香川の日本酒【綾菊(あやきく):綾菊酒造】郷土を愛する心を原点とする讃岐(さぬき)の地酒

香川の日本酒【綾菊(あやきく):綾菊酒造】郷土を愛する心を原点とする讃岐(さぬき)の地酒
出典 : 綾菊酒造公式フェイスブック

「綾菊」は、江戸時代から続く香川県綾川町の老舗蔵、綾菊酒造の主要銘柄です。「郷土を愛する心」を日本酒造りの原点とする蔵元が、近くを流れる綾川の伏流水と、「オオセト」などおもに地元産の米を使って醸す「綾菊」。ここでは、その魅力を紹介します。

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「綾菊」の蔵元は江戸時代創業の老舗

「綾菊」の蔵元は江戸時代創業の老舗

taka1022 / Shutterstock.com

「綾菊」は地元に根ざす蔵から生まれる地酒

「綾菊」は、香川県綾川町の蔵元、綾菊酒造の銘柄酒です。綾菊酒造は、寛政2年(1790年)に創業し、以後、約230年もの間、「郷土を愛する心」を日本酒造りの原点としてきました。

蔵元の「郷土を愛する心」は、蔵がある山田地区で行っている米作りにも表れています。地元で途絶えていた「綾菊」の主要原料米「オオセト」の栽培を、平成27年(2015年)に再開。平成29年(2017年)度からは、地元の農業法人と提携し、山田地区での契約栽培を始めました。

地元の人々とともに、地元で酒米を作り、地元で醸す。綾菊酒造は、掛け値なしに地元にこだわって地酒造りに邁進しています。

「綾菊」は綾川の伏流水で醸される日本酒

綾菊酒造の蔵は、綾川町の名前の由来となった綾川のそばに建っています。香川県は雨が少ないうえ、山地が低いため、水をあまり蓄えることのできない土地です。大きな川も無いなかで、県内最長の川である綾川はさまざまな面から重宝されています。

また綾川は、開発の手が入っていない清流としても名高い川です。清らかなこの川には、“太古の昔、日本武尊(やまとたけるのみこと)の孫、綾黒丸が、この川のほとりで初めて酒を造り、ときの天皇に献じたところ、たいそうほめられた”という伝説が残されています。

「綾菊」は、水量と水質に恵まれた、由緒ある綾川の伏流水で醸されているのです。

「綾菊」がこだわる香川ゆかりの3つの米

「綾菊」がこだわる香川ゆかりの3つの米

出典:綾菊酒造公式フェイスブック

「綾菊」の主要な原料米「オオセト」の特徴

「綾菊」の多くの商品で使われている「オオセト」は、“酒米専用品種”です。うまく味を引き出せば、まろやかな芳香とすっきりとしたキレのある日本酒を生み出すことができます。

昭和54年(1979年)に、農林水産省中国農業試験場(現、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター)で育成され、現在、香川県を中心に栽培されています。

価格と品質のバランスがよく、麹(こうじ)を造るための「麹米」にも、醪(もろみ)を仕込むときに加える「掛け米」にも使えることなどから、香川県内をはじめ、県外の蔵元からも評価されています。

「綾菊」でも使用されてきた「さぬきよいまい」の特徴

「綾菊」のいくつかの商品で使われている「さぬきよいまい」は、「オオセト」を母、「山田錦」を父に持つ酒米です。オオセトからはキレのよさを、山田錦からはふくらみのある味わいを受け継いでいます。雑味となるたんぱく質が少なく、粒が大きいなど、日本酒造りに適した特徴があります。

香川県酒造協同組合からの依頼を受けた香川大学農学部が、平成2年(1990年)に研究をスタート。その後、香川県が育成試験を引き継ぎ、平成19年(2007年)に品種登録されました。“香川県独自の酒米を作りたい”という悲願を叶えた品種です。

「綾菊」で使われることが増えた「おいでまい」の特徴

「綾菊」のラインナップのなかで、原料米として使われることが増えている「おいでまい」は食用米です。

温暖化が進む、現在の香川県の風土に合った品種を作ろうと、平成14年(2002年)から香川県農業試験場で開発が始まりました。平成22年(2010年)に香川県の奨励品種に採用されています。

平成25年(2013年)産のおいでまいが、四国の産地品種として初めて、一般財団法人日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で最高の「特A」と評価されるなど、食味のよい米として知られています。一方で、たんぱく質の含有量が少ないなど、酒米の特徴も併せ持つ米です。

「綾菊」の現杜氏は伝統と技術を継承し新しい酒にも挑戦する

「綾菊」の現杜氏は伝統と技術を継承し新しい酒にも挑戦する

出典:綾菊酒造サイト

「綾菊」の伝統は名杜氏の愛弟子に受け継がれる

綾菊酒造には、「綾菊」のほかに、「国重(くにしげ)」という銘柄があります。「国重」は、蔵の名誉杜氏、国重弘明氏に由来する日本酒です。国重氏は、扱いに難しさがある「オオセト」での酒造りの手法を確立し、全国新酒鑑評会で金賞を通算20回も受賞した名杜氏です。

国重氏のあとを受け、平成27年(2015年)10月からは宮家秀一氏が綾菊酒造の杜氏を務めています。国重氏の愛弟子の宮家杜氏は、師から伝統と技を受け継ぐ一方、研鑽を積み、自身も全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、今後ますますの活躍を期待される杜氏です。

蔵元も、クリーンルームや大型冷蔵庫を新設するなど、宮家杜氏をバックアップ。品質のさらなる向上を蔵全体で目指しています。

※「国重」は香川県下の「国重会」加盟の酒販店のみの限定流通商品です。

「綾菊」のラインナップを紹介

「綾菊」のラインナップは、純米吟醸などの特定名称酒から普通酒まで、さまざまな商品が揃っています。そのなかからいくつか紹介しましょう。

【純米大吟醸 綾菊】

精米歩合40%の兵庫県産山田錦で醸した純米大吟醸酒。磨き抜かれた米のやさしい味わいに満ちた、品格ある1本です。

【純米吟醸 綾菊】

香川県産のオオセトを、精米歩合60%で使用。酒造りの筋をとおした純米吟醸の、さわやかな香りと味わいに心癒やされます。

【綾菊 吟醸 献上】

米はオオセト、酵母は「協会1801号」を使用。華やかでフルーティーな香りと、キレのよい味わいがたのしめる食中酒です。

【綾菊 特別純米酒おいでまい生貯蔵原酒】

綾川町産の「おいでまい」を使用。生貯蔵酒のフレッシュさと、コクのある原酒のよさが味わえます。酸味とのバランスも絶妙。

【綾菊 さぬきオリーブ純米酒】

地元産オリーブから採取した「さぬきオリーブ酵母」を使用。きりっとした酸に、オオセトの旨味も感じられます。和食のほか、フレンチやイタリアンとの相性も抜群です。

綾菊酒造の宮家杜氏は、食用米「おいでまい」や「さぬきオリーブ酵母」など、地元産の原材料を使った新しい日本酒にも挑戦しています。定番の「純米吟醸 綾菊」とともに、新しい味わいもぜひ試してみてくださいね。


製造元:綾菊酒造株式会社
公式サイトはこちら

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