「月山(がっさん)」創業300年の老舗が醸すクリアで飲みやすい地酒【島根の日本酒】
「月山」は、島根県安来(やすぎ)市で300年近い歴史を持つ老舗の蔵元、吉田酒造の代表銘柄。フレッシュでクリアな味わいで、初心者にも親しみやすい日本酒として、国内はもちろん海外でも高い人気を博しています。ここでは、吉田酒造の酒造りと「月山」の魅力を紹介します。
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「月山」の銘柄名に込められた郷土愛と歴史
出典:吉田酒造サイト
「月山」の蔵元、吉田酒造は300年近い歴史を持つ
「月山」を醸す吉田酒造が蔵を構えるのは、島根県東端の安来市広瀬町。民謡「安来節」で知られるこの地は、北に中海を眺め、南には中国山地が連なる豊かな自然環境に恵まれたエリアです。
吉田酒造が広瀬藩の藩公特許による酒造館として創業したのは寛保3年(1743年)のことですが、これに先立ち、享保15年(1730年)には吉田酒造の旧家が「安屋坂店(やすやさかみせ)」という屋号で酒造りを始めていました。旧家の歴史も合わせると、約300年にわたる歴史を持つ老舗となります。
「月山」は殿様に献上する最高の酒の呼び名に由来
吉田酒造の代表銘柄である「月山」の名前は、この地の名所である月山富田城(がっさんとだじょう)とゆかりがあります。
この城は、戦国時代に山陰地方を統治していた尼子氏が築いた難攻不落の要塞城。当時、安来の蔵人たちは、その年にできた最高の酒を「月山」と呼び、城に献上していたのだとか。こうした郷土の歴史にちなみ、「殿様へ献上していたような最高の酒を造り続ける」という想いを込めて名づけたのが、安来の地酒「月山」です。
「月山」は“初心者にも飲みやすい日本酒”として世界的な評価を獲得
出典:吉田酒造サイト
「月山」のフレッシュな味わいは初心者にもおすすめ
「月山」は、蔵元である吉田酒造が「日本酒好きはもちろん、これまで日本酒を試したことがない人や、これから日本酒を知りたいという人にこそ、味わってもらいたい」という想いを込めて生み出した日本酒です。
その魅力は、米の旨味を活かしながらもクリアな飲み口。香りが華やかでキレがよく、フレッシュで飲み飽きないお酒です。
「月山」は国内外で広く愛されるお酒
「月山」の品質の確かさは、数々の受賞歴にも表れています。「全国新酒鑑評会」において何度も金賞を獲得するほか、2016年には「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2016」の最高金賞を受賞しました。
また、「月山」の飲みやすい味わいは、国内だけでなく海外でも人気。現在、アメリカ、香港、台湾、シンガポール、イタリア、オーストラリア、ベトナム、ウガンダ、タイの9つの国と地域に輸出され、日本酒の魅力を世界に伝えています。
「月山」のクリアな飲み口の秘密は「酒母造り」にあり
出典:吉田酒造サイト
吉田酒造の仕込み水は、こだわりの超軟水
吉田酒造の仕込み水は、過去の文献をもとに復元した井戸から汲み上げた水を使用しています。江戸時代には広瀬藩の歴代藩主が愛飲したと伝えられ、松江藩で生まれた茶道の一派「不昧流茶道(ふまいりゅうさどう)」でも“最高の水”と称えられた名水だとか。
その水質は、ミネラル分の少ない超軟水。酒造りの世界では、酵母菌の繁殖を活発にする硬水のほうが、仕込み水に用いやすいという考え方もありました。吉田酒造では、軟水が多い日本の風土に合った酒造りのため、また、軟水のよさを活かして華やかな香りや米本来の旨味を感じられる酒にするため、あえて超軟水を用いた酒造りを続けています。
手間暇のかかる「酒母造り」が「月山」の味わいを支える
「月山」の香りとキレのよい味わいを引き出すうえで、とくに重要な工程が、アルコールの源となる酵母を育てる「酒母(しゅぼ)造り」。ミネラルが少ない超軟水で行うには、硬水より時間がかかるため、じっくり、ていねいに進めていきます。
また、吉田酒造では「月山」ならではの香りと酸の立ったキレ味を引き出すため、扱いが難しいことから現在は使用する蔵元が少なくなった特殊な酵母を使用。手間暇を惜しまず、また難易度の高い手法にあえて挑む姿勢が、「月山」の特別な味わいを支えているのです。
「月山」は、よく山形県寒河江市の蔵元、月山(がっさん)酒造の銘柄と混同されがちですが、こちらは出羽三山の主峰「月山」にちなんだもので、代表銘柄は「銀嶺月山(ぎんれいがっさん)」。よく似た名前の両銘柄を飲み比べてみるのも一興ですね。
製造元:吉田酒造株式会社
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