福島県郡山市『ふくしま逢瀬ワイナリー』/豊かな果物の6次産業化で、福島県の農業の復興を目指す

福島県郡山市『ふくしま逢瀬ワイナリー』/豊かな果物の6次産業化で、福島県の農業の復興を目指す
出典 : 画像提供/ふくしま逢瀬ワイナリー

東日本大震災で大打撃を受けた福島県の農業の復興に寄与するため、2015年に開業したのが『ふくしま逢瀬(おうせ)ワイナリー』。郡山市にはなかったワイン用ブドウの栽培に地元農家や郡山市と着手して、2019年春に郡山産のブドウで醸造したワインを初リリース。ブランディングにも注力していると聞き、訪れました。

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清潔感あふれる醸造フロア。画像提供/ふくしま逢瀬ワイナリー

設立に至る経緯などをお聞きした後は、ワイナリーのなかを案内していただきます。
2015年の完成とあって、まだどの設備も新しく、隅々まで手入れの行き届いたフロアはどこもピカピカです。とくにまばゆいシルバーの輝きを放っているのが醸造タンク。

「1000ℓと2000ℓが中心ですが、一番大きなものは5000ℓで、こちらは2基所有しています」。
さらに「収穫したブドウをすぐに仕込むことを心がけています」と大河原さん。
タンクを数多く所有し、しかもサイズのバリエーションがあると、臨機応変に対応が可能。時間のロスが減り、ブドウが劣化しないうちに仕込めるそうです。

また、1000ℓの小さめのタンクサイズは、契約農家の個人名を冠したキュベを仕込むのに適しているとか。まるでブルゴーニュのドメーヌのように、個人がブランド化されたワインができると、ブドウ栽培の励みになることは間違いないでしょう。

天井が高く明るい空間に、全29基合計53㎘のタンクが鎮座しています。

樽貯蔵室には、熟成の時間を待つワインが詰まった木樽が並んでいます。
「基本的にはフレンチ―オークですが、アカシア材の木樽も活用しています」。

新樽の清々しい香りに、成長中のワインの香りが重なります。画像提供/ふくしま逢瀬ワイナリー

現在ワインの醸造で重視しているのは、ブドウの風味を活かすこと。
「質の高いブドウが届いているので、ブドウの味をそのままワインにすることを心がけています。補糖や補酸は極力行わず、酸化防止剤の添加量も減らし、濾過も最小限に留めているんですよ」。

ワイナリーショップ内からは窓越しに、ワイナリーでは珍しい単式蒸溜器の姿も。こちらでブランデーやリキュールも製造しています。

これで見学は終わりと思いきや、「外の畑も見に行きましょう」。
自社畑を持たず、契約農家にブドウ栽培を全面的に依頼しているふくしま逢瀬ワイナリー。でも見学者のために敷地の一角に畑を設け、郡山で栽培している代表的な品種を植栽しているのです。

栽培している品種は、下の画像に表記されていますが、注目は⑥の「オクセロア」。フランスのアルザス地方やドイツなどで育まれているブドウですが、あまり有名なものではありません。「オーセロワ」とも表記でき、ワイナリーのある逢瀬(=オーセ)町と音が同じと閃いて採用することになったそうです。

郡山市の契約農家で育てている代表的なブドウを確認することができます。

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