「和らぎ水(やわらぎみず)」で、日本酒をもっとおいしく、たのしく

「和らぎ水(やわらぎみず)」で、日本酒をもっとおいしく、たのしく
出典 : kitsune05 / Shutterstock.com

「和らぎ水(やわらぎみず)」とは、ウイスキーなどを飲む際に合わせて飲む「チェイサー」のいわば日本酒バージョン。お酒と一緒に飲むことで、酔いをやわらげる「和らぎ水」について、その効果や、おすすめの飲み方を紹介しましょう。

  • 更新日:

「和らぎ水」とは、いわば日本酒版の「チェイサー」

「和らぎ水」とは、いわば日本酒版の「チェイサー」

SKMY / Shutterstock.com

「和らぎ水(やわらぎみず)」という、どこか風情を感じさせる言葉は、とくにお酒に詳しいという人でなければ馴染みがないかもしれません。ただし、「和らぎ水」は知らなくとも、「チェイサー」なら知っているという人は少なくないでしょう。

チェイサーとは、ウイスキーなどアルコール度数の高いお酒をストレートで飲む際に、一緒に提供される飲み物のこと。ミネラルウォーターなどの水が一般的ですが、お茶や炭酸水、さらにはビールなどアルコール度数の低いお酒がチェイサーに用いられる場合もあります。

では、何のためにチェイサーを飲むかというと、強いお酒からカラダを守るとともに、口のなかをリセットして、お酒の味わいをより深くたのしむため。こうしたチェイサーと同じ目的で、日本酒を飲む際に一緒に飲む水のことを「和らぎ水」といいます。

日本酒は、アルコール度数が高い焼酎などのように、水やお湯などで割って飲むには適していません。そこで、日本酒を飲みながら、適度な水を飲むことで、アルコールによるカラダへの負担をやわらげ、より心地よくお酒をたのしめるというわけです。

「和らぎ水」の効果1 ゆっくり酔えるから深酔いしにくい

「和らぎ水」の効果1 ゆっくり酔えるから深酔いしにくい

jreika/ shutterstock.com

「和らぎ水(やわらぎみず)」の役割のひとつが、日本酒の飲みすぎによる深酔いや悪酔いからカラダを守ってくれること。
日本酒のアルコール度数は、銘柄によっても異なりますが、一般的には13〜20度程度。ウイスキーや焼酎などの蒸溜酒ほどではありませんが、醸造酒のなかでは比較的高め。たとえば、ビールのアルコール度数の約3~5倍にあたります。

アルコールに対する耐性には個人差があるとはいえ、日本酒をビールのようにぐいぐいと飲んでいれば、当然ながら、それだけ酔うスピードも速くなり、アルコールの摂取量も増え、深酔いや悪酔いを招くおそれも高まります。

そこで、日本酒版のチェイサーである「和らぎ水」の出番です。日本酒を飲む合間に和らぎ水を飲むことで、それだけ体内でのアルコール濃度が薄まります。また、日本酒と和らぎ水を交互に飲むことで、日本酒だけを飲む場合とくらべて、飲むペースがゆっくりになり、当然ながら酒量も少なくなります。
これらの結果、酔いが回るスピードも緩やかになり、より長くお酒をたのしむことができるというわけです。

急激に酔ったり、悪酔いすることなく、ゆったりと日本酒をたのしむことを助ける。それが「和らぎ水」を飲む目的です。

「和らぎ水」の効果2 口のなかをリフレッシュして、次のひと口をおいしく

「和らぎ水」の効果2 口のなかをリフレッシュして、次のひと口をおいしく

Rawpixel.com/.shutterstock.com

「和らぎ水(やわらぎみず)」の効果は、飲みすぎや悪酔いを防ぐというだけではありません。加えて、日本酒の繊細な味わいを、より深くたのしめるという効果があります。

チェイサーには、アルコールなどによる刺激で味覚が麻痺しないよう、口のなかを洗い流すという役割があります。同様に「和らぎ水」を飲むことで舌がリフレッシュされ、ひと口ごとにまっさらな状態で日本酒を味わうことができるのです。

日本酒は、甘味や辛味、酸味など、さまざまな味覚が複雑にからみあった味わいが身上です。その奥深い魅力をしっかりと味わうためには、舌も明敏であることが大切です。
とくに、いろんな銘柄の日本酒を飲みくらべる際には、先に飲んだ日本酒に影響されないよう、ひと口ごとに「和らぎ水」で舌をリセットさせることをおすすめします。
また、最近では、中華や洋食など、伝統的な和食よりも味の濃い料理と一緒に日本酒を飲む機会も増えています。こうした料理を食べた後なども、日本酒を飲む前に「和らぎ水」を飲むことで、次の一杯がよりおいしく味わえる場合もあります。

「和らぎ水」に合うのはどんな水?

「和らぎ水」に合うのはどんな水?

Tarasyuk Igor/ Shutterstock.com

「和らぎ水」として飲む水は、どんな水が望ましいでしょうか? 通常、「和らぎ水」として飲まれているのは、特別な水ではなく、水道水やミネラルウォーターなど一般的なものです。

ただし、気をつけたいのが「和らぎ水」の温度です。酔いを覚ますためだからと、氷で冷たくした水をイメージするかもしれませんが、「和らぎ水」には舌をリセットさせる狙いもあります。氷水では刺激が強すぎて、かえって舌の感覚がにぶりかねません。また、冷たすぎる水は胃に負担をかけるおそれもあるので、常温の水か、あるいは少し温めた白湯にして飲みたいものです。

先に「特別な水は必要ない」と述べましたが、強いて言うなら、水道水よりはミネラルウォーターが望ましいでしょう。アルコールによって失われるミネラルも補給できるからです。

また、日本酒と同様、「和らぎ水」の味にもこだわりたいというのであれば、日本酒造りに用いられた「仕込み水」がおすすめです。仕込み水は日本酒の味を左右する重要なものだけに、どの蔵元でも水の質には強いこだわりがあり、その地域で選りすぐりの名水が用いられているからです。
お気に入りの銘柄の日本酒を飲む際に、その蔵元が使っている仕込み水を「和らぎ水」にすれば、味の親和性も高く、一段とたのしめることでしょう。

最近では、「和らぎ水」が浸透するにつれて、各地の蔵元で仕込み水を「和らぎ水」用として販売するケースも増えています。
たとえば「黒帯(くろおび)」で知られる金沢の蔵元、福光屋では、霊峰・白山の地中深くから約100年もの歳月をかけてろ過された名水を「酒蔵の水」として販売しています。この蔵元の日本酒を飲む際の「和らぎ水」にはピッタリですね。

株式会社福光屋:酒蔵の水
公式サイトはこちら

「和らぎ水」は、日本酒造組合もおすすめの飲み方

「和らぎ水」は、日本酒造組合もおすすめの飲み方

KPG_Payless / Shutterstock.com

「和らぎ水」がいつ頃から飲まれるようになり、この呼び名が定着したのかは、よくわかっていません。古くからお酒と親しんできた日本の人々が、お酒とのよりよい付き合い方を考えるなかで、自然と身についた知恵だったのではないでしょうか。

とはいえ、「和らぎ水」はけっして根拠があいまいな俗説というものではなく、日本酒造組合中央会でも推奨されている飲み方です。
日本酒造組合中央会とは、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」にもとづき、酒類業界の健全な発展に向けて昭和28年(1953年)に設立された歴史ある業界団体で、全国各地の酒造組合や酒造組合連合会が会員となっています。

同会のWebサイトには、全国各地の地酒やその造り手を紹介する「酒蔵ツーリズム」や、日本酒の「おいしい飲み方・選び方」など、日本酒をより深くたのしむための情報が掲載されていますが、そのなかで「「和らぎ水」のすすめ」というコーナーがあり、親しみやすいイラストとともに、「和らぎ水」の効果が紹介されています。

「和らぎ水」に興味をもった人や、日本酒をより詳しく知りたいという人は、ぜひ一度、同会のWebサイトを訪れてみてください。

日本酒造組合中央会:「和らぎ水のすすめ」

「和らぎ水」は、日本酒をじっくりとたのしみ、より深くたのしむための大切なパートナー。「和らぎ水」を積極敵に活用して、これまで以上に日本酒をたのしんでください。

おすすめ情報

関連情報

日本酒の基礎知識