産地を合わせる! 器でたのしむ「日本酒」の世界
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地酒を引き立ててくれる酒器の歴史と趣き
日本人にとって馴染みが深い「焼き物」。
全国にさまざまな産地が点在しており、個性豊かな器が数多くありますが、同じように、各地それぞれの気候風土のなかで人々の手によって造られる「地酒」とは、工芸と食品の違いはあれど、ともに日本を代表する伝統産業による賜物という共通点があります。
全国の地酒を味わう際に、ぜひともたのしんでいただきたいのが、陶磁器の「酒器」と日本酒の産地を合わせるという飲み方。たとえば、古くは平安時代に穴窯が築かれ、一大産地として名高い愛知県・知多半島の「常滑焼(とこなめやき)」。かつて酒造業でも栄えたこの地の酒を、鮮やかな茶褐色に焼き上がる特徴があるこの地の土でできた酒器で飲むなんてスタイルはいかがでしょう。
あるいは、石川県の「九谷焼」。こちらは豪華な絵付けがされた磁器で有名ですが、軽快で華やかなタイプのお酒を注ぐと、見た目と味わいの相互作用で、より上品な雰囲気を味わえそう。
また、岡山県の「備前焼」を、岡山で造られる酒米「備前雄町」の地酒で味わうなど、酒米の産地でたのしんでみるのも粋な組み合わせですね。
華やかな吟醸香と、きれいな酸味を持つ日本酒をワイングラスで飲むスタイルが徐々に浸透してきていますが、歴史ある「焼き物」の世界に一歩踏み込んでみると、より「日本酒」の深い味わいを感じられるかもしれません。
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原料に含まれる鉄分を赤く発色させるのが特徴の常滑焼
石川県南部の南加賀が発祥の九谷焼は、色絵による装飾を特徴とする磁器
ライタープロフィール
阿部ちあき
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター