一升瓶(いっしょうびん)の容量は何リットル? 一合瓶との関係やサイズの由来をわかりやすく紹介

一升瓶(いっしょうびん)の容量は何リットル? 一合瓶との関係やサイズの由来をわかりやすく紹介
出典 : fujisawa / PIXTA(ピクスタ)

一升瓶とは、約1.8リットル(約1,800ミリリットル)の液体が入るガラス瓶のこと。焼酎や日本酒(清酒)のほか、しょうゆやみりんなどの調味料の容器としても使われます。ここでは、一升瓶の歴史や一合瓶、四合瓶との関係、一升瓶のサイズ、一升瓶でお酒を買うメリットなどを紹介します。

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一升瓶の容量は約1.8リットル。なぜそのような量になったのか、誕生秘話から探ります。

一升瓶の容量は約1.8リットル

一升瓶の容量は1.8リットル

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一升瓶とは、焼酎や日本酒(清酒)などの液体を入れるガラス製の容器のこと。1.8リットル瓶と呼ばれることもあります。

一升瓶は、計量法の基準を満たした特殊容器「丸正びん」に分類されます。一升瓶のほかにも、ビール瓶や牛乳瓶などがこれに含まれます。

一升瓶をはじめとする「丸正びん」の規格は日本工業規格(JIS S 2350)で決められていて、どこのメーカーが作った一升瓶でもサイズや形、材質は同じです。

一升瓶の容量は約1.8リットル(1,800ミリリットル)で、±15ミリリットルの範囲で誤差が許容されています。

(参考資料)
e-Gov法令検索|計量法

お酒が一升瓶で販売されるようになった理由

昔のお酒は飲む分だけ徳利で買っていた

タロイモ / PIXTA(ピクスタ)

一升瓶などのガラス瓶が日本で作られるようになったのは、明治時代後期のこと。それ以前の日本ではお酒の販売に輸入ワインなどの空き瓶が使われていました。

瓶が容器として使われるようになる以前、たとえば江戸時代などは、酒屋さんが貸し出す「通い徳利(かよいとっくり)」にお酒を移し、飲む分だけ持ち帰るのがならわしでした。いわゆる量り売りですね。

ところが、水を足してお酒の量を増す「水増し」をおこなう売り手があとを絶たなかったため、不正を抑止するべく誕生したのが一升瓶だったのです。

一升瓶に入った日本酒が登場したのは、明治34年(1901年)のこと。明治41年(1908年)ごろには京都・伏見の酒造メーカー、月桂冠が一升瓶入りの清酒を発売。明治42年(1909年)には「びん詰め工場」を新設しました。

当時、お酒の流通は樽詰めが主流でしたが、瓶入り商品の流通を後押ししたのが、現在は高級スーパーマーケットやMYジャムなどで知られる明治屋でした。明治屋は防腐剤をいっさい含まない瓶入り清酒「名譽月桂冠」の全国への販売を一手に受け、現在に続く瓶詰めしたお酒の流通を広めたのです。

(参考)
明治屋|明治屋の歩み

不正を防ぐ目的のほかに、衛生面でも利用価値が認められると、一升瓶は大量生産されるようになり、しょうゆなど調味料の容器としても使われるようになりました。

一升瓶の「升(しょう)」とは

一升瓶の「升」とは

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ここからは、一升瓶のサイズについてみていきましょう。

「升」は尺貫法の体積単位のひとつ

一升瓶の「升」は、「尺貫法」でいう体積の単位のひとつ。尺貫法とは、長さに「尺(しゃく)」や寸(すん)、質量に貫(かん)や斤(きん)、面積に反(たん)や坪(つぼ)などを使う日本独自の単位系のことです。

現在使われているメートル法との関係やスケール感がわからなくても、「畳1間」「パン1斤」「坪単価」といった表現になじみがある人は少なくないでしょう。

一升瓶の「升」は「しょう」と読みます。メートル法の体積の単位系に換算すると、1升=1.8039リットルになりますが、一般的には1.8リットル(1,800ミリリットル)とされています。

「升」と同じ体積の単位系に、「石(こく/ごく)」「斗(と)」「合(ごう)」があります。「加賀百万石」「一斗缶」「四合瓶」「5合炊き炊飯器」といえば、それぞれの単位のスケールをイメージできるかもしれません。

「石」「斗」「升」「合」の関係性は、以下のとおりです。

◇1石=10斗=約180リットル
◇1斗=10升=約18リットル
◇1升=約1.8リットル
◇1合=1/10升=約0.18リットル=180ミリリットル

おちょこと徳利

sarakazu / PIXTA(ピクスタ)

一升瓶と一合瓶の関係は?

一合瓶とは、180ミリリットルの液体が入るサイズの瓶のこと。一合瓶10本で一升瓶1本分になります。

焼酎のカップ酒は200ミリリットルや220ミリリットルなどメーカーによって内容量が異なりますが、日本酒のカップ酒は1合のものがほとんど。

一合瓶のお酒に含まれる純アルコール量は、アルコール度数14度の場合、約20グラムです。アルコール度数が平均よりやや低めの日本酒なら、1日で飲みきるのにちょうどいい量といえるでしょう。アルコール度数25度の焼酎の場合、純アルコール量は36グラムなので、1日で飲むには少し多いかもしれません。

一升瓶と四合瓶(4合瓶)の関係は?

四合瓶とは、4合分の液体が入るガラス容器のことで、「しごうびん」と読みます。4合の容量は1合の4倍で、ミリリットルに換算すると720ミリリットルです。

一升瓶の容量が1,800ミリリットルなので、四合瓶は一升瓶の半分よりやや少ない4/10(0.4)サイズということになります。

以下の記事では、焼酎や日本酒の容器に四合瓶が多い理由や、四合瓶の歴史について紹介しています。興味のある人はぜひ読んでみてください。

一升瓶のサイズ(寸法)はどのくらい?

一升瓶のサイズ

maskin / PIXTA(ピクスタ)

一升瓶の寸法も、日本工業規格(JIS)の規格「容量表示付きガラス製びん(壜)/規格番号:JIS S2350」に定められています。

ここでは、一升瓶を収納しやすくなるよう、高さや直径などのおおまかなサイズを紹介します。
JIS規格では、ほかにも瓶底のくぼみの形状や胴部(一番太い部分)の高さ、肩部(胴部から首に向けて細くなっていく部分)の形状なども細かく規定されています。

◇びん口外径:約30ミリ
◇高さ;約395ミリ
◇胴径:約105.3ミリ
◇最小肉厚:1.7ミリ

一升瓶でお酒を購入するメリット

一升瓶は環境にやさしい容器

metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

冷蔵庫に入らない、持ち運びに不便などの理由から、一升瓶よりも小さい容器や紙パック入りの商品を選ぶ人もいるようですが、一升瓶ならではの魅力もたくさんあります。

たとえば、お酒をギフトとして贈る場合は、一升瓶くらい大きい容器が見映えがします。結婚が決まった際の親への挨拶では、「一生(一升)大切にします」という気持ちを込めた縁起物としても重宝されています。

コスパ面でも、一升瓶はすぐれています。一升瓶のお酒は多くの場合、四合瓶(720ミリリットル)や五合瓶(900ミリリットル)入りの商品よりも単位容量あたりの価格が低いので、おトクにたのしみたい人には根強い人気があります。

特筆すべきは、環境面でのメリットです。一升瓶は「リターナブルびん」の一種。「容器包装リサイクル法」第18条では「自主回収の認定」を受けていて、ビール瓶や牛乳瓶などと同じく回収後、リユース(再利用)されます。

環境への取り組みのひとつとして「リサイクル」が挙げられますが、「リユース」はリサイクル以上に優先すべき課題というのが世界的な共通認識です。

四合瓶のなかにはリターナブルびん「R720ミリリットル びん」もありますが、そのままの形状では再利用されない「ワンウェイびん」が使われる場合も多く、衛生上の観点から「ワンウェイびん」の使用を促す地域もあるようです。

環境へのやさしさという観点で考えると、ワンウェイびんや紙パックよりも、きれいに洗って再利用できる一升瓶に軍配が上がりそうですね。

(参考資料)
環境省|容器包装リサイクル法とは
ガラスびん3R促進協議会

一升瓶は環境にやさしいといわれる一方で、リターナブルびんの回収率は年々減少。一升瓶の供給が追いつかないことから、地域によってはお酒造りに支障が生じるケースもあるようです。環境のため、また一升瓶の文化を絶やさないためにも、一升瓶の魅力やリユースの流れを今一度確認してみてください。

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