ビールの大瓶はなぜ「633ml」?容量が中途半端な理由を解説!

ビールの大瓶はなぜ「633ml」?容量が中途半端な理由を解説!
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日本ではビールの大瓶の容量が「633ml」に統一されていますが、なぜキリのいい数字ではないのでしょうか?その歴史は昭和15年の酒税法改正に遡ります。今回は、なぜ633mlという中途半端な数字なのか、その理由を紐解きます。

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日本ではビールの大瓶の容量が統一されていますが、なぜ約633 mlという中途半端な数字なのでしょうか。理由を紐といていきます。

ビールの大瓶の容量が633mlである理由

ビールの大瓶の容量が633mlである理由

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ビールの大瓶の容量が633 ml(正確には、633.168 ml)と定められたのは、戦前のこと。それまでバラバラだった容量が、酒税法が新たに制定されたことにより、統一されることになりました。

ビールの大瓶の容量が633mlになったきっかけは戦前の酒税法改正

昭和の時代、日本は不景気のまま戦争の時代に突入しました。昭和14年(1939年)には、価格等統制令による国家統制の時代となり、お酒に対する統制は配給を含めて戦後まで続くことになります。

昭和15年(1940年)には、それまで細分化されていた酒類に対する課税が、酒税法としてまとめられました。この際、それまでビールに課せられていたビール税(生産量に応じて課税される造石税)に物品税(出荷数に応じて課税される庫出税)が加わりましたが、のちの昭和19年(1944年)には出荷時点での数量に応じて課税されるビール税(庫出税)に一本化されたため、瓶ビールの容量を統一する必要性が生じたのです。

(参考記事)
国税庁|昭和戦前の酒税

ビール大瓶の容量が633mlになったきっかけは戦前の酒税法改正

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ビールの大瓶のなかで容量が一番小さいものに合わせて633mlに統合

ビールの大瓶の容量を統一するにあたって、当時のビールメーカーが自社の製品の容量を調べたところ、一番大きなものが3.57合(643.992 ml)、一番小さなものが3.51合(633.168 ml)であることがわかりました。

そこで採用されたのが、一番小さな瓶の3.51合という容量。大瓶のなかでももっとも小さい瓶に合わせておけば、同じ容量で大きい瓶も使うことができます。逆に、大きい容量を基準にしてしまうと、それより小さな瓶では対応できなくなってしまいます。

このような経緯から、昭和19年(1944年)に大瓶の容量が3.51合(633.168 ml)に制定されたのです。

以下では、ビールの容量表示に合わせて、633 ml(633ミリリットル)と表記します。

大瓶以外のビールの容量も知っておこう

ビールの中瓶や小瓶の容量は?

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大瓶のほかにも、日本国内の大手ビールメーカーの瓶ビールには中瓶、小瓶といったサイズも存在しています。大・中・小、それぞれの容量を覚えておくと、シーンに合わせてベストな選択をすることができるでしょう。

ビール瓶はおもに大瓶・中瓶・小瓶の3サイズ

日本のビール瓶は大・中・小の3サイズ。大瓶以外の容量は以下のとおりです。

中瓶の容量は500ml

昭和32年(1957年)に宝酒造がちょうど100円になる500 mlの瓶を販売し、各社がこれに追従したことで、統一規格として定着。
500 mlは缶ビールのロング缶と同じ容量です。

小瓶の容量は334ml

大瓶と同様、酒税法改正をきっかけにもっとも小さい容量に合わせた結果、334 mlに定められました。海外ではよく小瓶のビールがラッパ飲みされているように、直飲みしやすいサイズになっています。

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同じ容量でもメーカーによって重さが異なる理由は軽量化対策の違いにあり

ビール瓶の容量は決められていますが、重さは決められていません。このため、近年の環境意識の高まりを受けて、瓶の軽量化に取り組んでいるビールメーカーも登場しています。同じ大瓶でもメーカーによって重さが異なるのはそのためです。
重さに違いが生じるきっかけとなった大手各社の取り組みをみていきましょう。

キリンビールでは、20年以上前にビール大瓶の大幅な軽量化を実現。ビール瓶の表面をセラミックスコーティングすることで強度を高め、ビール瓶のガラスを従来よりも薄くすることに成功しています。中瓶においても、従来の瓶よりも約20%軽く、国内最軽量を達成。大瓶を605グラムから475グラムに、中瓶を470グラムから460グラムに軽量化しています。

アサヒビール、サッポロビール、サントリーの3社は、容器品質の向上と環境負荷の低減を目的に、3社共通ビール中瓶において、「擦り傷対策」瓶を導入。瓶の胴部をへこませることで製造時や配送時に瓶同士が接触する部分を2点に集中させ、擦り傷の発生を抑えています。こちらも瓶同士が当たる部分を明確にしたことで、中瓶の重量が470グラムから460グラムへの軽量化したそう。

ビール瓶の容量は同じでも重さはメーカーによって異なる

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大瓶、中瓶、小瓶、コスパがよいのはどれ?

大瓶、中瓶、小瓶の価格は若干のバラつきがあれど、容量で割って1 mlあたりの値段を計算すると、ほぼ0.6円という結果に。価格差は誤差のレベルと言っていいくらいです。

参考|缶ビールの容量とバリエーションは?

自宅でビールをたのしむ場合は、瓶ビールよりも缶ビールを飲む機会が多いかもしれません。瓶に比べて軽量で、冷蔵庫にストックしやすく、スーパーやコンビニなどで入手しやすい缶ビールのほうが一般的です。

そんな缶ビールの容量としては、一般的なものが350 mlと500ml。瓶ビールに比べて覚えやすい数値になっています。商品によっては、飲み切りやすい250 mlや135mlのミニサイズもラインナップされています。

ビール以外のお酒のボトルサイズ

ビール以外のお酒のボトル容量の話

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瓶ビールの容量以外にも、普段何気なく飲んでいるお酒のボトルの正確な容量が浮かばない場合もあると思います。改めて、ほかのお酒のボトルサイズをみていきましょう。

日本酒や焼酎で一般的な一升瓶、四合瓶、五合瓶の容量は?

日本酒や焼酎の容器としておなじみの一升瓶。この「一升」の容量はどのくらいなのでしょうか。

「升」という単位は「尺貫法(しゃっかんほう)」という、日本に古くからある計量単位にもとづくもの。尺貫法とは、長さの「尺(しゃく)」、質量の「貫(かん)」、体積の「升(しょう)」を基本の単位とするもので、一升は1.8l(リットル)に相当します。

ちなみに、お米の単位でよく使われる「合(ごう)」の容量は180 mlで、10合=1升。四合瓶は180×4で720 ml、五合瓶は900 mlということになります。

ワイン瓶の容量は750mlが一般的

ワインのボトルは国際的にみると750 mlが一般的です。この半分にあたる375 mlはハーフボトル、1500 mlの2倍サイズは「マグナム瓶(マグナムボトル)」と呼ばれます。

ただし、日本では習慣的に、720 ml瓶を採用しています。日本でワインが造られるようになった当初、おもに流通していたのが日本酒や焼酎に使われる「尺貫法」由来の瓶。新たに世界標準の750 ml瓶を取り入れるにはコストがかかるため、四合瓶が使われるようになったそう。

ビールの大瓶が633 mlになっているのは、酒税法改正という歴史があってのこと。ビールだけでなく、ほかのお酒のサイズにも国や地域性といった要素が影響していることがわかります。飲むときに瓶の形や容量をチェックしてみると、新たな角度で、お酒への興味が増すのではないでしょうか。

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