「カリラ」とは?アイラモルト入門に最適なスコッチウイスキーを徹底紹介
「カリラ」はアイラ島の名門ウイスキー。ピート香とスモーキーさが特徴で、アイラモルトの入門編としても最適です。カリラの特徴、味わい、ラインナップ、おすすめのたのしみ方まで詳しくご紹介します。
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「カリラ」とはどんなウイスキー?
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「カリラ」はスコットランドのアイラ島で誕生した
「カリラ」は、世界中のウイスキー通が「一生に一度は訪ねたい」と口にするウイスキーの聖地、アイラ島のシングルモルトです。「カリラ」の製造元であるカリラ蒸溜所は、1846年にスコットランドらしい原風景が広がる風光明媚な土地に誕生しました。
設立後、幾度となく閉鎖と再稼働を繰り返したものの、1970年代に老朽化した蒸溜所の大改装を実施。その際に計6基のポットスチルが増設され、アイラ島最大級の蒸溜所となりました。
カリラ蒸溜所が建つのはアイラでも屈指の眺望の土地
「カリラ(CAOL ILA)」はゲール語で「CAOL(海峡)」と「ILA(アイラ島)」から成る言葉で、「アイラ海峡」を意味します。アイラ島とジュラ島の間にあるアイラ海峡は、スコットランド西海岸でもとくに美しい地域といわれています。
蒸溜所から望む景観はとりわけ美しく、対岸にそびえるパップス山をはじめとしたジュラの山々とアイラ海峡が前面に広がるパノラマは、「アイラでも屈指の眺望」と評されています。
蒸溜所の近くにはミネラル豊富な湧水をたたえたロッホ・ナム・バン湖があり、湖の澄み切った天然水はカリラの仕込み水に使用されています。
「カリラ」人気の火つけ役となった「ヒドゥン・モルトシリーズ」
ボウモアやラフロイグなど、世界に冠たる蒸溜所があるアイラ島のなかでも、カリラ蒸溜所の生産量は最大級といわれています。しかし、設立してしばらくはブレンデッドウイスキー用のキーモルトを中心に提供していたため、まさに知る人ぞ知る蒸溜所でした。
「カリラ」が世界中に知られるようになったのは、2000年代に入ってからのこと。1997年にディアジオ社の傘下に入ったカリラ蒸溜所は、2002年にディアジオ社が手掛ける「ヒドゥン・モルトシリーズ」のひとつとして、カリラ12年、18年、カスクストレングスの3種類をリリースしました。これが大きな評判となり、「カリラ」ブランドが世界に普及して行ったのです。
シングルモルトウイスキー「カリラ」はどんな味わい?
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「カリラ」の原料と製法の特徴
「カリラ」の原料として使われているのは、アイラ島のモルトスター(製麦専門業者)・ポートエレン社製のスモーキーな麦芽です。ピートでしっかり焚き染められた麦芽は、ロッホ・ナム・バン湖由来のミネラル豊富な湧水で仕込まれています。この湧水は、ピートの地層でろ過されているため、水にもピート感が含まれています。「カリラ」を特徴づけるスモーキーでピーティーな風味は、こうした原料によって育まれているのです。
また、蒸溜の工程で気化アルコールを冷やす際に、冷却水として海水が使用されているのも特徴のひとつ。冷却水に海水を使う蒸溜所は、世界的にも非常に珍しいといわれています。このような製法を可能とする海の傍で造られる「カリラ」からは、潮っぽさも感じられるでしょう。
アイラらしいスモーキーさと華やかさを併せ持つ「カリラ」の味わい
「カリラ」の大きな特徴は、アイラらしく力強いスモーキーフレーバーです。蒸溜を終えたばかりのウイスキー原液(ニューポット)の時点で独特の風味を持っていますが、樽熟成を行うことで、スモーキーさに複雑かつ力強いフレーバーが加わります。
とはいえ、ただクセが強いだけではありません。「カリラ」の魅力は、スモーキーさとフルーティーな甘さのハーモニーが絶妙なこと。軽やかさと華やかさを併せ持つ非常にバランスのとれた味わいで、一度飲むとその魅力にはまる人も多くいます。
「カリラ」は、その味わいのよさから、いまも「ジョニーウォーカー」をはじめ、さまざまなブレンデッドウイスキーのキーモルトに使用されています。
「カリラ」のおすすめのたのしみ方
「カリラ」の口当たりはスムースでまろやか。シルキーという言葉がよく合う飲み口です。少量の水を加えるとフルーティーなアロマがより強く香るため、水割りやロックでゆっくりと味わうのがおすすめ。また、ハイボールにすれば、特有のピート香がやわらいで、よりすっきりと飲むことができるでしょう。
ほかのアイラモルトに比べて軽い飲み口の「カリラ」は、魚介類との相性もよいため、食前酒や食中酒としてもたのしめます。
食中酒にもぴったりのウイスキー「カリラ」のラインナップを一挙紹介!
出典:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社サイト
カリラ12年
カリラの名前を世界に知らしめた「カリラ12年」。初めてカリラを飲む人におすすめのレギュラーボトルです。飲みはじめはフルーティーな甘味を感じ、あとに甘いスモーキーさと長い余韻が続きます。
スパイシーさも感じられる「カリラ12年」の飲み口は軽やかで、アイラモルトに特徴的な独特のオイリーさやスモーキーさはやや控えめ。そのため、もう少しライトにアイラモルトをたのしみたいという人にもおすすめです。
ビギナーからウイスキー愛好家まで、幅広い層に愛されていて、アイラモルトの入門編としても挙げられる1本です。
カリラ18年
「12年」と比べると「18年」のピート香はさらに軽め。甘さを前面に押し出した1本で、バタースコッチやドライフルーツなどの甘味が強く感じられます。
もちろん、「カリラ」ならではのシルキーさとフルーティーさは健在。キャンディやバニラのアロマと、磯の香りがやさしく広がります。
近年は入手困難で、希少なボトルとなってしまいました。見かけた際には「12年」との飲み比べをたのしむのもよいでしょう。
カリラ25年
「25年」は、2010年に14,000本限定でリリースされたボトルです。「カリラ」らしいスモーキーさやヨード香はやわらかく、超長期熟成ならではのフルーティーな甘さやコク深い味わいをたのしめる、バランスのよい仕上がりとなっています。
アロマも素晴らしく、砂糖漬けの果実を思わせるやさしくフルーティーな香りや甘くスパイシーな香り、上品なピート香を複層的に感じられます。
「カリラ」の極みともいえる25年は、18年同様に希少価値の高い1本です。
カリラ ディスティラーズ エディション
「カリラ ディスティラーズ エディション」は、バーボン樽で熟成させた原酒を、さらにモステカル・カスク(シェリー樽)で追熟させたボトルです。「カリラ」らしいピート香とスモーキーさのなかに、シェリーの甘さを感じることができます。
「ディスティラーズ エディション」では、レギュラーボトルに見られるスパイシーさはやや控えめ。クリーミーでやさしい「カリラ」を飲んでみたい人におすすめです。
アイラモルトらしいピート香とスモーキーさ、そしてフルーティーな甘味が感じられる「カリラ」は、アイラ島の恩恵を受けた格別の味わい。口当たりもなめらかで、愛飲家をはじめ世界中の人に愛されています。初心者にもおすすめの「カリラ」で、通好みのアイラモルトにチャレンジしてみてはいかがでしょう。