蜂蜜とビールの相性はピッタリ! 蜂蜜ビール(ハニービール)の魅力
蜂蜜とビールは、意外な取り合わせに思えるかもしれませんが、じつは好相性。蜂蜜を使ったビールは「蜂蜜ビール」や「ハニービール」などと呼ばれ、近年、密かな人気を集めています。今回は、そんなハニービールの魅力や代表銘柄などを紹介します。
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蜂蜜ビールを代表する銘柄はベルギーの「ビーケン」
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蜂蜜ビール「ビーケン」とはどんなビール?
蜂蜜ビールの代表銘柄として、よく知られているのが、ベルギー産の「ビーケン」です。
「ビーケン(Bieken)」とは、現地の言葉で「小さなミツバチ」という意味ですが、男性が女性を口説く際にささやかれる言葉でもあるのだとか。「ビーケン」のラベルには、ミツバチの体をした女性が描かれているように、ロマンチックな印象のビールです。
栓を開ければ、蜂蜜の華やかな香りに、りんごや洋なしなどのフレーバーが混ざり合います。見た目は明るいゴールド。口に含めば、やわらかな甘味を主体としながら、ほのかな苦味やスパイシーさも感じられ、サラダやデザートに合わせるのもおすすめです。
蜂蜜ビール「ビーケン」を造る醸造所の歴史
蜂蜜ビール「ビーケン」を造るボーレンス醸造所は、ベルギー・東フランデレン州のベルセーラで、1800年代からビール造りを続けてきた老舗。第一次大戦により、一度は醸造を停止しましたが、1993年に再開。その年に発売されたのが「ビーケン」です。
ボーレンス醸造所は、小規模ながらもベルギービールの歴史と伝統を大切にしたビール造りに定評があります。「ビーケン」は、そんな醸造所が大事に保管してきた伝統的なレシピに沿って造られる蜂蜜ビールです。
蜂蜜ビール「ビーケン」のルーツはフルーツ・ランビック
蜂蜜ビール「ビーケン」を生んだベルギーの伝統的なビアスタイルに「ランビック」があります。16世紀ごろに誕生したランビックは、野生酵母を使って自然発酵させるため、酸味の強いビールに仕上がります。
この酸味を抑えるために生まれたのが、ランビックにチェリーやラズベリー、ピーチ、カシスなどのフルーツを漬け込み、二次発酵させた「フルーツ・ランビック」です。
これらフルーツの代わりに、蜂蜜を加えたものが「ビーケン」などのハニービール。その意味では、ベルギー生まれのフルーツ・ランビックがハニービールのルーツといえるでしょう。
蜂蜜ビールは台湾や日本でも注目
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蜂蜜ビールが台湾で大人気!
蜂蜜ビール造りが盛んな地域といえば、まず挙がるのが台湾です。フルーツビールが人気の台湾では、グレープやパイナップル、マンゴーなど、トロピカルフルーツを使ったビールが数多く造られていて、そうしたラインナップの1つとして蜂蜜ビールも造られています。
台湾産の蜂蜜ビールの代表的な銘柄が、台湾煙酒公司の「台湾蜂蜜ビール」です。世界三大蜂蜜に数えられる最高級の「龍眼(ロンガン、リュウガン)蜂蜜」を使っていて、注いだ瞬間に蜂蜜ならではの甘い香りが漂います。口当たりもトロリとしていて、まるで蜂蜜を舐めているかのよう。一方で、レモンのような酸味もあり、ビールらしさも感じられます。
また、台湾のクラフトビールブランド「金色三麦(チンスーサンマイ)」からも、同じく「龍眼蜂蜜」を使った「サンマイハニーラガー」が発売され、人気を博しています。
蜂蜜ビールは日本のクラフトブルワリーでも
蜂蜜ビールは近年、日本のクラフトブルワリーでも造られています。なかでも代表的な銘柄を紹介しましょう。
【Beeear(ビーアー)】
群馬県で蜂蜜を製造販売する有限会社きたもっくが、地元のブルワリー、四万(しま)温泉エールファクトリーと共同開発した蜂蜜ビールが「Beeear(ビーアー)」です。蜂(BEE)とビール(BEER)、そして蜂蜜が大好物な熊(BEAR)をかけたネーミングで、香りの強い栗蜂蜜を使い、アカシアやリョウブ、アザミなど夏の山野草も含ませることで、豊かな味と香りを実現しています。
販売元:有限会社きたもっく
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製造元:四万温泉エールファクトリー
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【かぼす&ハニー】
「かぼす&ハニー」は、福岡県でクラフトビール造りに励むブルーマスターの自信作。その名のとおり、かぼすと蜂蜜を使ったビールで、大分産かぼすの風味をしっかりと利かせながら、蜂蜜の甘さも際立たせています。
製造・販売元:ブルーマスター(有限会社ケイルズブルーイングカンパニー)
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【Noble Hop Honey Ale】
東京・東中野に2020年6月に誕生したのが、日本では珍しいハニービール専門店「HONEYCOM&HOPWORKS(ハニカムホップワークス)」です。自ら醸造した各種ハニービールを販売するなかで、代表的な銘柄が「Noble Hop Honey Ale」。高級ホップ・ザーツと華やかな香りのライチ蜂蜜をふんだんに使った魅惑的な風味をたのしめます。
製造・販売元:HONEYCOM&HOPWORKS
蜂蜜ビールを家庭でたのしもう
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蜂蜜ビールを家庭で作ろう
蜂蜜ビールは、アメリカのオバマ元大統領が遊説先で支持者にふるまったことでも話題になりました。この蜂蜜ビールを手掛けたのは、それまで醸造経験がなかった料理人なのだとか。
市販の「蜂蜜ビール」は蜂蜜を副原料に醸造されたものですが、「蜂蜜入りのビール」なら、醸造技術や設備がなくとも手軽に作ることができます。家庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
作り方はカンタン。グラスに小さじ1杯の蜂蜜を入れ、少量のビールを注いで、スプーンでよくかき混ぜます。蜂蜜が溶けたら、残りのビールをグラスいっぱいに注げば完成です。泡の上に少し蜂蜜を垂らしてもよいでしょう。
蜂蜜入りホットビールもおすすめ
日本では、ビールといえば冷やして飲むものというイメージがありますが、ビールの本場・ドイツなどでは、常温のままや、温めてから飲むことも珍しくありません。
冬の寒い時期には、温めて飲む「ホットビール」がおいしいですが、そこに蜂蜜を入れるのもおすすめ。ビールの苦味が抑えられ、より飲みやすくなります。
蜂蜜だけでなく、ショウガやレモンピールなどのスパイス類を入れるなど、お好みでアレンジしてはいかがでしょう。
ビールと蜂蜜。意外な取り合わせと思った人も多いかもしれませんが、この機会に両者の絶妙なマッチングを試してみてください。