ビールのおいしい注ぎ方とは? 自宅でプロの味に近づけるコツや泡の秘密、注ぎ方のマナーまで

ビールのおいしい注ぎ方とは? 自宅でプロの味に近づけるコツや泡の秘密、注ぎ方のマナーまで
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ビールは注ぎ方ひとつで味わいが変わります。注ぎ方のコツを覚えておけば、自宅でもおいしいビールをたのしめます。今回は、ビールのおいしい注ぎ方や、注ぎ手のプロの味に近づけるコツ、泡の秘密、グラスの扱い方、注ぎ方のマナーなどについて紹介します。

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まずはビールをおいしくする注ぎ方を確認していきます。

ビールの味わいは注ぎ方で変わる!?

ビールは注ぎ方で味が変わる

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ビールは注ぎ方により味わいが変わるといわれています。同じ銘柄のビールでも、ビアホールなどでプロに注いでもらったビールの味は「別格」と感じている人もいるかもしれません。中味が同じなのに味の印象が違う理由は、お店では基本的にビールの温度や鮮度、ガス圧、グラスなどが適切に管理されているからですが、それらに加えて注ぎ手の技術も大きく関係しています。

もちろん、現代的な泡出し機能つきのビールサーバーは、誰でも上手にビールを注げるように工夫されているので、基本的にはどこで飲んでも一定のクオリティーのビールを飲むことができます。

その一方で、昔ながらの「スイングカラン」と呼ばれるビールサーバーは扱いが難しく、注ぎ手の技量が試されます。熟練の注ぎ手がスイングカランから注ぐ一杯は格別のおいしさで、その味に魅せられて足繁く通うツウなお客さんもいます。

とはいえ、注ぎ分けのコツを知っていれば、自宅でも注ぎ分けによるビールの味の違いを確かめることができます。

なお、一般的に「ビールは泡が命」ともいわれますが、まったく泡を立てない注ぎ方もあり、必ずしも泡がなければダメというわけではありません。ビールの泡にはビールと空気の接触を遮断しておいしさをより長くキープするという役割がありますが、泡にこだわりすぎず、ビールの種類や好みで注ぎ方を使い分けることも大切です。

一度注ぎ、二度注ぎ、三度注ぎ、3種の注ぎ方で味わいの違いを確認

ビールの注ぎ方による味の違いを確認

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ビールの注ぎ方にはいくつかの種類があり、ビールを注いだあとの味わいに合わせた注ぎ分けをする注ぎ手もいます。よく知られているのは、「一度注ぎ」「二度注ぎ」「三度注ぎ」と呼ばれる注ぎ方。注ぐ回数と注ぎ方の違いで、印象の異なるビールの味わいを堪能できます。コツさえつかめば自宅でもたのしめるので、ご家庭でできるそれぞれの注ぎ方のポイントと、味わいの特長を押さえておきましょう。


◇一度注ぎ
グラスに沿わせるように、勢いよく1回で注ぎ入れるのが一度注ぎ。泡は粗く少なめでも、ほどよく炭酸が飛んでいるのでグビグビと飲みやすい。爽快なのどごしで、最初の一杯におすすめ。


◇二度注ぎ
1回目はグラスの約1/3まで泡立つように勢いよく、2回目はグラスのふちから泡の下をくぐらすようにゆっくり注ぐ。一度注ぎよりも炭酸が飛んでビールの旨味を感じやすくなる。爽快さと豊かな風味をいいとこ取りできる。

◇三度注ぎ
1回目は泡立てながら勢いよく、2回目は泡が落ち着いてからゆっくりと、3回目は泡を足すように静かに注ぐ。注いだ直後と飲み終わりで、味の変化をたのしめる。じっくりと味わいたいときに最適。

ぜひ3つの注ぎ方で、ビールの味の違いを確かめてみてくださいね。

なお、日本の大手ビールメーカーは一般に、ビールの本場チェコやドイツ伝来の三度注ぎを、王道の注ぎ方として推奨しています。チェコ発祥のピルスナータイプが主流の日本のビールには、適した注ぎ方といえそうです。

自宅で試そう! ビールの「三度注ぎ」

ビールの三度注ぎに挑戦

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三度注ぎは、ビールの旨味が感じられおいしく飲める注ぎ方として、ビール好きの間で、徐々に知られるようになってきています。ここでは、ご家庭でできる三度注ぎの方法やおいしさの秘密などについて掘り下げて紹介します。

「三度注ぎ」をマスターしよう

先ほど紹介した三度注ぎのやり方を、もう少し詳しくみていきます。ピルスナータイプの瓶ビールや缶ビールで試してみてください。

(1)1回目
テーブルにグラスを置き、なるべく高い位置から、グラスの底をめがけてビールを勢いよく注ぎます。グラスが泡でいっぱいになるまで注いだら、泡が落ち着くまで2分ほど待ちます。

(2)2回目
泡が半分程度(液体と泡が1:1程度)になったら、低い位置からゆっくりと泡の下にビールを注ぎ込みます。泡がグラスのふちより1センチほど盛り上がったらストップします。
注ぎにくいようなら、グラスを手に持って少し傾け、グラスに沿わせるように注ぎながら、徐々に起こしていく方法でもOK。

(3)3回目
泡が少し落ち着くのを待って、ビールを泡の中心部にそっと注ぎ足します。泡が2センチほどこんもりと盛り上がったできあがり。液体と泡の割合はお好みですが、7:3くらいが目安です。

正しいステップを踏めば、初心者でも上手に注げるようになります。

三度注ぎのおいしさの秘密は泡

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三度注ぎはなぜおいしい? 香りや味わいの違いは? 秘密は泡にあり

三度注ぎで泡を作ったビールと、泡なしのビールを比較したある実験結果から、ビール中の香り成分と苦味成分の量に違いがあることがわかりました。

ビール中の香り成分の含有量を泡のあり・なしで比べると、注ぎたては泡なしのほうが多く含まれますが、時間の経過とともに逆転します。三度注ぎでは泡立てながら勢いよく注ぐので、一部の香り成分が揮発しますが、きめ細かでクリーミーな泡が作れます。その泡がふたの役割をして、ビールの香りを閉じ込めるため、泡立てないビールよりも香りを長くキープできるのです。

つまり、泡なしのビールは徐々に香りが薄れていきますが、三度注ぎのビールは、飲み始めは揮発した香り成分がふわっと立ち上り、最後までビール本来の香りを堪能できるというわけです。

また、ビールの苦味成分には、泡になじみやすいイソα酸と、液体になじみやすい後熟成分の2種類あり、泡を作ることでビール中の苦味成分の量に変化が生まれます。泡なしのビールは飲み始めと終わりで変化はありませんが、三度注ぎのビールは、最初はイソαと後熟成分が分かれているのでビール中の苦味成分は少なく、時間の経過とともに泡と液体が混じり合って苦味成分が増えていきます。

三度注ぎではこうして飲むごとに味が変化していくため、2杯目、3杯目と飲んでも飲み飽きせず、一杯ごとに新鮮なおいしさを感じられるのです。

(参考)
キリンホールディングス株式会社|香りと味の違いを科学で解明!「三度注ぎ」のビールはなぜおいしいのか

ビールをもっとおいしく味わうためのひと工夫

ひと工夫でよりおいしいビールに

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ビールをよりおいしく味わうためのポイントを紹介します。

ビールの温度やグラスの選び方にこだわってみる

ビールには、ビアスタイルごとに適温があります。日本のビールの主流であるピルスナーは約6~8度が飲みごろの温度。なお、ラベルやメーカーの公式サイトに飲みごろの温度が明記してある場合は、それに従うのが適切です。

ビールはグラスのサイズや形状、材質、厚みによって、味わいが違って感じられます。たとえば、同じガラス製でも、厚みのあるグラスと薄手のものでは印象ががらりと変わります。
一般的なピルスナーは、縦長で美しい曲線を持つ、円筒形のタンブラーに注ぐのがおすすめですが、ぜひいろいろな種類のグラスを試してみてくださいね。

エンジェルリング

ビールグラスの冷やし方や洗い方も重要

ビールグラスは、事前に冷蔵庫で冷やす方法もありますが、ほかの食品のニオイが移る心配もあります。また、キンキンに冷やしすぎると泡立ちが悪くなるので、冷凍庫で冷やすのは得策ではありません。イチオシは、冷水や氷水にくぐらせる方法。水で濡らすことでグラスの内側の凹凸が水の膜で覆われ、ビールがスムーズに注げるようになるので、水気を拭き取る必要はありません。

また、おいしいビールを飲むには、きれいなグラスが欠かせません。ビールを飲んだあとのグラスに、「エンジェルリング」や「レーシング」と呼ばれる白いリング状の泡の跡が残ることがあります。これはきれいなグラスにきれいな泡のビールが注がれて初めて現れるもので、そのビールをおいしい状態で飲めた証しともいわれています。

エンジェルリングができるおいしいビールを飲むためにも、正しい洗い方をマスターしたいもの。グラスを洗うときはグラス専用のスポンジを用意して、グラスを一度水ですすいでから洗い始めます。中性洗剤をつけたスポンジで内側と外側をていねいに洗い、流水できれいにすすいだら、逆さまにして自然乾燥させます。布巾などで拭くと、グラスの内側に微細な繊維や油分がついて泡立ちや泡持ちに影響するので避けてください。

ほどよく冷えたきれいなグラスで三度注ぎのビールを飲めば、エンジェルリングが現れるかもしれませんよ。泡ひげをつけながら、おいしくたのしく味わってくださいね。

ビールには注ぎ方・注がれ方のマナーがある

ビールの注ぎ方のマナー

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ビールは自由にワイワイたのしむのに最適なお酒ですが、マナーを覚えておくとフォーマルな席で役立ちます。

ビールを注ぐ際のマナー

瓶ビールを注ぐときは、ラベルの位置を上向きにして利き手で瓶のはらを持ち、もう片方の手を軽く添えて、瓶がグラスのふちに触れないように注ぎます。手のひらを上にした「逆手の逆注ぎ」は、ビールだけでなく日本酒などでも失礼にあたるのでNGです。

また、注ぐタイミングにも気を配りたいもの。飲むペースは人それぞれで、日本酒など別の飲み物に替えたいと思っている場合もあります。勝手に注ぎ足すことはせず、相手のビールが残り少なくなったら、「ビールはいかがですか?」と声をかけるのがスマートです。

ビールを注がれる際のマナー

ビールを注いでもらうときは、両手で受けるのが基本です。利き手でグラスを持ったら、もう一方の手をグラスの下に添えるようにしてください。グラスは傾けすぎず、自然な角度で持ちましょう。

近年は、注ぎ・注がれるという文化は薄れてきてはいますが、お酌する際やお酌される際のマナーを心得ていれば、いざというときに慌てずにすみます。酒宴の場が円滑に進むためのコミュニケーション手段のひとつと捉えて、必要なときには実践してみてください。もちろん、友人同士や若い世代ではあまり気にしすぎず、自由にたのしんでも問題ありません。

ビールの三度注ぎをマスターすれば、自宅でもお店のような一杯を堪能できます。一度注ぎ、二度注ぎがよい場合もあるので、ケースバイケースで注ぎ方を選んで、おいしいビールライフを満喫してくださいね。エンジェルリングにもぜひ挑戦を!

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