ビールを「まずい」と感じるのはなぜ? 「まずい」を「おいしい」に変える方法も確認

ビールを「まずい」と感じるのはなぜ? 「まずい」を「おいしい」に変える方法も確認
出典 : Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

ビールを「まずい(苦手)」と感じるのは、なじみのない苦味を脳が「毒」と認識する傾向があるからです。でも大丈夫。ビールの「まずい」を「おいしい」に変えるチャンスはたくさんあります。今回は、ビールを「まずい」と感じる理由やビールに対する苦手意識を克服する方法を紹介します。

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ビールを初めて飲んだとき、おいしいと感じられなかった人も多いのではないでしょうか。
ビールを「まずい」と感じるのには、①製造や保管状態の不備でビールそのものが傷んでしまっている場合、②(樽から抽出されるビールを提供する飲食店で)機具の洗浄不足などで抽出経路が汚れている場合、③ビールを初めて飲んだときに苦くて口に合わないと感じる場合、の3つの状況が考えられます。

ここでは、③の初めてビールを飲んだときに感じる「まずい」にフォーカスし、理由をひもといていきます。

ビールが「まずい」と感じられる理由

ビールをまずいと感じるのは苦味があるから

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ビールを「まずい」と感じる理由は、ビール独特の苦味にあります。

人間が感じられる基本味は、甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の5種類に分類されます。「五味」と呼ばれる5つの基本味は、私たち人間が生きていくうえで不可欠な栄養素や取捨選択すべき食物を見極めるシグナルでもあります。

たとえば、甘味は私たちのエネルギー源である糖分の存在を示すもの。塩味はミネラルの一種であるナトリウム、旨味はアミノ酸などの存在を示しています。一方、酸味や苦味は、腐敗したものや毒がもたらす味でもあるため、私たちの脳に「避けるべきもの」というシグナルを送ります。

ビールを飲み慣れない人が、その独特の苦味を「避けるべきもの」と認識してしまうことがあっても不思議はないでしょう。この未知の苦味に対する本能的な反応が、「まずい」という印象を導くと考えられています。

苦い食材の代表選手ゴーヤ

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ビールが「まずい」のは最初だけ?

苦味は毒のシグナルであり、多くの人に嫌われやすい味覚ですが、苦味を持つ植物のなかには生薬に使われるものや、栄養豊富な食材もたくさんあります。最初はとっさに拒絶したものの、実際は毒を持たない、あるいは毒の部分を取り除けば問題なく食べられるとわかれば、「まずい」という最初の印象が、「おいしい」「もっと食べたい/飲みたい」に変わることもあるでしょう。

たとえば、苦味を持つ以下の食材について、初めて口にしたときの印象を覆された経験はないでしょうか。

◇にがうり(ゴーヤ)
◇ピーマン
◇春菊
◇パセリ
◇セロリ
◇ふきのとう
◇銀杏
◇緑茶

最初は「苦くてまずい」と感じた食材も、調理法やほかの食材との組み合わせによっては「おいしい」と感じられることがあります。一度「おいしい」と思ったら、また口にしたくなる。そのような体験を重ねていくうちに、「苦くてまずい」という最初の印象が「おいしい」「好きな味」に変わる可能性もあります。ビールも例外ではありません。

ビールを「まずい」と感じていた人が、なんらかのきっかけを経て、無類のビール好きに変わった例は山ほどあります。なかにはビールの味が好みに合わない人もいるかもしれませんが、さまざまな味わいのビールが続々と登場し、市場を賑わすこの時代、「まずい」を「おいしい」に変えるチャンスがあれば、逃さずつかみ取りたいものですよね。

ビールは歳を重ねるごとにおいしくなる?

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ビールは年齢を重ねるごとにおいしくなる!?

2009年6月にアサヒビール株式会社 お客様生活文化研究所が全国の20歳以上の男女4,526人を対象に行った調査によると、回答者の8割近くが、ビールを初めて飲んだときに「おいしい」と感じなかったといいます。ところが、「現在はビールをおいしいと思いますか?」という問いに対しては、全体の9割以上が「おいしい」と回答しているのです。

同じ調査では、ビールのおいしさに目覚めた年齢についても聞いています。もっとも多い回答は「20代前半」でしたが、30代以上の回答者のなかには「30代前半/後半」あるいはそれ以降に目覚めたという人も。ビール好きになった人の多くは、ビールをおいしいと感じたきっかけがあったようで、調査結果を通じて、ビールの魅力は、年齢や経験を経るごとに高まる傾向があることがうかがい知れます。

機会があったら、周囲にいるビール好きな人に話を聞いてみるとよいかもしれませんね。

アサヒビール株式会社|ニュースリリース

ビールが苦いのはなぜ? 苦味がクセになるって本当?

ビールの苦味はホップ由来

Jiri Hera / PIXTA(ピクスタ)

ビール特有の味わいを特徴づける苦味は、主原料のひとつであるホップに由来します。

ホップはアサ科のつる性植物で、ビールに独特の苦味と爽快な香りを与えるほか、殺菌作用やにごりを抑える働き、泡持ちをよくする役割なども担っています。ほかにも、健胃・鎮静・利尿作用などが認められていて、生薬としても知られています。
古くは雑菌の繁殖を防ぐ目的で用いられ、現在ではビール造りに欠かせない原料になっています。

ビールの苦味は、麦汁を煮沸する際に投入されたホップの成分アルファ酸がイソアルファ酸に異性化することで生じます。この苦味こそがビールを「まずい」とも「おいしい」とも感じさせる重要な要素であり、ビールのおいしさに目覚めたあとは、苦味の度合いでビールを選ぶ人もいます。

今すぐできる! ビールの「まずい」を克服する方法

ビールの「まずい」を克服する方法

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ビールを「まずい」と感じたファーストインプレッションは、よい印象に塗り替えることができます。ここから先は、ビールに対する「まずい」の印象を「おいしい」に変える方法をみていきます。

ビールを適温に冷やす

冷たいビールはおいしいといわれていますが、キンキンに冷やせばいいというわけではありません。

人それぞれ好みの温度が異なるので一概にはいえませんが、冷やしすぎると泡立ちが悪くなったり、ビールの香りや繊細な味わいが感じにくくなったりする可能性があります。逆に、ぬるいままだと、のどごしの爽快感やキレのよさがなくなります。

ビールはビアスタイルごとに飲むときの適温が異なります。造り手が製品ごとにおいしく味わえる温度を設定している場合もあります。また、季節によってもおいしいと感じられる温度は変わってきます。

飲みごろの温度で味わうビールの味は格別。「まずい」と感じたビールも、適温で飲んでみると、印象がガラリと変わるかもしれませんよ。

ビールは適温で飲むとおいしい

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「苦くておいしい」と評判のビアスタイルで苦味になじむ

「苦くておいしい」といわれるビールとの出会いがきっかけとなり、「ビールはまずい」という認識が覆されることがあります。

ビールの苦味の度合いは、「IBU(International Bitterness Units)」という世界共通の単位で表すことができます。IBUは一般的に正の数で示され、数値が高いほど苦味が強く、数値が低いほど苦味が少ない傾向があります。

ビール好きな人のなかにはIBUの数値を銘柄選びの基準にする人もいます。IBUの高さが群を抜く「IPA(アイピーエー)」などは、クラフトビール人気の牽引役ともいわれる人気のビアスタイル。ホップを大量に使用して造られる「IPA」は、独特の苦味とホップ由来の華やかな香りが魅力です。

「IPA」は「苦くておいしい」といわれるビアスタイルの代表格ですが、苦味がクセになるビアスタイルはほかにもたくさんあります。好みのビアスタイルで「苦くておいしい」を体験し、「ホップの苦味はおいしい」と思えたら、苦手意識を克服できたも同然です。

苦くておいしいIPA

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初心者でも飲みやすいビールを選ぶ

お酒を飲み慣れていない人や、「苦くておいしい」といわれるビールを飲んでも苦味になじめなかったという人は、アルコール度数の高さや苦味そのものがネックになっている可能性もあります。

ビールのなかには、アルコール度数の低いものや、苦味が気にならない銘柄もたくさんあります。まずは、初心者にも飲みやすいビールを選んで、自分に合った銘柄を探してみましょう。

以下の記事では、「苦くない」「すっきり軽快」「フルーティー」「甘口」「アルコール度数が低め」というキーワードをピックアップし、初心者にも飲みやすいビールを紹介しています。

たのしい飲み会がきっかけでビールを好きになることも

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香りでビールを選んでみる

特定の香りが、その香りに結びつく記憶や感情が呼び起こす現象を「プルースト効果」といいますが、ビールの香りが、印象深い飲酒体験や日々の生活にプラスの効果をもたらす記憶に紐づけられれば、ビールのたのしみが広がるかもしれません。

ビールを飲む環境や料理とのペアリングにこだわる

ビールを好きになるきっかけは人それぞれですが、なんらかの成功体験をしたとき、仲間とのたのしい飲み会、好きな人と初めて食事をしたとき、仕事の先輩がほめてくれたときなど、記憶に残るできごとを機にビールのおいしさに目覚める人も多いようです。

たのしい体験とビールのおいしさの間には相関関係があると考える人もいます。気の置けない仲間とビアホールに行く、信頼できる友人と落ち着けるビアスポットで飲んでみるなど、飲む環境を積極的に整えることも大切です。

また、ビールは食事のお供にも最適です。ビアスタイルによって合う料理が変わってきますが、ペアリングにこだわれば、ビールのおいしさも引き出せるので、以下の記事でビールペアリングの基本をチェックして、ベストな組み合わせを探してみてください。

飲む環境や料理とのペアリングがビールをおいしくする

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ビールをカクテルで味わう!

ビールのアルコールや苦味になじめない、炭酸ののどごしが苦手、という人には、ビアカクテルがおすすめです。

ビールをベースに使ったカクテルなら、アルコール度数も低めなうえ、割り材次第で苦味も抑えられます。発泡性のないジュースを使えば、炭酸のシュワシュワ感も和らぐでしょう。

たとえビールが飲めなくても、ビアカクテルをおいしいと感じるなら、立派なビール好き。多彩なレシピがあるので、飲み比べをたのしんでみてください。

ビールを初めて飲んだときに「まずい」と感じたとしても、その後ビールが大好きになる可能性は大いにあります。苦手を克服した先には、世界中の愛飲家が追求してきたビールのたのしみが広がっているので、ここで紹介した「まずい」を「おいしい」に変える方法を試してみてください。

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