日本酒の資格おすすめ8選! 種類や特徴、難易度について解説します
日本酒の資格には、日本酒初心者もカジュアルに挑戦できるものから、お酒を提供するシーンで役立つもの、造り手に向けた難易度の高いものまで、さまざまな種類があります。ここでは「唎酒師」「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」をはじめとする日本酒に関する8つの資格について解説します。
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日本酒により詳しくなるための資格
Benjamin Lissner/ Shutterstock.com
日本酒をもっと学びたいという人に向けて、各団体がさまざまな資格を用意しています。
もっともポピュラーな資格は日本酒のソムリエ「唎酒師(ききさけし)」
「唎酒師」は、ワインでいうソムリエにあたる資格です。飲む人の好みに合わせた日本酒と、そのたのしみ方を提供することを目的とした、日本酒のプロフェッショナルです。
資格取得に向けて学ぶべき内容は、日本酒の原料から製造方法、歴史、テイスティング法、セールスプロモーションまで多岐にわたります。知識はもちろん、味や香りを把握するテイスティング力も必要です。
そのため、飲食業や飲料小売店など、一般の人にお酒を提供するサービスに従事する人が多く受験しています。
日本酒やおもてなしの技術など幅広い知識を学び、研鑽を積んで「日本酒をもっとたのしみたい」「もっと日本酒を飲みたい」と思ってもらうことが、唎酒師の大切な役割です。
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)による公式サイトはこちら
唎酒師(ききさけし) | 人気の日本酒ソムリエ資格取得
増加する外国人の日本酒需要に対応「国際唎酒師」
「国際唎酒師」は、外国人の日本酒需要に対応するべく、外国語で日本酒を案内するスペシャリストです。海外での活躍を目指す人や外国籍の人も多いため、日本語はもちろん、英語や中国語での受験も可能です。
日本酒をたのしんでもらうためには、造り方や歴史などの基礎知識はもちろん、料理との相性や予算、味わいや香りの特徴にもとづいてアドバイスできる能力が必要です。それにくわえて、国際唎酒師には、世界各国での日本酒市場の実態、日本と異なる文化や風習をふまえた国際的な視点も求められます。
合格すると日本酒を提供するだけでなく、各種ツアーやメディアなどで日本酒やそれにまつわる情報を発信することができます。「日本国内で外国人に日本酒をサービスしたい」という人はもちろんのこと、「日本酒の魅力を海外に広めたい」という人にもおすすめの資格といえるでしょう。
国際唎酒師 | Ssi International
テイスティングの専門家を目指すなら唎酒師の上位資格「酒匠(さかしょう)」
「酒匠」は、唎酒師の上位に位置づけられる資格。日本酒だけでなく、焼酎のテイスティングも行います。
テイスティングの専門家とも呼ばれる酒匠を目指すには、2日間の講習会で200を超えるサンプルを用い、原料や製法別のテイスティング、タイプ別のテイスティングなどを行う必要があります。この講習会のおもな目的は、嗅覚や味覚をアップさせて基礎能力を身につけること、日本酒(あるいは焼酎)の特性をテイスティングにより把握すること、そして料理との相性についてそのノウハウを身につけることです。
試験内容は1次試験から4次試験までの4段階。1次と2次は筆記ですが、3次からはテイスティングをともないます。
高度なテイスティング技術を取得できる酒匠は、酒類卸売業のバイヤーや料飲店の経営者または商品担当者などが多く受験しています。
酒匠 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
日本酒の魅力を伝えるプロフェッショナル「日本酒学講師」
唎酒師や酒匠のさらに上位となる資格に「日本酒学講師」があります。唎酒師や酒匠と同じく日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が主催する資格です。
こちらは酒類のセミナー講師を目指す人や、消費者に日本酒や焼酎の魅力を伝えるノウハウを身につけたい人におすすめです。この資格を取得すれば、SSIが公認する「日本酒ナビゲーター」認定セミナーを主催し、自ら認定証を発行する権利を得られます。
3日間の講習会では、コミュニケーションスキルやプランニングスキル、インストラクションスキルなどを磨きながら、講義実践能力を修得できるカリキュラムが組まれていて、日本酒学講師としての知識と技術を短期間でしっかりと身につけることができます。
自身が主催したセミナー受講者に対して後述する「日本酒ナビゲーター」の資格を認定できるようになるのも日本酒学講師になる大きな利点です。
日本酒学講師 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
和酒(日本酒と焼酎) に特化した認定制度「J.S.A. SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」
「J.S.A. SAKE DIPLOMA」とは、ソムリエとして有名な田崎真也氏が会長を務める「一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)」が定める、和酒(日本酒と焼酎)に特化した認定制度です。2018年にはロンドンにて「J.S.A. SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL」認定試験を開催。その後も中国やドイツ、台湾など世界各国で開催されています。
J.S.A.ではかねてからワインに携わる人の資質と向上、ワインを中心とする飲料の普及などを行ってきました。そのなかで和食と日本酒の環境の変化をふまえ、日本酒(焼酎も含む)の知識向上と日本の食文化の普及を考えて発足したのがこの制度です。
試験は1次試験が筆記試験、2次試験はテイスティングと論述です。2次試験の論述では日本酒に関するテーマについて説明するというもので、日本酒に関する用語をきちんと理解している必要があります。
受験資格は、20歳以上であれば誰でも受験することができますが、難易度はやや高めです。
一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)
カジュアルに日本酒の知識を身につける「日本酒検定」
日本酒の魅力を気軽に理解できるよう作られた消費者向けの資格も人気です。その代表的なものに、唎酒師や酒匠を手掛ける日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)主催の「日本酒検定」があります。
検定内容は5級から1級までの6段階。テイスティング検定はありません。いずれも日本酒の歴史や文化、製法、原料から、日本酒をたのしむマナー、酒器や料理との相性、雑学まで幅広い知識を網羅することができます。
各級の取得で想定される人物像は以下のとおりです。
◇3級
日本酒の基礎知識や周辺知識、特徴、魅力などを理解し、第三者に伝えることができる。
◇2級
日本酒の基礎知識はもちろん、特徴や魅力をしっかり理解したうえで、新しいたのしみ方を考案できる。
◇1級&準1級
日本酒にまつわるあらゆる知識を身につけ、後世に伝えられる。また日本酒文化の継承・発展に貢献できる。
各級とも日本酒の歴史や製法、おいしい飲み方などを学ぶうちに、日本酒に対する知識が深まって飲むたのしみが広がるため、日本酒ツウはもちろんビギナーにも注目されています。
日本酒検定 | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
気軽に日本酒をたのしむ「日本酒ナビゲーター」
「日本酒ナビゲーター」も消費者に人気の資格です。
日本酒ナビゲーターの目的は、日本酒の魅力を消費者に広く知ってもらうことです。受験に際して特別なスキルや経歴は必要ありません。「日本酒をもっとたのしみたい」という人はもちろんのこと、「日本酒って種類がたくさんあるし、専門用語で説明されていてよく分からない」という日本酒初心者が理解を深めるのにぴったりの検定といえるでしょう。
日本酒ナビゲーターの認定試験に受験資格はありません。日本酒の魅力をより深く知りたい人、日本酒をより一層たのしみたい人なら誰でも受験することができます。
オンデマンド受講できるセミナーも開催しているため、好きな場所、好きな時間に学べるのも魅力です。基準の正答率を満たすと「デジタル認定証書」が付与され、「日本酒ナビゲーター」に認定です。
会場受講は全国各地の会場で開催されています。居酒屋店舗での開催や、特産品とのペアリング体験などユニークなセミナーも開催されているため、気になるイベントを選んで参加してみるのもたのしいですよ。
日本酒ナビゲーター | 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
■日本酒作りの国家資格「酒造技能士」
「酒造技能士」は日本酒に関する資格のなかでもトップクラスに難易度の高い資格です。日本酒を飲む側ではなく造る側に向けた国家資格で、都道府県知事が実施する技能検定に合格する必要があります。
受験するためには20歳以上であること、さらに原則として実務経験が必要です(2級は2年以上、1級は7年以上もしくは2級合格後2年以上)。そのためまずは蔵元や酒造メーカーに入社し、酒造りの現場を経験しなければなりません。
試験は1級と2級の2段階。どちらも学科と実技の試験があり、実技試験では麹の判定やきき酒などを実際に行います。
難易度の高い資格ですが、とくに1級取得者はどこの蔵元でも歓迎されるため、将来的に日本酒製造の仕事を考えているのであれば取得しておきたい資格です。
ひとことに日本酒に関する資格といっても、難易度や受講対象者の違いからさまざまな種類があります。自分の将来像や知識を深めたいレベルに合わせて、資格取得のための勉強をしてみましょう。きっと日本酒がさらにたのしく飲めるようになりますよ。