「ブルドッグ」とはどんなカクテル? 「ソルティドッグ」との関係やアルコール度数、おいしい作り方を確認
「ブルドッグ」はバーやダイニングでおなじみのカクテル。今回は「ブルドッグ」と「ソルティドッグ(ソルティードッグ)」の違い、「ブルドッグ」というカクテル名の由来や海外とのレシピの違い、おいしい作り方などを紹介します。
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まずは「ブルドッグ」の基本情報からみていきましょう。
カクテル「ブルドッグ」とは
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ベースとなるウォッカにグレープフルーツジュースを加えれば、定番カクテル「ブルドッグ」のできあがり。グレープフルーツの風味をそのままたのしめる、フレッシュな味わいが魅力です。
「ブルドッグ」はウォッカとグレープフルーツで作られるお酒
カクテル「ブルドッグ」の材料はウォッカとグレープフルーツジュースだけ。カクテル用の特別なツールがなくてもかんたんに作れます。家飲みはもちろんキャンプや花見、BBQなどのアウトドアイベントでも活躍する万能カクテルです。
「ブルドッグ」の材料や作り方はとてもシンプルではあるものの、ほのかな苦味やさわやかな酸味が特長のグレープフルーツと、キリッとクリアなウォッカの相性は抜群。甘すぎずスッキリとしたカクテルを好む人や、アルコール感の強い飲み口が苦手な人にもおすすめです。
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「ブルドッグ」のアルコール度数は作り方で調整できる
カクテル「ブルドッグ」のアルコール度数は、ベースに使用するウォッカのアルコール度数や、ウォッカに加えるグレープフルーツの量によって変化します。
「ブルドッグ」のベースとなるウォッカのアルコール度数は37〜55度程度。日本のリカーショップやネットショップなどで売られている一般的なウォッカのアルコール度数は40度前後が主流です。
アルコール度数40度のウォッカを使い、ウォッカ:グレープフルーツの割合を濃い目の1:2から薄めの1:5で作った場合、「ブルドッグ」のアルコール度数は以下のようになります。
※ウォッカ:グレープフルーツジュースを1:2にする場合、たとえばウォッカ40ミリリットルに対しグレープフルーツジュース80ミリリットルを加えます。
<ウォッカ:グレープフルーツジュース>
◇1:2の場合…13.3度
◇1:3の場合…10.0度
◇1:4の場合… 8.0度
◇1:5の場合… 6.7度
お酒にあまり強くない人やアルコールを控えめにしたいときは、グラスに注いだグループフルーツジュース(約200ミリリットル)に大さじ1杯くらいのウォッカを加えた「ブルドッグ」なら、アルコール度数を3度以下に抑えることもできます。その日の気分や好みで調節しましょう。
「ブルドッグ」は「ソルティドッグ」から派生したカクテル
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ここからは、「ブルドッグ」と同じく「犬」がキーワードになっているカクテル「ソルティドッグ」との違いや、カクテル名の由来について紹介します。
「ブルドッグ」と「ソルティドッグ」の違いはグラスのふちの塩の有無
「ブルドッグ」と「ソルティドッグ」との違いは、「グラスのふちに塩をつけるかつけないか(スノースタイルか否か)」の違いです。
カクテルを作る際、グラスのふちに塩や砂糖をぐるりとまぶしつけるデコレーションのことを「スノースタイル」と呼びますが、「ソルティドッグ」は塩をつける「スノースタイル」カクテルの代表格。
「ソルティドッグ」は、スノースタイルにしたグラスにウォッカとグレープフルーツを注いで作ります。つまり、「スノースタイルにしたグラス+ウォッカ+グレープフルーツジュース」が「ソルティドッグ」で、シンプルな「ウォッカ+グレープフルーツジュース」が「ブルドッグ」というわけです。
諸説あるものの「ソルティドッグ」の原型は19世紀末のイギリスで生まれた「ソルティドッグコリンズ」にあるとされ、当時はジンとライムジュース、塩をシェークするスタイルだったとか。
その「ソルティドッグコリンズ」が、1960年代のアメリカでジンからウォッカに変わり、ライムジュースがグレープフルーツジュースになり、シェークはせずに塩はグラスのフチにつける、現在のスタイルの「ソルティドッグ」になったといわれています。
また「ソルティドッグ」というカクテル名の由来は、潮を浴びて働く経験豊かな船乗りを指すイギリスのスラングからきているという説が有力のようです。
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「ブルドッグ」というカクテル名の由来も「ソルティドッグ」が関係
「ブルドッグ」というユニークなカクテル名も、先に生まれたカクテル「ソルティドッグ」から派生しているようです。
先ほど紹介したように、ウォッカとグレープフルーツジュースを入れたグラスのふちに塩がついていれば「ソルティドッグ」、ついていなければ「ブルドッグ」になるわけですが、「ソルティドッグから塩を抜いたカクテル」を「尻尾のない犬」になぞえらえて「Tailless dog(テールレスドッグ)」と呼び、それがいつしか「尻尾のない(短い)犬」の代表格である「ブルドッグ」という名前になったという説が有名です。
一方で、日本における「ブルドッグ」というカクテルの名づけ親は、鎌倉の老舗バー「Mike's(マイクス)」のオーナー榊原直哉氏である、という説も有力です。
1966年の冬、お客様から塩なしの「ソルティドッグ」をオーダーされた同氏が、当時からアメリカでは「グレイハウンド」と呼ばれていた「塩なしソルティドッグ」を、日本人にもわかりやすいよう「ブルドッグ」と言い換えて提供したのが始まりだったのだとか。
ちなみに、「ソルティドッグ(Salty Dog)」のベースをウォッカからテキーラに替えると、「ソルティブル(Salty Bull)」というカクテルになります。ベースにするお酒の変化で「犬(Dog)」から「雄牛(Bull)」に変わる、おもしろい一例です。
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日本と海外の「ブルドッグ」は別物
じつは「ソルティドッグ」の塩なしバージョンを「ブルドッグ」と呼ぶのは日本独自のスタイル。海外ではそのレシピで作ったカクテルを、前述のとおり「テールレスドッグ」や「グレイハウンド」と呼びます。
では海外で「ブルドッグ」と呼ばれるカクテルはどのようなものなのでしょうか。
たとえば海外のバーやダイニングで「ブルドッグ」を注文すると、次のようなカクテルが出てきます。
海外版「ブルドッグ」(1)
◇チェリーブランデー(チェリーリキュール)
◇ライトラム(ホワイトラム)
◇ライムジュース
をシェークしたカクテル
海外版「ブルドッグ」(2)
◇ジン
◇オレンジジュース
◇ジンジャーエール
を混ぜたカクテル
※こちらは「ブルドッグハイボール」と呼ばれることもあります。
また「コロラド・ブルドッグ」というカクテルもあり、こちらは
◇ウォッカ
◇コーヒーリキュール
◇ミルクまたは生クリーム
をシェークし、最後にコーラを少量加えたものを指します。
海外版の「ブルドッグ」はアルコール度数が25度前後〜(使用する銘柄によっては)40度以上にもなる度数高めのカクテルです。海外で注文する際は、注意が必要ですね。
日本で「ブルドッグ」と呼ばれるシンプルなレシピとはまったく違うことに驚いてしまいます。
国や地域、またお店やバーテンダーによってレシピも呼び名も微妙に異なるケースがあることが、カクテルの興味深いところ。自宅やバーで、さまざまなバージョンの「ブルドッグ」を作り、味わってみるのもたのしそうです。
「ブルドッグ」の作り方
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カクテル「ブルドッグ」にまつわるさまざまな情報をおさえたところで、実際の作り方をみていきましょう。
「ブルドッグ」の材料とレシピ
「ソルティドッグ」の塩なしバージョン、日本版「ブルドッグ」の作り方を紹介します。
日本版の「ブルドッグ」はグラスに直接材料を注いで軽くステアする(混ぜる)、「ビルド」という手法で作ります。
<材料>
ウォッカ…40ミリリットル
グレープフルーツジュース…120ミリリットル
氷…適量
<作り方>
好みのグラスにたっぷり氷を入れ、ウォッカとグレープフルーツジュースを加えて、バースプーンやマドラーで軽く1〜2回転ステアしてできあがり。
日本版のカクテル「ブルドッグ」の作り方はじつにシンプル。厳格なレシピはないため加えるグレープフルーツジュースの量によってアルコール度数を自由に調整できるのも魅力です。
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「ブルドッグ」をおいしく作るならウォッカや果汁にもこだわって
ウォッカとグレープフルーツジュースさえあればかんたんに作れるのが「ブルドッグ」の魅力ながら、よりおいしい「ブルドッグ」を追求したい人に向けて、こだわりポイントをいくつか紹介します。
ウォッカにこだわってみる
ウォッカは、数度にわたる蒸溜とろ過で雑味を取り除くクリアなスピリッツ。カクテルのベースに使われるのは、ほとんどが無色・無臭のスタンダードな「レギュラーウォッカ」です。ただし近年は、水や原料、蒸溜やろ過の方法に独自のこだわりを採り入れたプレミアムウォッカ(クラフトウォッカ)にも注目が集まっています。
ふだん使いはレギュラーウォッカで、特別なシーンではちょっとプレミアムなウォッカを使ってみるのもいいかもしれません。
グレープフルーツジュースにこだわってみる
カクテル「ブルドッグ」には果汁100パーセントのグレープフルーツジュースを使います。ひとくちに「果汁100パーセント」といっても、濃縮果汁還元やストレート果汁などさまざまタイプがあるので、いろいろ試し、好みのもので作りましょう。
本格派のクオリティを追求するなら、生のグレープフルーツを搾るのがおすすめです。搾りたてのフレッシュジュースで作る「ブルドッグ」の味わいは格別。ピンクグレープフルーツやルビーグレープフルーツを使えば華やかな色合いもたのしめます。
ウォッカにグレープフルーツジュースを加えたカクテルのうち、グラスのふちに塩をつけたものが「ソルティドッグ」、塩なしが「ブルドッグ」。どちらも気軽に作れるカクテルなので、アルコールの量を調整しながら、自宅でもアウトドアでも、さまざまなシーンでたのしんでください。