禁酒法とウイスキーの関係を知っていますか?

禁酒法とウイスキーの関係を知っていますか?
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「禁酒法」は、1920年代のアメリカで施行された、お酒の製造や販売を禁止する法律のこと。聞いたことがある人は少なくないでしょうが、この禁酒法がウイスキーの歴史にどれほどの影響を与えたかまでは、あまり知られていないかもしれません。今回は禁酒法とウイスキーの関係を紐といていきます。

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禁酒法でウイスキーをはじめとしたお酒が禁止に!

禁酒法でウイスキーをはじめとしたお酒が禁止に!

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禁酒法とはどんな法律?

禁酒法とは、1920年にアメリカで施行された法律で、ウイスキーを含めたアルコール飲料全般について、その製造や販売、輸送、輸出入を禁止するものです。
1920年と言えば、第一次世界大戦が終了した直後のこと。アメリカ経済は繁栄のただ中にあり、ウイスキーなど酒類の需要も活発でした。その一方で、飲酒による弊害を訴える「禁酒運動」が急激に高まり、敵国・ドイツのイメージが強いビール業界への反発なども相まって、禁酒法が成立したと考えられています。

禁酒法の裏で、ウイスキーなどお酒が売られていた?

禁酒法でウイスキーなどの製造・販売が禁じられたとはいえ、飲酒を完全になくすことは困難で、かえって「スピークイージー」と呼ばれる闇酒場での販売や、マフィアによる密造・密売が横行する事態を呼びました。
そうしたなかで台頭したのが、有名なアル・カポネです。イタリア生まれのマフィアである彼は、密造酒で多額の利益を得ました。映画『ゴッド・ファーザー』にも、アル・カポネをモデルとした人物が登場しています。

禁酒法が世界各地のウイスキー業界に大きな打撃を

禁酒法が世界各地のウイスキー業界に大きな打撃を

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禁酒法が、アメリカのウイスキー産業を衰退へと

禁酒法は世界各地のウイスキー業界に影響を与えましたが、もっとも深刻だったのは、やはりアメリカでしょう。
禁酒法が施行された当時、米国内にはバーボンウイスキーを中心としたウイスキー蒸溜所が3,000軒近くありましたが、禁酒法の施行を受けて、次々と廃業に追い込まれ、多くのウイスキー職人が姿を消すことに。
アメリカンウイスキーの衰退は、禁酒法が撤廃される1933年まで続きました。当時のウイスキー関係者にとっては、まさに“悪夢の時代”と言えるでしょう。

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禁酒法で、アイリッシュウイスキーのイメージもダウン

禁酒法は、世界5大ウイスキーのひとつ、アイリッシュウイスキーにも大きな影響を及ぼしました。
もともとアイリッシュウイスキーはアメリカでも人気が高く、主要な輸出先でした。禁酒法では海外からの輸入も禁じられていたため、アイリッシュウイスキーは大打撃を受けたのです。
加えて、禁酒法下のアメリカの闇市場では、粗悪な密造ウイスキーにアイリッシュウイスキーの偽ラベルを貼って売ることが横行。アイリッシュウイスキーのイメージダウンにつながりました。
禁酒法は、かつては生産量世界トップを誇ったアイリッシュウイスキーの低迷を招く、大きなきっかけのひとつとなったのです。

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禁酒法のおかげで発展したウイスキーも

禁酒法のおかげで発展したウイスキーも

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禁酒法の裏でカナディアンウイスキーが台頭

禁酒法によって躍進したウイスキーとして知られているのが、カナディアンウイスキーです。
禁酒法はアメリカの隣国カナダでも施行されましたが、国境にあるケベック州では、酒類の販売こそ禁じられたものの、製造は可能でした。このため、カナダ産のウイスキーがアメリカにさかんに密輸されたのです。
皮肉なことに、禁酒法をきっかけとして、カナダのウイスキー産業が飛躍的に発展することとなりました。

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禁酒法時代、日本はウイスキー産業の夜明け前

禁酒法が施行されていた1920年代、日本では、まだウイスキーは浸透していませんでした。
そのころ、日本製ウイスキーを造ろうとしていたのが、サントリー創業者である鳥井信治郎氏でした。彼が日本初のモルトウイスキー蒸溜所「山崎蒸溜所」の建設に着手したのが1923年。そして日本初国産ウイスキー「白札」の誕生は1929年でした。
禁酒法によってアメリカのウイスキー業界が衰退していたころ、遠く離れた日本では、ウイスキー産業発展の息吹が聞こえ始めていたのです。

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禁酒法は、ウイスキーの歴史を語るうえで欠かせない重要なできごとでした。禁酒法時代の人々を思えば、自由にウイスキーをたのしめる現在が、いかに豊かな時代かが改めてわかるのではないでしょうか?

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