鳥取の焼酎【砂丘長いも焼酎】梅津酒造が地元の特産品「砂丘長芋」で造る独特な旨味がクセになる長いも焼酎

鳥取の焼酎【砂丘長いも焼酎】梅津酒造が地元の特産品「砂丘長芋」で造る独特な旨味がクセになる長いも焼酎
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「砂丘長いも焼酎」は、鳥取を代表する老舗蔵元、梅津酒造が、鳥取砂丘で育った「砂丘長芋」を原材料に造る本格焼酎です。今回は、「砂丘長いも焼酎」の特徴やラインナップについて、梅津酒造の酒造りの歴史やこだわりとあわせて紹介します。

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「砂丘長いも焼酎」とは、その名のとおり、鳥取の砂丘地帯で育った「砂丘長芋」で造った焼酎です。長芋由来の独特な旨味が人気を呼び、今では原材料を育んだ砂丘と同様、地域を代表する名物として親しまれています。

「砂丘長いも焼酎」を造る梅津酒造は、慶応元年創業の鳥取を代表する老舗蔵元

「砂丘長いも焼酎」を造る梅津酒造

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎」を造る梅津酒造は、江戸時代末期に創業した老舗蔵元です。まずは梅津酒造の歴史や、代表的な日本酒銘柄について紹介します。

「砂丘長いも焼酎」の蔵元、梅津酒造の歴史

「砂丘長いも焼酎」の造り手である梅津酒造が創業したのは、江戸時代末期の慶応元年(1865年)のこと。以来、150年以上にわたって酒造りを続けてきた老舗蔵元です。

梅津酒造が蔵を構える北栄町は、鳥取県の中北部に位置する、日本海に面した土地。かつて「伯耆(ほうき)の国」と呼ばれたこの地は、中国地方を代表する秀峰・大山(だいせん)から湧き出る豊かな水や、酒造りに適した気候、人情味豊かで穏やかな風土に恵まれています。

梅津酒造は、こうした環境を大切にしながら、一貫して地域に根差した酒造りを続けてきたのです。

梅津酒造がこだわる、手造りの酒造り

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎」を手掛ける梅津酒造の酒造り

「砂丘長いも焼酎」を造る梅津酒造は、初代当主である梅津平蔵(へいぞう)氏以来、6代にわたって日本酒造りを続けてきました。手間を惜しむことなく、すべての行程を手作業で行う一途な姿勢は、小さな蔵ならではの頑固なこだわりといえるでしょう。

明治期に2代目を継いだ喜之吉(きのきち)氏以下、歴代の当主たちは、こうした創業時以来の姿勢を大切に守り続ける一方で、それぞれ個性ある酒を生み出してきました。

梅津酒造が造る日本酒銘柄

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

3代目の藤蔵(とうぞう)氏が生み出したのが「応援の酒」として知られる日本酒「冨玲(フレー)」。大正から昭和の時代を生きた藤蔵氏は、10代で米国に留学し、高校教師を経て家業を継いだという異色の経歴の持ち主。留学中熱心に取り組んでいたテニスの試合でしばしば耳にした応援や喜びの声「フレー! フレー!」を漢字にして、蔵で生まれた最高級の酒に命名。蔵元を代表する銘柄に成長させました。

4代目が「砂丘長いも焼酎」を生んだ雅裕(まさひろ)氏ですが、こちらについては後述します。

5代目となる雅典(まさすけ)氏は、地元農家とともに「ジゲ酒の会」を結成。減農薬米で造る純米酒「うまいがな」を生み出します。さらに、日本酒による梅酒造りに挑戦し、地元産の「野花(のきょう)梅」を漬け込んだ梅酒「野花」を完成させました。
また、平成17酒造年度(2005年)からは、「米で造ったお酒が日本酒」との原点に返り、アルコール添加を廃止して、すべての日本酒を“米と米麹だけの酒”にしています。

そして現在、製造部長となった雅典氏に替わって蔵元を継いだのが、6代目となる史雅(ふみのり)氏。他県の蔵元での修業を経て2019年に家業を継ぐと、「酒造りの文化を次代に残すことこそ自分の使命」と考え、海外も含めた情報発信に注力。その一方で、地域とのつながりも重視し「地元の誇りとなる酒造り」を目指しています。

「砂丘長いも焼酎」は、鳥取の名産品である砂丘長芋で造る本格焼酎

「砂丘長いも焼酎」の原材料となる砂丘長芋

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎」は、先述したように、梅津酒造の4代目当主、雅裕(まさひろ)氏によって生み出されました。ここからは「砂丘長いも焼酎」が生まれた経緯や、その特徴を紹介します。

「砂丘長いも焼酎」の原材料、「砂丘長芋」の特長

「砂丘長いも焼酎」の原材料は、その名が示すとおり、鳥取県の名産品である「砂丘長芋」です。県中部に広がる砂丘地帯で栽培された「砂丘長芋」は、サクサクとして歯ざわりがよいのが魅力。梅津酒造が蔵を構える北栄町は、この「砂丘長芋」の代表的な産地であり、「砂丘長いも焼酎」は地域を代表する蔵元と産物が融合して生まれたお酒といえるでしょう。

ちなみに、長芋は山芋と混同されがちですが、どう違うのでしょう。じつは「山芋」という品種はありません。山芋とはヤマノイモ科に属する芋類の総称で、長芋もその一種。店頭で「山芋」として販売されているのは「ツクネ芋」や「イチョウ芋」などの品種です。
長芋はこれらに比べて水分が多く、粘り気が少ないのが特徴で、「砂丘長いも焼酎」には長芋ならではの独特の風味がしっかりと現れています。

「砂丘長いも焼酎」の仕込み風景

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎」は梅津酒造の4代目が、長芋生産者の依頼で開発した焼酎

「砂丘長いも焼酎」の生みの親である梅津雅裕氏は、酒蔵の経営は夫人に任せて、自身は鳥取大学で発酵工学の教授をしていました。そんな彼のもとに、あるとき、地元の生産者から「この砂丘長芋で焼酎ができないだろうか?」との相談が持ち掛けられます。これが「砂丘長いも焼酎」誕生のきっかけでした。

引き受けはしたものの、米を原料とする日本酒造りと、長芋を原料とした焼酎造りでは、まったく異なるノウハウが求められます。雅裕氏は試行錯誤を重ねた末に、独自の工夫を凝らして焼酎造りに成功。その原酒を蔵の中で長期間じっくり寝かせることで、「砂丘長いも焼酎」が完成したのです。

砂丘長芋ならではの穏やかでやさしい風味を存分に引き出した「砂丘長いも焼酎」は、今では鳥取を代表する焼酎銘柄の1つに成長しています。

「砂丘長いも焼酎」のラインナップとオススメの飲み方

「砂丘長いも焼酎」は、同じ芋類でもサツマイモを原料とした芋焼酎とは、一味違う独特の風味がたのしめます。ここからはそのラインナップや、おすすめの飲み方を紹介します。

「砂丘長いも焼酎」のラインナップは3種類

「砂丘長いも焼酎」には減圧蒸溜1種類と常圧蒸溜2種類、計3種があります。

砂丘長いも焼酎(金 30度)

減圧蒸溜で造る「砂丘長いも焼酎(金30度)」

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎(金 30度)」は、鳥取県産の砂丘長芋を発酵させた醪(もろみ)を減圧蒸溜した原酒を、3~4年かけてじっくり熟成させた焼酎です。
蒸溜機内の気圧を下げることで、気圧を真空近くまで下げ、40度前後の低温で沸騰させるため、加熱の影響が抑えられ、クリアでスッキリした味わいがたのしめます。

原材料:長芋(鳥取県産)、米(国産)、米麹(国産)、清酒粕(国産)
アルコール度数:30~30.9度
内容量:720ml

砂丘長いも焼酎(黒 25度)

常圧蒸溜で造る「砂丘長いも焼酎(黒25度)」

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎(黒 25度)」は、「砂丘長いも焼酎(金30度)」と同様、鳥取県産長芋で造られる焼酎です。3~4年熟成させるのも同様ですが、オーソドックスな常圧蒸溜で造られるため、長芋らしいやわらかな風味がたのしめます。

原材料:長芋(鳥取県産)、米(国産)、米麹(国産)、清酒粕(国産)
アルコール度数:25~25.9度
内容量:720ml

砂丘長いも焼酎(黒 原酒)

砂丘長いも焼酎(黒原酒)

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎(黒 原酒)」は、常圧蒸溜で仕上げた原酒を長年寝かせ、加水せずに瓶詰した商品です。アルコール度数もやや高めで、原酒ならではの、しっかりした味わいと深みを堪能できます。

原材料:長芋(鳥取県産)、米(国産)、米麹(国産)、清酒粕(国産)
アルコール度数:41~41.9度
内容量:720ml

砂丘長いも焼酎のたのしみ方

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「砂丘長いも焼酎」のたのしみ方

「砂丘長いも焼酎」の飲み方について、梅津酒造の公式サイトでは「ストレート、オンザロック、お湯割り」を推奨しています。それぞれの飲み方を試して、自分好みの飲み方を探してみてはいかがでしょうか。

できれば「砂丘長いも焼酎(金30度)」と「砂丘長いも焼酎(黒25度)」をそろえて、減圧蒸溜と常圧蒸溜による仕上がりの違いを飲み比べてみたいもの。そこに「砂丘長いも焼酎(黒原酒)」もそろっていれば「いうことなし!」ですね。

「砂丘長いも焼酎」だけでない、梅津酒造が手掛ける個性派焼酎を紹介

しいたけ焼酎の原料しいたけ

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梅津酒造が造る焼酎は「砂丘長いも焼酎」だけではありません。日本酒と同じく米を用いた米焼酎や、全国的にも珍しい、椎茸を原材料にした、しいたけ焼酎など、「砂丘長いも焼酎」にも負けない個性的な焼酎を紹介します。

米焼酎 砂丘育ち

梅津酒造が造る米焼酎「砂丘育ち」

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

「砂丘長いも焼酎」を造る梅津酒造は、そもそも日本酒造りの蔵元。日本酒の原料となる米や米麹、日本酒造りの過程で造られる清酒粕を原料にした米焼酎造りにも挑戦しており、生まれた焼酎を、地域を象徴する景勝地にちなんで「砂丘育ち」と名づけました。
米と清酒粕のやわらかい風味が活きた、その名にふさわしい鳥取ならではの米焼酎です。

原材料:、米(国産)、米麹(国産)、清酒粕(国産)
アルコール度数:25度
内容量:720ml

しいたけ焼酎蕈王(たけおう)

梅津酒造が椎茸で造る「しいたけ焼酎草王」

出典:梅津酒造有限会社ホームページ

梅津酒造では、長芋を用いた「砂丘長いも焼酎」以外にも、独特な焼酎を造っています。それが全国的にも珍しい椎茸を用いた焼酎「蕈王(たけおう)」です。

原料となる椎茸は、民間の学術研究機関である一般財団法人日本きのこセンターが、旨味と香りにこだわって開発した優良品種、鳥取県産原木栽培「菌興115号」です。椎茸独特の風味がしっかりと感じられる、印象深い味わいに仕上がっています。

原材料:椎茸(国産)、米(国産)、米麹(国産)
アルコール度数:25度
内容量:500ml

ここで紹介したのは、梅津酒造が手掛けるお酒の一例。近年では、地元農家さんの柚子を使った柚子酒や、無農薬肥料のもち米を使用したみりん、鳥取県特産の梨を使ったワインなども手掛けています。

「砂丘長いも焼酎」は、鳥取県を代表する老舗蔵元が、鳥取県を象徴する砂丘で育った「砂丘長芋」を原料に造る、まさに鳥取県を代表する焼酎といえます。現地を訪れて飲むのはもちろん、遠く離れた地で飲んだ場合も、砂丘を吹く風を感じられそうですね。

製造元:梅津酒造有限会社
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