ビールを冷蔵庫に入れる前に! 正しい保存方法を知っておきましょう
ふだん何気なくビールを冷蔵庫で冷やしていませんか? もしかすると誤った方法で保存しているかもしれません。今回はビールをおいしく飲むための、適切な保存方法を紹介します。正しい方法を知っていれば、ビールをもっとたのしめますよ。
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ビールを冷蔵庫などの冷暗所で保存する理由
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ビールは日光を浴びると劣化する
ビールは日光を避け、涼しいところに保存するのが基本です。日光などの光にさらされると、ビールからは「日光臭」と呼ばれる、ゴムが焼けたような不快な臭いが発生します。
ビール瓶が茶色や緑色で作られているのは、光を遮断するため。しかし、完全に遮ることはできないため、直射日光が当たる場所に置いたままにすることは絶対にやめましょう。
ビールは高温下でも劣化する
ビールは高温を避けて保存することも重要です。高温になる場所に放置すると、段ボール紙や甘いウイスキーのような臭いが生じるといわれています。風味が損なわれるだけでなく、濁りや沈殿が生じることも。とくに夏場は、車の中やトランクルームに長時間放置するのは厳禁です。また、缶の原料であるアルミは瓶よりも熱伝導率が高いので、お店から買って帰るときなどに、直射日光でビールの温度が高くならないように注意が必要です。
ビールによって冷蔵庫での最適な冷やし方が変わる
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適切な温度はビアスタイル(ビールの種類)によって変わる
ビールの飲みごろの温度は、以下のようにビアスタイルによって異なります。
◇ピルスナー:約5〜7度
◇ベルジャンホワイト:約7〜9度
◇ヴァイツェン:約9〜10度
◇IPA(インディアペールエール):約10〜12度
◇スタウト:約11〜13度
◇バーレーワイン:約14〜16度
銘柄によっては、最適な温度がラベルに書かれている場合もあるので確認してみましょう。あるいはメーカーの公式サイトをチェックしてみるのもよいでしょう。
冷蔵庫から取り出したあとの、ちょうどよい飲みごろとは
どんな種類のビールでも、冷蔵庫から出したらすぐに飲みたくなりますが、じつはビアスタイルごとにおいしく飲めるタイミングがあります。
通常、冷蔵庫内は5度前後に設定されているので、日本の一般的なビアスタイル「ピルスナー」であれば、冷蔵庫から出してすぐ飲むくらいがちょうどよい温度です。「IPA」など適温が10度を超えるものは、冷蔵庫から出して10分ほど経ったくらいが飲みごろだといわれています。
ぜひ、タイミングを計って、飲んでみてください。
ビールを冷蔵庫で正しく保存するコツ・注意点
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ビールは飲む直前に冷蔵庫で冷やすのがベター
ビールはどのように保存するのがベストなのでしょうか? 前述のとおり、まずは日光が当たったり、高温になったりする場所は、ビールを著しく劣化させるのでNG。ふだんは暗く涼しいところに保存し、飲む前に冷蔵庫で冷やすのがベターです。
ビールを冷蔵庫で冷やす場合、8度以下の飲みごろになるまでに、およそ4時間かかるといわれています。冷凍庫では、30分ほどで8度以下になるそう。ただし、冷凍庫の場合は、冷やしすぎると中身が膨張して爆発したり、開栓時にビールが噴出してしまうことがあるので避けたほうがよいでしょう。
急いで冷やしたい場合は、大きめの容器に水を張り、たっぷりと氷を入れて、その中で瓶や缶を冷やす方法がおすすめです。氷水で温度を0度に保てば、瓶は約1時間、缶なら約30分で飲みごろになります。
なお、瓶と缶とで保存方法に違いはありません。
ビールを冷蔵庫に保存するときは振動と臭いに注意
ビールを冷蔵庫で保存する際、ただ入れればよいというわけではありません。以下にように、冷やし方にも注意が必要です。
冷蔵庫に保存する場合に注意したいのは、まずは振動を避けることです。ビールに溶け込んでいる炭酸ガスは、強い振動を与えると分離し、味わいが劣化してしまいます。そのためビールは冷蔵庫のドアポケットではなく、揺れの少ない庫内に保存するのがベストです。
じつはビールの冷やし過ぎはNG
「ビールはとにかく冷やせばよい」と思いがちですが、じつは冷やし過ぎるのはビールの劣化につながります。注意点を確認しましょう。
【冷凍庫に入れない】
ビールは0度を下回ると凍ってしまうため、冷凍庫に入れるのはNGです。凍る前に出したとしても、過剰に冷やしてしまうと、ビールの魅力のひとつである泡立ちが悪くなります。また、3度以下ではタンパク質や炭水化物の成分が結合する「寒冷混濁」と呼ばれる現象が生じることも。体に害はないものの、ビール本来のおいしさは大きく損なわれてしまいます。どんなにモルトの風味が豊かで、ホップが香るビールも、本来の魅力を十分に堪能できなくなってしまうので注意しましょう。
ビールのラベルに書かれた「要冷蔵」ビールの保存方法に注意
ラベルなどに「要冷蔵」と書かれているビールは、冷蔵庫に保存するのが鉄則です。
たとえば「クラフトビール」は、酵母がビールのおいしさにつながるため、あえて酵母を残したまま出荷されているものが多くあります。このようなビールは、温度が上がると酵母が活動を始め、味わいが変化してしまいます。つまり、発酵を抑えて品質を保たせるために「要冷蔵」とされているのです。本来の味わいを堪能するためにも、「要冷蔵」と書かれたビールはすみやかに冷蔵庫に保存しましょう。
なお、スーパーやコンビニなどで販売されている大手ビールメーカーのビールは、製造工程で生まれる酵母をろ過しているため、そのほとんどは要冷蔵ではありません。
ビールは繊細なお酒です。無造作に冷蔵庫に入れるのではなく、正しくていねいに扱うことで、ビール本来の味をたのしみましょう。