5代目は元エンジニア! 鹿児島の蔵元・大石酒造の個性を生かす焼酎造りとは【焼酎用語集】

5代目は元エンジニア! 鹿児島の蔵元・大石酒造の個性を生かす焼酎造りとは【焼酎用語集】
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自然豊かな鹿児島県阿久根市に蔵を構える大石酒造は、創業からおよそ100年、5代に渡って焼酎造りを続けてきた蔵元です。5代目社長は、なんと元エンジニア! 個性豊かな大石酒造の焼酎造りへの想いや、銘柄の特徴などについて紹介します。

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元エンジニアの大石酒造5代目の焼酎造り

元エンジニアの大石酒造5代目の焼酎造り

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まったく違う職業から杜氏に転身した5代目

現在社長を務める5代目・大石啓元氏は、元エンジニアという異色の経歴の持ち主です。もともと研究熱心で、ものづくりが好きだったという啓元氏。当初は蔵を継ぐ意志はなかったといいますが、最終的には長男として継ぐことを決意。今では、初代から受け継がれてきた伝統と銘柄を守るとともに、新しいブランド銘柄もたくさん世に送り出しています。

元エンジニアの探求心と好奇心が実現させた焼酎造りの手法

大石酒造の焼酎造りの特徴のひとつに「かぶと釜蒸留法」があります。「かぶと釜蒸留法」は、日本では明治時代ころまで使われていた古い手法で、読書家でもあった5代目は、古い文献にあたっていた際に、偶然この手法に出会います。

かぶと釜蒸留法に魅せられた啓元氏は、「かぶと釜」を再現するために博物館に何度も通い、試行錯誤を繰り返したそう。結果、日本国内では廃れていた「かぶと釜蒸留法」を現代によみがえらせることに成功したのです。

元エンジニアだからこその探究心や、ものづくりへの好奇心、そして焼酎造りへの熱い情熱が実現させたものといえるでしょう。

大石酒造の焼酎造りへのこだわり

大石酒造の焼酎造りへのこだわり

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大石酒造の「かぶと釜蒸留法」とは?

「かぶと釜蒸留法」とは、「かぶと釜」という蒸溜器を使って、焼酎を醸す手法のこと。時間と手間のかかる昔ながらの手法ですが、この製法で醸すと、香りも味わいも豊かな、ほかとは一線を画す焼酎に仕上がります。

しかし、当時とは異なる環境で、薪ではなく蒸気を使用し、材質の違う釜で蒸溜を行うため、苦労が絶えなかったそう。それでも、 “おいしい焼酎を多くの人に味わってもらいたい”という、ただその一心で試行錯誤を繰り返し、納得のいく焼酎を醸すことに成功したのです。

5代目の啓元氏は、「手造りにこだわる小さい蔵だからこそ、実現することができた」といいます。大量生産とは一線を画す、大石酒造の酒造りへのこだわりの原点を、「かぶと釜蒸留法」に見ることができます。

大石酒造は原料、品質、そして価格にもこだわる

大石酒造には、常に「本物の味」と「最高の品質」を届けたいという想いがあります。原料は地元のものにこだわり、レギュラー酒にはおもに地元産の芋「しろゆたか」と地元の井戸水を使用。またブランドごとに、原料や製法を変えるなど、それぞれに豊かな個性を持たせた焼酎を生み出しています。

製造工程においても、一つひとつていねいに心を込めて進めていることはもちろん、品質管理も徹底しています。

そして、“焼酎は日常の食卓にあるもの”という鹿児島に根付く文化に敬意を払い、より手ごろな価格の焼酎を消費者に提供していくことを大切にしています。

大石酒造の焼酎ラインナップ

大石酒造の焼酎ラインナップ

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「かぶと釜蒸留法」で醸された、大石酒造こだわりの銘柄

【かぶと釜蒸留 かぶと鶴見】

大石酒造自慢の「かぶと釜」で時間をかけてていねいに蒸溜した「鶴見」。芋は鹿児島県産の「しろゆたか」、麹は「白麹」を使用しています。芋らしい香りのなかに、かぶと釜特有の木の香りがさわやかに感じられる1本です。まずはロックで飲むのがおすすめ。

【かぶと釜蒸留 かぶと莫祢氏(あくねし)】

「かぶと鶴見」と同様に、かぶと釜でじっくりと醸した「莫祢氏」。銘柄名は、その昔、現在の阿久根市地方一帯を治めていた豪族の名前に由来しているそう。主原料の芋には、地元産の「しろゆたか」を使用。黒麹由来の深みのある香りと味わいに、木の香りが混ざり合い、奥深さのなかにさわやかさも感じられるのが特徴です。こちらも、まずはロックで味わってみてください。

大石酒造の伝統と技が詰まった、レギュラー酒にも注目を

【鶴見】

大石酒造の代表銘柄。創業から100年以上にわたって愛されてきた、伝統の味の芋焼酎です。芳醇なお酒で、ふくいくとした芋の香りが口の中に心地よく残ります。とくに、お湯割りで飲みたい焼酎です。

【莫祢氏】

こちらも大石酒造を代表する人気銘柄。黒麹のコクと「しろゆたか」の旨味、キレのよさが調和した、香味豊かな芋焼酎です。お湯割り、ロックなどがおすすめの飲み方です。

【蔵 純粋】

重厚感があって、アルコール度数も40度前後と高めですが、口当たりがよくてとても飲みやすい焼酎です。割水を行っていないため、蒸溜したままの味をたのしめるのも魅力のひとつ。芋焼酎好きにおすすめしたい1本です。こちらもロックでどうぞ。

【橙華】

果肉がオレンジ色の芋「ハマコマチ」を使った芋焼酎。南国フルーツのような個性的な香りが、特徴です。水割りで飲むとより香りが立つそう。お湯割りにも合います。

代々伝わる焼酎造りへの想いやこだわりと、5代目の探究心で、バラエティーに富む焼酎を造り上げてきた大石酒造。定番から個性あふれる限定品まで豊富にラインナップされているので、ぜひ飲み比べて、味の違いを感じてみてはいかがでしょうか。

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