「ジャックローズ」はアップルブランデーで作るバラ色のカクテル! 由来や作り方、味わいを紹介

「ジャックローズ」は、アメリカで誕生したバラ色のカクテル。アップルブランデーの「カルヴァドス」をベースに、ライムジュースやグレナデンシロップで作るのが一般的なレシピです。今回は、「ジャックローズ」の概要や名前の由来、作り方などについて紹介します。
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スッキリ甘酸っぱい味わいの「ジャックローズ」は、往年のハリウッドスターが愛したカクテルとしても有名です。バラのように美しい赤色のカクテル、「ジャックローズ」の魅力をみていきます。
「ジャックローズ」とは?

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「ジャックローズ」は、アップルブランデーのひとつ「カルヴァドス」をベースにしたアメリカ生まれのカクテル。鮮やかな赤色と、スッキリ甘酸っぱい味わいが魅力で、往年のハリウッドスターをはじめ世界中のファンに愛されてきました。
「ジャックローズ」はカルヴァドスベースのカクテル
「ジャックローズ」は、フランス産の高級ブランデー「カルヴァドス」をベースにした、アメリカ生まれのカクテル。鮮やかなバラ色が特長で、ハリウッド往年の名俳優、ハンフリー・ボガート氏がこよなく愛したカクテルとして有名です。
ベースの「カルヴァドス(カルバドス)」とは、フランスのノルマンディー地方とその近県で造られているアップルブランデーのこと。アップルブランデー自体は、フランス北部やイギリス、アメリカなどでも造られていますが、A.O.C.(原産地統制呼称制度)認定の「カルヴァドス」を名乗れるのは、ノルマンディー地方とその近県で生産されたものだけです。
高級ブランデーを使用した贅沢な味わいをたのしめるのも、「ジャックローズ」の魅力のひとつです。

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「ジャックローズ」の味わいは?
「ジャックローズ」は、口当たりがよく、スッキリ甘酸っぱい味わいのカクテルです。甘酸っぱさを生むのは、ライムジュースやレモンジュース、ザクロの果汁から作られるグレナデンシロップ。もちろん、リンゴや洋梨から造られる「カルヴァドス」の芳醇な香りやフルーティーさも堪能できます。
ちなみに、「ジャックローズ」は鮮やかな赤い色合いが目を引くカクテルですが、この赤色は、グレナデンシロップに含まれるザクロ果汁に由来します。「グレナデン」はフランス語で「ザクロ」の意味。なお、商品によってはザクロ100%ではなく、ベリー系の果汁入りや無果汁のものもあるので、「ジャックローズ」を作るときは好みに合あったグレナデンシロップを選んでください。
「ジャックローズ」のアルコール度数は高め
「ジャックローズ」のアルコール度数は、レシピにもよりますが20%程度です。蒸溜酒である「カルヴァドス」のアルコール度数は最低40%と高めですが、それをレモンジュースなどで割るため、アルコール度数は半分くらいになります。
とはいえ、アルコール度数20%は、一般的な日本酒(約15%)やワイン(約12%)よりも高めです。口当たりがよく飲みやすいぶん、飲みすぎには注意しましょう。
カクテル「ジャックローズ」の名前の由来

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「ジャックローズ」というカクテル名の由来には諸説あります。そのひとつが、アップルブランデーの呼び方に由来するというもの。
アメリカでは古くから、ニュージャージー州やニューイングランド地方で、「アップルジャック(Apple Jack)」というアップルブランデーが作られてきました。「Jack」にはアルコール度数を高めるという意味があります。
この「アップルジャック」になじみがあるからか、一部アメリカでは、「カルヴァドス」などのアップルブランデーのことを総じて「アップルジャック」と呼ぶのだとか。これをベースにしたバラ(ローズ)色のカクテルなので、「ジャックローズ」と呼ばれるようになったといわれています。
なお、もともとはアメリカ東部の地酒「アップルジャック」で作られていた「ジャックローズ」ですが、世界三大ブランデーのひとつ「カルヴァドス」で作られるようになって、世界的に有名なカクテルになりました。

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「ジャックローズ」の名前の由来には、ほかにもあります。ロマンを感じさせるのは、フランス・ナポレオン時代の将軍の名を冠した、「ジェネラル・ジャックミノ」というバラの品種に由来するという説。カクテルの色が美しい赤バラの色合いにそっくりなことから、「ジャックローズ」と名づけられたといわれています。ちなみに、現代の赤バラの多くがこの品種の血を引くといわれています。
また、暗黒街のギャングのボス、ジェイコブ・ローゼンワイツ氏の通称ジャック・ローズに由来するという、ちょっと怖い説もあります。
「ジャックローズ」のカクテル言葉

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「ジャックローズ」のカクテル言葉は、「おそれを知らない元気な冒険者」。 情熱的な赤色のカクテルには、アメリカの西部開拓時代を彷彿させる、エネルギッシュで力強い意味が込められています。
「ジャックローズ」自体は、西部開拓時代(17世紀~1890年)後の1900年代初頭に、アメリカ・ニューヨークで生まれたといわれています。
現代でもたのしめるスタンダードカクテルの多くが、アメリカの禁酒法時代(1920年~1933年)以前の、19世紀後半から20世紀初頭に誕生したといわれますが、「ジャックローズ」が誕生したのもまさにカクテル黄金期。「ジャックローズ」のレシピがカクテルブックに登場したのは1908~1910年ごろなので、少なくともそのころにはバーなどで定着していたカクテルだと考えられます。
ニューヨークのオーセンティックバーなどで、「ジャックローズ」をオーダーして、往時の賑わいに思いを馳せてみるのもよいかもしれませんね。
深紅のカクテル「ジャックローズ」の作り方! 一般的なレシピを紹介

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「ジャックローズ」は、材料をシェイカーでシェイクして作るショートカクテルです。
<材料>
カルヴァドス(またはアップルブランデー)…約30ミリリットル
ライムジュース…15ミリリットル
グレナデンシロップ…15ミリリットル
<作り方>
まずシェイカーに氷を入れ、カルヴァドス(またはアップルブランデー)約30ミリリットルと、ライムジュースおよびグレナデンシロップを約15ミリリットルずつ入れます。約10秒シェイクしたら、氷を除いてカクテルグラスに注いで完成です。
アップルブランデー:ライムジュース:グレナデンシロップの黄金比は2:1:1ですが、3:2:1とするレシピもあります。それぞれの量はお好みで調整してみてください。カクテルグラスを事前に冷やしておくと、よりおいしく作れます。

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「ジャックローズ」は、ライムジュースではなくレモンジュースで作ることもできます。レモンジュースを使う場合は、カルヴァドス(またはアップルブランデー)約30ミリリットルと、レモンジュース約20ミリリットル、グレナデンシロップ約15ミリリットル、シュガーシロップ1プッシュをシェイカーに入れてシェイクします。
ライムジュースやレモンジュースは市販のものでもOKですが、生搾りの果汁を使ってもおいしく作れます。甘味が足りないときは、お好みでシロップの追加を。リンゴやレモンのスライスを飾れば、より華やかさがアップします。
なお、「ジャックローズ」はショートカクテルなので、冷たいうちに飲むのがおいしい飲み方。アルコール度数が高めなので、一気に飲み干すのはおすすめできませんが、できあがったらなるべく早めに飲みきってくださいね。
1900年代初頭にアメリカで生まれた、「カルヴァドス」ベースのカクテル「ジャックローズ」。口当たりがよく、スッキリ甘酸っぱい味わいで、世界中で愛飲されています。ハリウッドスターも愛したカクテルの味わいを、ぜひたのしんでみてくださいね。
