カナディアンウイスキーの魅力とは? 厳選おすすめ銘柄も紹介【ウイスキー用語集】

カナディアンウイスキーの魅力とは? 厳選おすすめ銘柄も紹介【ウイスキー用語集】
出典 : Nature's Charm/ Shutterstock.com

カナディアンウイスキーとは、カナダ産のウイスキーのこと。カナダは、スコットランド、アイルランド、米国、日本とともに「ウイスキーの五大産地」に数えられます。今回は、カナディアンウイスキーの定義や特徴、歴史、おすすめ銘柄など、その魅力について紹介します。

  • 更新日:

カナディアンウイスキーとは?

Slowdownbuddy/ Shutterstock.com

「世界五大ウイスキー」のひとつに数えられるカナディアンウイスキーの、定義や製法などを見ていきましょう。

カナディアンウイスキーは世界五大ウイスキーのひとつ

「カナディアンウイスキー」とは、その名のとおり、カナダで、カナダの法律に則って造られるウイスキーの総称です。

カナディアンウイスキーは、スコットランド産のスコッチウイスキー、アイルランド産のアイリッシュウイスキー、アメリカ産のアメリカンウイスキー、日本産のジャパニーズウイスキーと並び、「世界五大ウイスキー」のひとつに数えられています。

日本では、ほかの産地に比べるとやや馴染みが薄いようですが、カナダは世界でもトップクラスのウイスキー生産地域なのです。

カナディアンウイスキーの定義

カナディアンウイスキーにも、ほかのウイスキーと同様、法的定義があります。内容は大きく5つ。

1、穀物を原料に、麦芽などで糖化、酵母などで発酵し、蒸留したもの。
2、700リットル以下の木樽で3年以上熟成させること。
3、アルコール度数40%以上で瓶詰めすること。
4、糖化・蒸溜・熟成はカナダ国内で行うこと。
5、カラメルまたはフレーバリングを添加してもよい。

このほか「ライ麦の使用比率が51%以上でなければならない」といったものもありますが、特徴的なのは5番目のフレーバリングの添加が許されていることです。

ここでいうフレーバリングとは、香味を付与するために許されているカナディアンウイスキー以外のスピリッツやワインなどのことです。使用量には制限がありますが、この基準があることで、さまざまなフレーバーのカナディアンウイスキーが生み出されています。

「ベースウイスキー」と「フレーバリングウイスキー」のブレンド比率は?

カナディアンウイスキーは、トウモロコシなどを原料にした、クセのないマイルドな「ベースウイスキー」と、大麦やライ麦などの麦類を原料にした、オイリーでスパイシーな「フレーバリングウイスキー」をブレンドして造る「ブレンデッドウイスキー」がほとんどです。

世界五大ウイスキーのなかでも、軽快な味わいを感じさせる決め手となるのがこのブレンド。両者を混ぜ合わせる比率としては、ベースウイスキーが約70~90%、フレーバリングウイスキー約10~30%というのが一般的です。

クセがなくマイルドなベースウイスキーに、アメリカのバーボンウイスキーに似た重厚で力強い味わいのフレーバリングウイスキーを加えることで、ライトながら香味豊かなウイスキーに仕上がります。

独自の魅力を生むフレーバリング

kazu326/ Shutterstock.com

五大ウイスキーのなかでも、カナディアンウイスキーだけにある「フレーバリングを添加してもよい」という特別なルール。

ここでいう「フレーバリング」とは、前述の麦類を原料とした「フレーバリングウイスキー」とは違い、「香味づけのためのほかの酒」を指します。一般的には、ウイスキーの風味に大きく影響を与えるという理由から、おもに色づけのためのカラメル以外の添加は禁止されているため、これはカナディアンウイスキーの特徴を決定づける大きな要素といえます。

ワインやラム、ブランデーなど、ほかのお酒の添加が許されているなんて、となかには驚く人もいるかもしれません。ただ、基本はあくまでもウイスキーなので、その使用量には「9.09%まで」という規定が設けられています。

実際にはほとんどの場合、香味づけとして使用されているのはバーボンウイスキーのようですが、酒精強化ワインやフルーツブランデーを少量混ぜるものもあります。

カナディアンウイスキーの歴史|映画のような逸話

Everett Collection/ Shutterstock.com

カナディアンウイスキーの歴史は、18世紀後半に始まります。

1775年にアメリカ独立戦争が起こったとき、カナダはアメリカと同様にイギリスの支配下にありました。イギリスからの入植者のなかで、アメリカ独立に反対する人々が国境を越えてカナダに移住し、そこで穀物の生産を開始します。その穀物はおもに製粉されて主食の材料となりますが、その余剰穀物を使って蒸溜酒造りを始めたのが、カナディアンウイスキーのルーツとされています。

カナディアンウイスキーが大きく躍進したのは、1920~33年にかけてのアメリカ禁酒法時代のことです。

米国内でアルコール類の製造・販売・輸入が禁止されるなか、隣国であるカナダから、大量のカナディアンウイスキーが密輸入されました。カナディアンウイスキーは「トラック11台分でシカゴ郊外に16軒家が買える」といわれるほど引く手あまたの存在。一説には、禁酒法時代の米国で消費されたウイスキーの3分の2がカナダ産であったともいわれています。

当時誕生したのが、ハイラム・ウォーカー社の「ゲートボトル」と呼ばれる、同社の門をデザインした扁平形のボトルでした。この形は、シカゴのマフィアの大ボス、アル・カポネが「山道を車で運んでも割れないボトルを!」と発注したものだそうです。

なお、ハイラム・ウォーカー社には、密輸の受け渡しなどが書かれた暗号電報や、密輸に使われた秘密の地下トンネルの入り口など、当時の繁盛ぶりがわかる貴重な資料が残されているそうです。

カナディアンウイスキーのおすすめ銘柄

カナディアンウイスキーのなかでもおすすめの銘柄を紹介します。

カナディアンウイスキーの代表格「カナディアンクラブ」

出典:サントリーホールディングス株式会社サイト

「C.C.」の愛称で知られる「カナディアンクラブ」。禁酒法以前からアメリカに輸入されていた古典的存在で、世界でもカナディアンウイスキーの代名詞のように愛されている定番銘柄です。その特徴をいくつか紹介します。

【カナディアンクラブの名は、アメリカ紳士の社交場「ジェントルメンズ・クラブ」から】

カナディアンクラブの生みの親は、アメリカ生まれのハイラム・ウォーカー氏です。自慢のウイスキーをアメリカ各地の紳士の社交場「ジェントルメンズ・クラブ」に売り込むと、それまでのアメリカンウイスキーになかったライトな味わいが評判になり、「クラブ・ウイスキー」と呼ばれるようになりました。

しかし、地元アメリカのウイスキー業界は、いわば「よそ者」であるカナダ産ウイスキーの人気を脅威に感じ、政府に働きかけて法律を変え、なかば強引に「カナディアンクラブ」と、国名つきの名称に改名させました。
その結果は皮肉にも、かえって「C.C.(シーシー)」との愛称で親しまれるようになり、今に至るまで不動の人気を集めています。

【カナディアンクラブの魅力を生む、独自のこだわりとは?】

カナディアンクラブを造る際には、まず、トウモロコシを主原料に連続蒸溜でベースウイスキーを造り、加えて複数の味わいのフレーバリングウイスキーを造り分けます。それから、これらを樽詰めの前にブレンドする「プレ・ブレンディング」を行います。

一般的なブレンデッドウイスキーは、樽熟成を終えたもの同士をブレンドしますが、プレ・ブレンディングでは、あらかじめブレンドしてから樽で熟成させるため、両者の味がなじんでまろやかになるといわれています。カナディアンクラブのなめらかな口当たりは、こうした独自のこだわりから生まれたものなのです。

【カナディアンクラブならではの甘味を味わうなら、とくにロックかストレートがおすすめ】

カナディアンクラブは、そのクセのないすっきりした味わいから、ウイスキー初心者でも飲みやすく、どんな飲み方でもたのしめますが、とくにおすすめなのはストレートやロックです。バニラのような甘い華やかな香りや、ほのかに漂う柑橘系の香り、やわらかいほの甘さとともに口中に広がる爽快感を堪能できるはず。

とはいえ、初心者にはストレートやロックはハードルが高いかもしれません。そんな場合におすすめしたいのがソーダ割りです。ウイスキーのソーダ割りは「ハイボール」と呼ばれますが、カナディアンクラブのファンはその愛称を用いて「C.C.ソーダ」と注文するのだとか。機会があれば、バーで「C.C.ソーダ」をオーダーしてみてくださいね。

輸入元:サントリーホールディングス株式会社
公式サイトはこちら

イギリス国王にも献上された「クラウンローヤル」

El Nariz/ Shutterstock.com

「王家のウイスキー」と呼ばれる「クラウンローヤル」。この高貴な名前は、1939年にイギリス国王ジョージ6世がカナダを公式訪問した際に献上されたことに由来しています。

王位を表す紫色のオペラバッグ(ボトルを覆う布袋)を解くと、王冠をデザインした金色のキャップとラベルのボトルが、美しい琥珀色のウイスキーをたたえて現れます。この優美なボトルデザインは、ウイスキー愛好家でなくても目にしたことがあるかもしれませんね。

栓を開けると、バニラやフルーツの香りや、オーク樽の格調高い香りが漂います。口に含めば、オレンジピールのような柑橘系の甘味に加えて、ほのかな苦味とバニラのような風味などが合わさり、複雑な味わいがたのしめます。こうした特徴は水割りでも十分にたのしめますが、初心者でも少し背伸びして、ストレートかロックで味わってほしい逸品です。

また、「クラウンローヤル」をカエデの木の樽で後熟させた「クラウンローヤル メープルフィニッシュド」や、リンゴ風味の「クラウンローヤル リーガルアップル」などのフレーバードウイスキー、「スペシャルリザーブ」「XO」「XR」「ブラック」など、製法や熟成年数の異なるボトルを飲み比べるのも贅沢なたのしみ方です。

輸入元であったキリンビール株式会社では2021年4月で出荷を終了しました。2021年12月時点では並行輸入のみのようです。

ライ麦100%のカナディアンウイスキー「アルバータ プレミアム」

出典:サントリーホールディングス株式会社サイト

「アルバータ」は蒸溜所のある州名が、そのまま蒸溜所名、銘柄名となっている、まさに地域を代表するウイスキー銘柄。1946年創業、北米最大規模のライウイスキー蒸溜所が手掛けるライウイスキーは、世界的に高い評価を得ています。

カナディアンウイスキーの既定のひとつに「原料にライ麦51%以上を含むこと」とありますが、100%ライ麦だけというウイスキーはカナダでもとても貴重な存在。そのため、アルバータのスタンダードボトルの商品名には「プレミアム」の名がついています。

「アルバータ プレミアム」は、ライ麦100%ならではのコクやスパイシーさがありながら、独自のチャコールフィルターによるマイルドさが魅力。口に含むと、チョコレートのような甘味と濃厚さをたたえた香りがふくよかに広がり、バニラの甘味も感じられる複雑な味わいをたのしめます。北米におけるウイスキーの第一人者として個性を放つ「アルバータ」を、ぜひ試してみてください。

※輸入元であったサントリースピリッツ株式会社では2016年5月で出荷を終了しました。2021年12月時点では並行輸入のみのようです。

カナディアンウイスキーの魅力は、穀物由来のライトでマイルドな飲み口と、独特なフレーバー。スコッチやアイリッシュに比べると飲む機会は少ないかもしれませんが、ウイスキー初心者にも飲みやすい口当たりなので、ぜひ味わってみてくださいね。

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識
広告掲載について

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事