「月見酒」で優雅に日本酒をたのしむ【日本酒用語集】

「月見酒」で優雅に日本酒をたのしむ【日本酒用語集】
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「月見酒」とは、月を愛でながらたしなむお酒のこと。「中秋の名月」というように、お月見といえば秋。秋は、旬の味覚とともに「ひやおろし」などのおいしいお酒を味わえる季節です。今回は、「月見酒」の歴史やたのしみ方などを紹介します。

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「月見酒」の歴史

「月見酒」の歴史

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「月見酒」の歴史は古代までさかのぼる

日本における「月見酒」の歴史は古く、古代には旧暦9月13日(新暦では毎年10月中旬~11月上旬ころに相当)に、秋の収穫を神々に感謝し、月の下で酒を飲む「月祀り(つきまつり)」の風習があったといいます。

奈良・平安時代になると、旧暦8月15日(新暦では毎年9月中旬~10月上旬ころに相当)に、月見をしながら酒を酌み交わす「観月の宴」の風習が中国から伝わります。平安貴族たちは、日本古来の「月祀り」に加えてこの催しを行い、舟遊びや舞楽などとともにお酒をたのしんだのだとか。

現在でも親しまれている「中秋の名月」はこの風習がルーツで、旧暦8月15日の夜に見る月のことを指します。ちなみに、旧暦8月15日を現在の暦にすると、9月半ばから10月上旬ころにあたりますが、日付は年ごとに変動し、2020年でいうと、中秋の名月の日は10月1日にあたります。

鎌倉・室町時代になると、「月祀り」や「観月の宴」の風習は武家や庶民にも広がります。それにともなって、「月見酒」は再び、古代のような農耕儀礼としての意味合いを取り戻していきました。

こうして、稲の初穂や団子などとともに新米で醸したお酒を供え、神々に感謝を捧げる「月見酒」が定着していったといいます。

中秋の名月をたのしむ「月見酒の日」とは

このように長い歴史を持つ「月見酒」。2017年には、中秋の名月の日が「月見酒の日」として正式に制定されました。これは酒造メーカーの月桂冠株式会社が、一般社団法人日本記念日協会に登録申請したことによるもので、「現代を生きる日本人が改めてこの粋な文化に目を向けて楽しむきっかけになれば」という想いが込められているそうです。

なお、前述のとおり、2020年の中秋の名月は10月1日。2020年の「月見酒の日」もこの日にあたります。

「月見酒」には「ひやおろし」がおすすめ

「月見酒」には「ひやおろし」がおすすめ

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「月見酒」としてたのしみたい秋のお酒「ひやおろし」

「月見酒」として美しい月を愛でながらぜひ味わいたいのは、秋限定のお酒である「ひやおろし」です。「ひやおろし」とは、一般的に、冬に搾られた新酒を春先に火入れ(加熱殺菌)し、夏の間に貯蔵・熟成させ、外気の温度が貯蔵庫と同じくらいになってきた秋に出荷するお酒のことです。

通常、日本酒は貯蔵する前と出荷前に火入れを行いますが、「ひやおろし」は出荷前には火入れを行いません。つまり、「冷や」のまま「卸す」という意味で、「ひやおろし」と呼ばれます。

夏の間に熟成を深める「ひやおろし」は、穏やかで落ち着いた香りやまろやかな味わいが魅力。風流にしっとりたのしむ「月見酒」に、ふさわしいお酒といえそうです。

「月見酒」は旬を迎える秋の食材とともに味わいたい

「ひやおろし」の特徴のひとつとして、秋から冬にかけて瓶の中で熟成が進み、味わいが変化していくことが挙げられます。9月にはフレッシュさが感じられたお酒が、10月、11月にはよりまろやかで深い味わいへと変化していくのです。10月の「月見酒の日」にだけでなく、それぞれの月の味わいをたのしみたいもの。

また、「実りの秋」といわれるだけに、秋は魅力的な食材が豊富な時期でもあります。少しずつ変化していく「ひやおろし」と合わせて、秋刀魚や里芋、松茸、鮭など、続々と旬を迎える食材をたのしみたいものです。

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「月見酒」のたのしみ方

「月見酒」のたのしみ方

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「月見酒」には月にちなんだ酒銘やラベルのお酒がおすすめ

「月見酒」を存分にたのしむなら、月にちなんだ酒銘やラベルのお酒を選ぶのも素敵なアイデアです。月にちなんだ名前を持つ日本酒は数多く存在しますが、秋には月をモチーフにした季節限定の銘柄も数多く登場します。

夜空に輝く月を眺めながら、月をイメージしたお酒で盃を傾ければ、いっそう風情を感じられることでしょう。

「月見酒」におすすめの日本酒

「月見酒」にふさわしい魅力的な日本酒はたくさんありますが、ここでは、月にちなんだ酒銘やラベルを持つ「月見酒」にぴったりのお酒を紹介します。

【得月(とくげつ)】

新潟県にある蔵元、朝日酒造が醸す「得月」は、9月限定出荷の純米大吟醸酒です。「得月」という名前は漢詩に由来しており、「月見酒」でたのしんでほしいという気持ちを込めて名づけられたのだとか。「鳥獣戯画」をヒントにしたというパッケージには、うさぎが「月見酒」をたのしむ姿が描かれています。

製造元:朝日酒造株式会社
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【雨後の月(うごのつき)】

「雨後の月」は広島県にある蔵元、相原酒造の代表銘柄であり、さっぱりとした食事によく合う日本酒です。9月には季節限定品として、「ひやおろし 純米吟醸 千本錦」「ひやおろし 純米吟醸 八反」が登場。千本錦はやさしくやわらかな味わい、八反はシャープですっきりした味わいをたのしむことができます。

製造元:相原酒造株式会社
公式サイトはこちら

【月見酒の上善如水(じょうぜんみずのごとし)】

「上善如水」は新潟県にある蔵元、白瀧酒造の代表銘柄です。すっきりした飲み口と米の味わいに加え、美しいボトルデザインも人気があります。12か月月替わりの「上善如水」のひとつ「月見酒の上善如水」は、月のような円いボトルにうさぎがデザインされた愛らしい外観が目を引きます。

製造元:白瀧酒造株式会社
公式サイトはこちら

「月見酒」は、日本で古くから親しまれてきた歴史ある風習です。中秋の名月にはゆったりと月を愛でながら、秋ならではのお酒と味覚をたのしんでみてはいかがでしょうか。

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