【日本酒の適量】健康的にたのしむために知っておきたいこと
日本酒の適量を知り、健康的にたのしむ方法をご紹介。具体的な計算方法やアルコール度数別の適量を解説し、小さな酒器やお燗の利用法もアドバイスします。
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日本酒の適量は?
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日本酒の適量は1日1合が目安
一般的な男性の日本酒の適量は、1日約1合(180ミリリットル)といわれています。これは、厚生労働省が推進する「健康日本21(第2次)」で「節度ある適度な飲酒量」として提示されている、1日平均純アルコール量約20グラムを日本酒に換算した量です。
女性の場合は、この1/2~2/3程度(約10~13グラム)が適量とされています。その理由は、多くの女性は男性よりもアルコール分解が遅く、肝機能障害が起きやすいため。これには、女性ホルモンが酵素の働きを抑制することが関係しているといわれています。
なお先述した「適量」は、あくまで平均的な値としてとらえた目安で、人によって大きく異なります。性別に関係なく、アルコールに弱いと感じている人はこれより少ない量が適切ですし、飲酒習慣のない人に対して推奨するものではないことに注意しましょう。
日本酒の適量はアルコール度数によって変わる
1日約1合という適量は、日本酒に多く見られるアルコール度数15度を基準にしたときの量です。もちろん、アルコール度数が変われば、適量も変わります。
日本酒と一言でいっても、種類によってはアルコール度数が高いものもあれば低いものもあります。アルコール度数を調整していない無ろ過生原酒は18度前後が主流。近年トレンドとなっている、10度前後の低アルコールの銘柄も増えています。
このようにアルコール度数が異なる場合に備えて、お酒に含まれる純アルコール量や適量を割り出すための計算方法を覚えておくと便利です。
実際に純アルコール量と適量を算出してみましょう
【純アルコール量(グラム)】
純アルコール量を求める基本の計算式は以下のとおりです。
お酒の量(ミリリットル)×アルコール度数(度)/100×0.8(アルコールの比重)=純アルコール量(グラム)
たとえば、アルコール度数18度の日本酒を1合(180ミリリットル)飲む場合、計算式にあてはめると以下のようになります。
180×18/100×0.8=25.92
1合に含まれる純アルコール量は25.92グラムで、男性の適量とされている20グラムより多いことがわかりますね。
【適量(ミリリットル)】
純アルコール量を求める計算式を逆算すると、そのお酒をどのくらいの量に抑えて飲めばよいかがわかります。
男性は「20グラム(男性の適量)÷0.8÷アルコール度数/100」、女性は「約10~13グラム(女性の適量)÷0.8÷アルコール度数/100」で計算してみましょう。
アルコール度数18度のお酒なら、男性は約140ミリリットルまで、女性は約70~90ミリリットルまでが目安の飲酒量となります。
ただし、適量は体質や体調、体重によっても異なってくるため、あくまでも目安として活用してください。
日本酒を適量に抑える飲み方
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日本酒は小さな酒器で適量をたのしむ
適量の日本酒をおいしくたのしむのに有効な方法は、お猪口などの小さな酒器で少しずつ飲むことです。大振りなぐい呑みやグラスなどは、ついつい飲みすぎてしまうことがあるので気をつけましょう。
また瓶から直接注ぐのではなく、徳利や片口などのうつわに移すと、飲んだ量を把握することができます。お気に入りの酒器を愛でながら、ゆっくりと日本酒をたのしむのも乙なものですよ。
日本酒はお燗にすると適量に抑えやすい
日本酒を適量に抑えつつ、ほどよい満足感も得たいなら、燗をつけてみましょう。温めることでアルコールの吸収がよくなり、少ない量でも酔いを感じやすくなります。またお燗をつけるとアルコール分が多少飛ぶので、物理的にアルコール度数が下がるという効果もあります。
ほかに、お燗で体を温めることで、代謝が上がりやすくなるといったメリットもあります。夏場でもエアコンなどで意外と体が冷えているので、人肌くらいに温めたお燗をたのしむのもよいですね。
日本酒の適量を意識するとともに和らぎ水も取り入れよう
日本酒を飲むときは、一緒に水も飲みましょう。この日本酒とともに飲む水を「和らぎ水(やわらぎみず)」といいます。和らぎ水は、洋酒でいうところの「チェイサー」にあたる飲み水です。
和らぎ水の役割は、水を挟みながらお酒を飲むことで、飲みすぎを防止することにあります。適度な水には、血中アルコール濃度を下げ、脱水症状を防ぎ、二日酔いの原因となる有害物質の排出を促す働きがあるといわれています。
用意する和らぎ水は、常温が望ましいといわれています。氷入りなどの冷たい水には爽快感がありますが、その反面、体を冷やして胃腸などの機能を鈍らせることがあるので注意しましょう。
適量の日本酒と体にやさしい酒の肴で健康的に飲もう!
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日本酒を飲む前に食べたい肴
日本酒を適量に抑えても、空腹で飲むと体に大きな負担となります。日本酒を飲む前に、アルコールの吸収を穏やかにするといわれる、良質な脂質を含んだ料理を食べるとよいでしょう。
【青魚】
サバ、イワシ、アジ、サンマなどのお刺身やなめろうといった軽くつまめるもののほか、空腹も満たせるサバの押しずしなどもオススメ。
【チーズ】
チーズの味噌漬けやトマトとモッツァレラのカプレーゼなどは、前菜にもピッタリのおつまみです。
【ナッツ類】
塩分無添加のアーモンドやクルミ、ピーナッツなどのナッツ類も、お酒を飲む前のおつまみに適しています。サラダにトッピングしても。
日本酒を飲みながら食べるとよい肴
日本酒を飲んでいるときは、アルコールの解毒作用や肝臓の働きをサポートする、タンパク質やミネラル豊富な料理をはじめ、オルニチンやタウリンを含む肴が最適です。
【豆腐】
おつまみの定番、冷奴は、タンパク質が豊富で理にかなった酒の肴。湯豆腐もいいですね。また、おから、インゲンの白和えなどの豆腐料理もオススメです。
【野菜・海藻類】
たっぷりの生野菜サラダや塩昆布キャベツなど、ミネラルが豊富な野菜や海藻類も、お酒のお供に取り入れましょう。
【シジミ・イカ・タコ】
オルニチンを含むシジミ、タウリンを含むイカやタコなどの魚介類も、積極的に摂るとよいでしょう。お刺身のほか、タコとわかめの酢の物、イカと大根の煮物などは、日本酒にも合います。
日本酒は適量でもなるべく避けたい肴
米から造られる日本酒は糖質が高い傾向にあるため、同じように糖質の高い料理やおつまみはできるだけ避けるのがベター。たとえば、名前にサラダとついていても、糖質も脂質も高い傾向にあるポテトサラダやマカロニサラダなどをたくさん食べるのは、なるべく控えたいものです。
また、揚げ物やつくね、肉団子のような脂っこい料理も避けたいところ。脂質が多いものを食べ過ぎると、消化するときに肝臓に負担がかかりやすくなります。アルコール代謝も下がってしまうので、やはり控えめにしましょう。
健康的に長く日本酒と付き合っていくためにも、適量と適切な飲み方を覚えたいですね。とはいえ、あまり四角四面に捉えすぎてもつまらなくなってしまいます。適度に気をつけながら、おいしくたのしく味わいたいものです。